4月20日(月)スタートのドラマ『銀河の一票』(カンテレ・フジテレビ系)で、10クール連続でドラマ出演。さらに出演映画も多数控え、ますます俳優としての存在を確かなものにしている野呂佳代。なぜ今、野呂はこれほど求められているのか。
4月14日に発売された『Quick Japan』vol.183では、「私はわりと間違える」と題して特集を実施。ここでは、『銀河の一票』で、主人公の相棒となる・月岡あかりに野呂を起用した佐野亜裕美プロデューサーに、なぜこの大役を任せようと思ったのか。その理由と唯一無二の魅力を聞いた。
佐野亜裕美
(さの・あゆみ) TBSを経て、2020年に関西テレビに入社。『大豆田とわ子と三人の元夫』『エルピス-希望、あるいは災い-』などを担当
立候補する姿を見たいと思えた唯一の人
野呂さんが演じる「月岡あかり」という役について決まっていたことは、政治の世界とはまったく関係ないところにいた人が都知事選に立候補する、ということだけ。職業もスナックのママという設定ですが、その前にも候補がありました。
あかりにおいて大事なことは「立候補する人の説得力」です。どんな人にやってもらうのがいいのだろうと悩みました。社会で働いた経験がある人で、女性がいいな、と思っていたのでなんとなく40代の役者さんでいろいろ考えていたんですけど、なかなか自分の中でしっくりくる方がいなかったんです。
演技がうまい方は、もちろんたくさんいらっしゃいます。でも、選挙カーにその人が乗って演説したり、街頭演説しているシーンを想像したときにいわゆるザ・役者のイメージが強い方だとフィクション性が高くなってしまうんじゃないか、と。そんなときにたまたま観ていた情報番組で野呂さんを見つけたんです。もちろん、役者としてもタレントとしても存じ上げてはいたんですけど、そのときに「野呂さん、ぴったりなんじゃないか」と思いました。野呂さんが選挙カーに乗っていたら応援したくなる気がするし、都知事選に立候補する姿を見たいと思えた本当に唯一の方でした。野呂さんに断られたら、設定から考え直さなければと思ったほどです。
役との相性はそもそも脚本を野呂さんに当てて書いてもらっているので外れるわけがないんですが、野呂さんがどんどん立体的にしてくださっていると感じています。それに加えて、野呂さん自身の実人生と多少リンクしているところはあるかもしれません。一度うまくいかない時期があっても、そこから努力を重ねて自分で道を切り開いてきたこととか、今回、こういう大きな役が初めてだというある種のチャレンジ性とか、それに対する不安感も、あかりという役とかなりリンクしています。野呂さん自身は不安を解消したいと思うんですけど、多少不安なままでいてもらったほうがあかりらしくていいな、と思っているところがありますね。
現場では、野呂さんの吸収と反応のよさが印象に残っています。たとえば、ポスター撮影のとき。そのころはまだ立候補の届け出をする前の準備段階のシーンを撮っていたんですが、ポスター撮影では立候補したあとの演説をするという設定で撮らなきゃいけなくて最初はなかなかノれなかったんです。そこで、監督が女性政治家の演説の音声を流してくれたらそれに引っ張られたのかすごくよくなっていきましたね。
逆にポスター撮影の翌日は、若干政治家っぽくなりすぎてしまったり……。本当に飲み込みも早いし、悪くいうと影響されやすい。でもそれは役者さんにとってとても大事なことだと思います。

「野呂さんの人生をドラマに貸してもらっている」
野呂さんを起用したのは「演説するところが見たい人」ということがすべてなんですが、選挙というものが自分たちの生活の地続きにある、ある意味でノンフィクションに近いフィクションだからこそ、説得力が重要で、自分たちの生活の中でドラマを観ながら彼女たちを応援したいと思ってもらえるようにしたかった。そこで一番の顔になる人ができるのは誰なのかを考えたときに浮かんだのが野呂さんでした。野呂さんという人が役者として持っている力量はもちろんのこと、それと同じぐらい、野呂さんのパブリックイメージや人生が持つ力、エネルギーを今回お借りしているなあ、と思っています。
説明のためにあえて乱暴な言い方をしますが、たとえば、過去に不倫疑惑があった人が都知事選に出るドラマをやっても、たぶんネガティブな反応が多く出てしまうと思います。過去に失敗をした人や罪を犯した人が立ち直れる社会であるべきだし、それを受け入れる社会であるべきだと思うんですが、同時にこういった題材を扱うドラマの場合は、ある種の清廉さとはいわないまでも、そう見えることはすごく大事だと思うんですよね。
野呂さんは、そこが私の中では完璧なんです。野呂さんを嫌いだという人はあまりイメージができません。そういうところが野呂さんの持つ人間としての魅力なんでしょうね。言葉は悪いですが、若いころからまったく失敗せず、最初からずっと売れ続けている人だったら、そういう気持ちにならないかもしれません。それって選挙に出る上でとても大事なことだなと思うので、野呂さんの人生をドラマに貸してもらっているな、という気持ちです。
2年前に真剣に選挙の手伝いをしたことがあったのですが、選挙の手伝いをするってそこに何か利益があるか、楽しさがないとできないもの。私は取材半分だったのですが、ここに巻き込まれたら楽しいという一種の推し活的なところもあると感じたんです。実際、推し活として選挙をやっている方もいたりして、そういう選挙の楽しさが伝わるといいなと思ってこのドラマを作り始めました。
でも、自分が作るならいわゆる「社会派ドラマ」とは違う切り口でやりたい、と思っていたところで野呂さんと出会ったことで作品の向かう道が開けたんです。きっとみなさんこのドラマを観たら、野呂さん演じるあかりを応援したくなると思います。その結果、選挙っておもしろいかも、と思えたらぜひ今まで投票ちょっとめんどくさいなと思っていた人も投票に行って、それぞれの候補者がどんな考えを持っているのか少しでも興味を持つきっかけになったらうれしいです。
ドラマ『銀河の一票』
カンテレ・フジテレビ系
2026年4月20日スタート
毎週月曜22時~

野呂佳代が『Quick Japan』vol.183のバックカバー&特集に登場!

特集では本人の言葉だけでなく、野呂と作品を作ってきたスタッフ陣にもインタビューを実施。『銀河の一票』プロデューサーの佐野亜裕美や、『ゴッドタン』(テレビ東京)プロデューサーの佐久間宣行、2023年公開の映画『怪物』で監督を務めた是枝裕和らが「野呂佳代と働きたくなる理由」を語る。
『Quick Japan』vol.183は、全国の書店やネット書店、太田出版のECサイト「QJストア」などで予約受付中。なお、本号は甲斐田晴 ver./ローレン・イロアス ver./3SKM ver.の3種類を同時発売。各バージョン約40ページの巻頭特集を収録しており、表紙と巻頭特集のみ各バージョンで異なる(それ以外のページは共通内容)。
野呂佳代の特集はすべてのバージョンに収録されているが、バックカバーは「甲斐田晴 ver.」のみの掲載となる。
『Quick Japan』vol.183(甲斐田晴 表紙&特集ver.)
発売中
サイズ:A5/並製/144ページ
価格:1,650円(税込)
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