平成の小学生男子に愛された「BAD BOY」。復活の立役者が考えるファッションのこれから

2020.8.12

コロナ禍で、アパレル業界もリモートへ

――今後のファッションシーンを見据えて、BAD BOYをどのように展開していくのか、お考えを教えてください。

小塩 いやあ、ファッション業界全体のことはわからないですよ。だからBAD BOYとしての話になっちゃうんですけど、まずこのブランドを1億円規模のマーケットに広げていくっていうのが当面の目標としてあります。19年秋冬からスタートして1年経って、それなりに知っていただいているんですけど、もっとブランドの認知を広げていくために話題性のある仕かけが必要だと思っています。

――現状、そういったプロモーションは行っていますか?

小塩 ファッションYouTuberのハズムくんと、コラボ商品を出させてもらいました。終わったはずのカルチャー「BAD BOY」と最先端のカルチャー「YouTuber」の絡みっておもしろいなと思って始めたんですが、実はこのハズムくんのビジネスがかなりおもしろくて。彼は自身のYouTubeチャンネルのほか、中目黒でセレクトショップを経営しているんです。YouTubeを見た若い子たちがそこに買いに来てくれるサイクルが完成していて、相当な月商を上げている。素直にすごいなって思います。

バッドボーイコラボ「GOOD BOY」のデザインを公開します!【DAN × BAD BOY】

――従来の実店舗という形とインフルエンサーの力を組み合わせたモデルですね。

小塩 コラボ商品、WEBでは10分で完売でした。「今の若い子は物を買わない」みたいな話もありますが、単に買いたい物がないだけなのか、あるいは買いたいと思う基準が変わってきているのだと思うんですよね。だから今後の目標として、そういう子たちが買いたいと思う仕かけをどんどん作っていきたいです。

――いいですね、期待してます。

小塩 そして、最終的には若い世代をターゲットの中心に展開していく「BAD BOY」のラインと、30代より上の方でも着られる「BAD BOY CLUB」という別ラインの2本でやっていけたらいいなと思っています。後者はよりブランドのヒストリーの源流に立ち戻ったものを考えています。とはいえ、やっぱりコロナ禍の影響を考えないわけにはいかないと思っていて……。

「BAD BOY CLUB」のロゴは何度かの変遷を経ている

――どういった部分で影響を感じていますか?

小塩 コロナ禍によって停滞していることもあるけど、リモートワークなんかは一気に定着しましたよね。アパレル業界でも、これを機にECを本格化するブランドがけっこうあったり、展示会もリモートでやるような流れがあったりするんです。これからどうなっていくのかは誰にも予測できないけど、ただひとつ言えるとしたら、適応できないと淘汰されていくのは間違いない。

――基本的な原則ではありますが、その傾向がより顕著ということでしょうか?

小塩 やっぱりアパレル業界って根っこがだいぶアナログなんですよね。商談して展示会やって店舗に置いてって感じで。それはいい部分でもあり悪い部分でもあると思うんですが、それだけでは立ち行かなくなる。

たとえば「SUZURI」(※編集部注:オリジナルアイテムを手軽に作成・販売できるサイト)は受注生産だから在庫を抱えなくてすむし、カスタマイズの幅がある。ナイキは早かったですね。スニーカーのカスタマイズができる「Nike By You」はもう何年も前に始まっています。

自分好みにカスタマイズすることがもっと身近になる、言うなれば「セミオーダーメイド」の流れは来ると思っていて、それこそBAD BOYのロゴをライセンスフリーにして、自由に使ってもらえるものにしつつ、何かしらの形で会社に利益が還元される仕組みが作れたらおもしろいですよね。自由に使えるものとして開放してみたときにどうなるのか。そんなふうに自分たちの持っている物をオープンにしていく取り組みを、今後試していけたらと思っています。

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