イタリア出身のコスプレイヤー、日本文化にハマったきっかけは『FRUiTS』『攻殻機動隊』
ウィッグや衣装、さらにはメイクにまで徹底的にこだわり、さまざまなアニメ&ゲームのキャラクターになりきるコスプレイヤーたち。作品の世界観すらも忠実に再現し、芸術的な写真や映像作品を生み出しつづける彼女たちの創造力は、いかにして育まれたものなのか?
今回はイタリア出身のコスプレイヤーであり、タレント、モデル、声優、女優など、さまざまな分野で活躍するユリコタイガーさんにインタビューを実施。自身の創造性に大きな影響を与えたサブカルチャーを3つ、そして今現在、興味を惹かれているコンテンツをひとつ挙げてもらい、その思い出や魅力などを語ってもらいました!
人気コスプレイヤーの創造性の源泉となった“三種の神器”とは?
【Fashion】HELLCATPUNKS
イタリアでも『FRUiTS』や『KERA』といった日本のファッション誌が売っていて、そこで見つけた瞬間「かわいい!」と思ったブランドが「HELLCATPUNKS(ヘルキャットパンクス)」。あくまでも私の知ってる範囲でですけど、“パンク”と“かわいい”を融合させたブランドの先駆けだったんじゃないかな。HELLCATPUNKSの服を着て原宿を歩きたい!というのも、日本に憧れた理由のひとつですね。
最近ではストリート系の流れを取り入れた、カジュアル路線のアイテムが増えてきたけど、私はどちらかというと、初期のころのパンク要素が強めのデザインのほうが好きかなぁ。もちろん、今でも新商品が出るたびにチェックしていますが、服よりもチョーカーやアクセサリを購入するほうが多いですね。「SEXY DYNAMITE LONDON(セクシーダイナマイトロンドン)」や「Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)」も好きなので、そういったブランドの服と合わせることもよくあります。
最近では、SNSに写真をアップして「かわいい」と言ってもらうことを前提にファッションを選ぶ人が増えてきたけど、私が憧れていたのは、90年代当時の“本当に自分が着たいと思う服”を着る原宿ファッションなので。そのころの風潮がまた戻ってきたらいいな、と今でも思っています。
【Music】セックス・ピストルズ
楽曲というより、メンバーたちのパーソナリティにものすごく影響を受けました。そのなかでも、ベースのシド・ヴィシャスの生き方は強烈で、彼の人生そのものがまさにパンクでしたね。カルチャーとしてパンクを捉えた場合、常に攻撃的で、反体制的なパフォーマンスをしないといけない……と思われがちだけど、決してそれだけではなくて。既存の概念を打ち壊して、新しいモノを作り出していこうとする精神もまた、パンクに内在しているものだと考えています。私の場合は特に、90年代の日本のパンク・ロックからそれを感じることが多くて。そこから逆にルーツを辿っていって、セックス・ピストルズに行き着いた感じなんです。
話が少し逸れますが、そうした“常識を変えてやる”という熱意は、アニメ業界からも感じることが多いです。特に90年代に発表されたアニメには、好き嫌いがはっきり分かれる作品がすごく多かった。絶賛もされるけど、一方で「全然おもしろくない」と批判もされる。だからこそ、いろんな意見が飛び交って議論し合えるのがおもしろいのに、最近ではどの分野も“大多数に好まれる作品を作るべき”という風潮で、とがった作品が出てこなくなってしまっている気がします。そんな憤りを感じるたびにいつも思い出すのが、セックス・ピストルズのメンバーたちの生き様なんです。
【Anime】『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』