「リーダーズは私の人生」新しい学校のリーダーズ・MIZYUが感じた、共感を得ることの喜び

2024.4.16

新しい学校のリーダーズ。「オトナブルー」で社会現象を巻き起こしたセーラー服の4人組は、今まさにブレイクの渦中にいる。地道に根を張り水をやってきた8年間と、外の広い世界へ飛び出した1年間。彼女たちは激動の日々の中で、肉体的にも精神的にも大きな変化を強いられてきた。

本稿では、2024年4月12日(金)発売の『クイック・ジャパン』vol.171に掲載した80ページ以上にわたる新しい学校のリーダーズ総力特集から、MIZYUのロングインタビューを一部抜粋して公開。

昨年の大躍進、そして今年1月の日本武道館を経て、ダンスの組み立て方やパフォーマンスにも変化があったと話すMIZYU。それと同時に「ありのまま」でいいことも実感したという。 彼女にとって2023年はどんな1年だったのか、 そしてこれから見据えるものとは……。結成から9年、「リーダーズが私の人生になっている」 と笑みをこぼしながら話す彼女に話を聞いた。

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自己満足だけじゃ終わらない素晴らしさを知ってしまった

新しい学校のリーダーズ・MIZYU(撮影=ヤスダ彩)

──以前QJでインタビューさせていただいた際に「2023年は奇想天外な年にしたい」とSUZUKAさんがおっしゃっていましたが、昨年はまさにそのとおりになったんじゃないかなって。

MIZYU なっていた気がしますね。インタビューをしていただいた昨年の4月ごろも予想がつかないことが起き始めていましたもんね。その延長でどんどんチームが大きくなって、歴史あるイベントやメディア、テレビにも呼んでいただくことが増えて、本当にあっという間の1年間でした。

──本当に目まぐるしい1年間だったと思います が、MIZYUさんの体感的にはいかがでしたか? 

MIZYU 「オトナブルー」がきっかけで私たちを知ってくれたり、ライブに足を運んでくれる人が莫大に増えました。フェスに出ても「オトナブルー」という曲があるおかげで「あの曲の人たちだよね、観てみようか」とラフな気持ちでお客さんが観に来てくれたりとか。ただのきっかけに過ぎないかもしれないけど、そのきっかけが私たちにはとても大きいことで、力強い理由というか。きっとこの曲がなかったら、 新しい学校のリーダーズ(以下、AG!)という名前を見てもよくわからなかっただろうし、「リーダーズ=オトナブルー」という入口があったからこそ、みなさんが私たちのショーに触れて、ほかの楽曲のパフォーマンスや私たちの存在を目の当たりにしてくれた。それがすごくうれしかったんです。やっぱり入口があるかないかでは、パフォーマンスの伝わり方や私たちの内から出てくる言葉の伝わり方って全然違うと思うし、認知されたことでもっと知ってもらう奥の段階へ行けたのかなと思います。

──より奥の段階へ行くために意識されていたことはありますか?

MIZYU 「オトナブルー」って私たちの楽曲の中ではマイルドテイストな曲なんですよ。だからこそ、ストロングテイストな私たちも知ってほしいと思った。そこのバランス感はすごく考えていました。私たちっていろんな要素を兼ね備えていると思うから、ひとつのライブにはいろんなものを詰め込んでどこか一カ所でも好きになって帰ってもらえるインパクトや楽しいエネルギー、青春の気持ちは常に意識していたと思います。でもその上で、私たちはありのままでいいんだということも実感することができました。

──それはどの場面でも常に胸にあったことですか?

MIZYU ずっとありのままです。 私たちのこれまでの歴史に自信があったから、何を聞かれても大丈夫というか(笑)。深掘りされればされるほど私たちのことが伝わると思うんです。

これだけで終わらない。ナメられたくないぞ!

香港で開催された『Clockenflap』でのMIZYU(撮影=髙木美佑)

──個人的には、世間がようやくAG!の世界観に追いついたと思うんです。MIZYUさんの言うようにずっと“ありのまま”で活動を続けてきた。その上で、2023年の活躍の要因を自己分析するといかがですか?

MIZYU 私たちにも光が当たる時代が来てうれしいです。自己分析すると、私たちはこれまで4人のエネルギーを合わせて4人が楽しいと思うものを作ってきました。それをそのままライブやSNSで爆発させ続けていたら、だんだん共感されるようになってきました。それまではスべり続けていたときもあったし、ライブに来た人の中で10人中1人に刺さればいいよねというスタンスの時期もあった。でも共感される喜びを知ってしまったんです。私たちが「おもしろいでしょ?」と表現し続けていたことに「おもしろい!」とマネをしてくれたり、楽しんでくれることが私たちの心の循環になり、エネルギーの交換になる。それをライブやSNSを通して感じた1年間でした。どうしてこうなったかといわれたら正直わからないけど、私たちの自己満足だけじゃない素晴らしさを知ってしまった。これからも共感を生めるように、心に嘘をつかず、おもしろいことを生み続けていきたいなとは思ってます。

──それを確信するタイミングはありましたか?

