野呂佳代が『アンメット』で選ばれた理由──経験を積んできた人ならではの迫力と謙虚さ

2026.4.21
野呂佳代特集

4月20日(月)スタートのドラマ『銀河の一票』(カンテレ・フジテレビ系)で、10クール連続でドラマ出演。さらに出演映画も多数控え、ますます俳優としての存在を確かなものにしている野呂佳代。なぜ今、野呂はこれほど求められているのか。

4月14日に発売された『Quick Japan』vol.183では、「私はわりと間違える」と題して特集を実施。ここでは、ドラマ『アンメット-ある脳外科医の日記-』(カンテレ・フジテレビ系/2024)の米田孝プロデューサーのインタビューのロングバージョンをお届け。野呂が演じた成増貴子は原作ではマンガならではの個性を持ったキャラクターだったが、ドラマではその魅力を残しつつ現実にもいそうな人物へと進化していた。そんな成増を作り上げた野呂の演技について語ってもらった。

米田 孝
(よねだ・たかし)2004年に関西テレビに入社。『僕たちがやりました』、『恋なんて、本気でやってどうするの?』などを担当

実力派俳優とも対等にお芝居ができる

成増は原作にも登場する役で、お色気ムンムンな元レースクイーンという設定でした。原作ではおもしろいキャラクターなんですけど、ドラマになるとうまくマッチしなかったり、『アンメット』のドラマの世界観において描こうとしているものはマンガならではのキャラクター性とは少し距離を置く必要があるということで、誰に演じてもらうのがいいか、難しいなと思っていたんです。

そんななかでピンときたのが野呂さんでした。僕は当時、バラエティも担当していて、海原やすよ ともこさん、友近さんの『やすとも・友近のキメツケ!』(カンテレ)で当時チーフプロデューサーを担当していたんです。そこによくゲストとして来てくれていたのが野呂さん。何気なく番組収録で見ていたんですけど、自分の中ではずっと成増のことが頭にあったのでそのときに「あ、野呂さんや!」と。野呂さんの持つ空気が、自分の中の成増にバチッとハマりました。

キャリアを積んでこられた方だけが持つ迫力があるけど、肩の力が抜けているというか。そんな人間像と成増が自分の中ではスウッと重なりました。成増にぴったりすぎて、今もって野呂さん以外まったく思いつきません。

実際の現場でも期待したとおりだったな、と思いました。野呂さんに限らず、その役者さんがもともと持っている空気感とか居住まいみたいなものが役に投影されるので、その延長線上で考えるんですけど、野呂さんはやっぱりすごくいいなと思いましたね。着実にキャリアアップしているけど、すごく謙虚な人ですし、でも芯の強さも感じます。その感じが我々の成増という役にはぴったりきていました。

アンメット
『アンメット-ある脳外科医の日記-』(C)カンテレ

印象的だったのは終盤で若葉竜也さん演じる三瓶友治と、千葉雄大さん演じる星前宏太と野呂さんの3人が食事をしながら、成増が自分の恋人はもう亡くなっているという話をするシーン。何気ない会話だからこそ、そこが俳優にとって一番難しかったりするんだろうな、と思うんです。違うキャリアを歩んできたのに、実力派俳優のふたりと対等にお芝居する姿に、さすがだな、と思いました。

成増という人をなかなかたくさん描けないなかで、この人がどう暮らしているのか、どんな人なのかということを少しでも見られたら、奥行きが出ていいな、なんて話をしていたんです。で、特別詳しい説明はしないんですけど、3人で話したシーンのあとに、その恋人を思い出しながら、成増がガトーショコラを買って帰るっていうくだりをワンシーンに入れたんです。なんかそういうことを野呂さんはやりたくなっちゃうんですよね。CMをまたぐシーンってどれにするか難しいけど、「これで行こう!」って野呂佳代がガトーショコラを買って帰るシーンでCMをまたぐっていう。やっぱりそこにご本人の魅力がにじんでるからなのかな、と思います。

野呂さんには積み重ねてきたものを感じます。これは僕の勝手な見解なんですけど、女性アイドル出身者ってひとつ気合いの入り方が違うな、と思っているんです。生田絵梨花さんにも『アンメット』に出てもらったり、川栄李奈さん、西野七瀬さんだとか、過去にいろんな人とご一緒しているんですが、それぞれに芯の強さみたいなものを感じます。中でも野呂さんはバラエティでキャリアを積み上げてこられる中で本人の中で挫折があったり、葛藤があったり、歩んできた道のりがきっとあるんだろうな、ということをすごく感じさせられます。

それこそ、『キメツケ!』では、やすともさん、友近さんという圧倒的な人気を誇る女性芸人さんと、いかに楽しくお話をしてくれるかということが大切です。ただ如才なくトークするというのとも違って、ちゃんと本人も楽しんでくれているんだろうし、スタジオが楽しくなるようにも振る舞ってくれている番組の欲しがっているものと、ご本人の持っているものを上手にコントロールしながら一生懸命やってくれているところに魅力を感じますね。

特にその魅力は裏側で話しているときに感じました。『アンメット』のときはまさに野呂さんがドラマで引っ張りだこになって、女優として評価されていって……というタイミングだったと思うんですが、その状況をすごく謙虚に受け止めている感じがしたんです。「なんで私だったんですか?」ということを聞かれたんですけど、「いやいやあなたいろんな人から選ばれてるんだから」と思うんですよね。でもそういったところから、いろんな経験をしてきたんだな、という印象はあります。

アンメット
『アンメット-ある脳外科医の日記-』(C)カンテレ

今後はめちゃくちゃ追い詰められた芝居とか観てみたいですね。『アンメット』ではそこまで描けなかったので、野呂さんのことだけでいうともっといろんなシーンを見たかったなと思っていました。野呂さんが演じる役自身のドラマがあって、追い詰めたり追い詰められたりする迫力のある芝居がたぶんどんどんこれから増えていくんだろうな、と思います。いろんな顔が見られたらうれしいな、とひとりの視聴者としても期待しています。

ドラマ『アンメット-ある脳外科医の日記-』(カンテレ・フジテレビ系)
2026年4月末までTVerにて全話無料配信中
詳細はこちら

『Quick Japan』vol.183のバックカバー&特集にも登場!

『Quick Japan』vol.183野呂佳代

『Quick Japan』vol.183の特集では本人の言葉だけでなく、野呂と作品を作ってきたスタッフ陣にもインタビューを実施。『銀河の一票』プロデューサーの佐野亜裕美や、『ゴッドタン』(テレビ東京)プロデューサーの佐久間宣行、2023年公開の映画『怪物』で監督を務めた是枝裕和らが「野呂佳代と働きたくなる理由」を語る。

『Quick Japan』vol.183は、全国の書店やネット書店、太田出版のECサイト「QJストア」などで予約受付中。なお、本号は甲斐田晴 ver./ローレン・イロアス ver./3SKM ver.の3種類を同時発売。各バージョン約40ページの巻頭特集を収録しており、表紙と巻頭特集のみ各バージョンで異なる(それ以外のページは共通内容)。

野呂佳代の特集はすべてのバージョンに収録されているが、バックカバーは「甲斐田晴 ver.」のみの掲載となる。

『Quick Japan』vol.183(甲斐田晴 表紙&特集ver.)
発売中
サイズ:A5/並製/144ページ
価格:1,650円(税込)

『Quick Japan』vol.183(甲斐田晴 表紙&特集ver.)

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ふくだりょうこ

ライター。大阪府出身。大学卒業後、フリーランスとして活動。お酒と小説が好き。