MIZYU 目に見えて感じたのは、夏フェスかもしれないです。景色がすごく変わったし、それはステージを観てくれる人の量もそうだけど、眼差しや興味、リアクションが本当に変わったんですよ。もちろんたまたま観に来たという人もいると思うけど、すごく前のめりな姿勢というか。前までは、私たちがライブをして受け取ってくれる人は受け取って帰ってくださいという感じだったものが、両方向からエネルギーが出て、それが循環している。そうすることで、私たちはもっと興奮するし、それを観てお客さんも「ウワーッ!」と熱狂していくんです。2023年はコロナ禍での制限もなく、生身の人間を感じてライブができた年だったこともあり、私たちってこんなにたくさんの人に興味を持っていただいているんだなと実感することができた。だからこそ、これだけで終わらない、ナメられたくないぞ!っていう気持ちも強くなったし、何か受け取って帰ってほしいって気持ちが出てきました。

──MIZYUさんのお話しする熱量を見ていると本当にすごい景色だったんだなと思います。

MIZYU 人の丘ができ上がっている感じです。フェスには約4〜5年ぶりに出演させていただいたんですけど、前回とのギャップにも驚いたし、圧倒されました。

──とても気持ちよかったのでは?

MIZYU めっちゃ気持ちよかった! こんなに伝わっているんだと思いましたし、私たちの楽曲を聴いて盛り上がっている姿を見ると、また新たな共感を生み出していると思えて、それがすごく気持ちよかったです。4〜5年前に出演したフェスでやっていた曲を同じように披露しても全部リアクションが違っていたのもうれしかった。「これ!これ!」と思いました。私たちはこの瞬間を待っていたんだ、これまでやってきたことが間違ってなかった。やり方を変えてきたわけではなかったからこそ、本当にうれしい気持ちでいっぱいです。

──結成して9年でここまでやってきたんですもんね。

MIZYU 9年って長いですよね。振り返って思うのは、本当に私たちのスタイルが変わってないことがびっくりということ。だって、この9年って4人の成長期じゃないですか。中学生・高校生から始まって、成人を迎えて、人として学びながらリーダーズを続けていく9年間。リーダーズの存在が自分の人生の中でどんどん大きくなっているなっていう感覚があります。

──たしかに、成長期をともにしてきた4人ですね。

MIZYU 結成当初は、どこか習い事な感じがありましたよ。学校が終わったあとの放課後のひとコマみたいな感じかな。それが、20歳を超えて、AG!がお仕事になってきて。人生の大半をリーダーズで過ごしているし、それ以外の時間はリーダーズ以外の時間というカテゴリーになるんですよね。だからリーダーズが私の人生になっている。

 ──人生になっているってなかなか言えないと思いますよ。

MIZYU あはは(笑)。でも、去年1年間、毎日密接に4人で過ごして、私たちは、一人ひとりの人間なんだなって実感したんですよね。今年は一人ひとりの人生や人間味みたいなものもフィーチャーしていけたらいいのかなって。リーダーズの人生と並行して4人の人生が並行していることが垣間見られるような作品や楽曲だったり、それがどんなかたちになるかはわからないけど少しずつ見出せていけたらいいなって思います。

新しい学校のリーダーズに100日間密着!

『クイック・ジャパン』vol.171

2024年4月12日(金)より発売中の『クイック・ジャパン』vol.171は、新しい学校のリーダーズを80ページのボリュームで徹底特集。

特集テーマは「境界を越えるとき」

2023年の大ブレイクを経て大きな変化の渦中にあり、今まさに時代を変えようとしている4人が「人生の次の一歩」を踏み出す姿を記録した。そのために、『Clockenflap』(香港)、『COUNTDOWN JAPAN』、日本武道館公演『青春襲来』、新曲のMV撮影やレコーディングなど、100日間に及ぶ密着取材を敢行。およそ3000枚に及ぶ写真の中から厳選して掲載し、現場での様子を克明にレポートしている。

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Written by

笹谷淳介

(ささたに・しゅんすけ)1993年生まれのライター/エディター。 メンズファッション誌『Samurai ELO』の編集を経て、現在に至る。 現在、土曜22時から放送中のJ-WAVE81.3 FM “CITROËN FOURGONNETTE”(ナビゲーター・長岡亮介)にて、&#..

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