幾田りら「あのちゃんに生まれ変わりたい」W主演で出会えた“理想の声”【映画『デデデデ』インタビュー】
幾田りらとあのがW主演声優としてタッグを組んだ映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』。ふたりの主人公・小山門出は幾田りら、“おんたん”こと中川凰蘭の声優はあのが務め、それぞれ主題歌も担当した。
今回は、幾田とあのが共演して感じたお互いの魅力をインタビュー。「相手の声がうらやましい」「生まれ変わりたい」と語る理由とは?
※インタビュー後編は、4月12日発売の『クイック・ジャパン』Vol.171に掲載
目次
「自分にまっとうできるか…」アニメ映画“W主演”の責任感
──今回、声優に抜擢されたときの気持ちを教えてください。
あの 自分が決まったことも素直にうれしかったんですけど、門出役が幾田さんと聞いて、アーティストふたりで主演ができることがうれしかったです。楽曲を一緒に制作したこともそうですし、音楽畑にいる同士だからこそ、新しいやり方とか感覚が出てくるだろうから、どういう相乗効果があるのかなって楽しみでした。
幾田りら(以下:幾田) 私もすごくうれしかったです。ただ、それと同時に主演の責任も感じました。やはりアニメーションって、すごく時間をかけて、本当にたくさんの方の手によってでき上がるものなので、みなさんの熱量が込められた作品の一番大事な役割を自分にまっとうできるだろうかって、責任感とワクワクがせめぎ合っていたんです。
だからこそ、全身全霊でぶつかろうと思えましたし、あのちゃんと手を取り合って、いい作品にできたらなとも思いましたね。
──苦戦したシーンはありますか?
あの おんたんは早口なシーンが多かったので、早口すぎて口が回らなくて、やり直した部分はありましたね。
あとは走っているシーンや、物を投げているシーン、取っ組み合いのシーンは、実際に動くわけではないので、息と声だけで表現するのがすごく難しかったです。自分なりに「ハァハァ」みたいな感じでやってみたんですけど、たくさんの方が見ている中でどうしたらいいかわかんないままやっていて。自分的にはチャレンジだったんですけど、楽しかったです。
幾田 やっぱりふたりのケンカ、かけ合いは大変でした。決まったセリフはないんですが、ケンカしたときに出る音を交えたシーンがなかなか長尺で。そこは何回か「もっとこうしたほうが自然にケンカしてる雰囲気が出るよ」とアドバイスしてもらいながらやりました。1テイクで全部録りきるのは大変でしたけど、挑戦しがいがあって、楽しかったです。
お互いの印象は「100点を出す人」「表現力がすごい」
──お互いの第一印象と、今回共演してみて気づいた印象を教えてください。
あの 幾田さんの第一印象は「完璧、しっかりと100点を出す人」みたいなイメージでした。そういう印象を持って、実際にお会いしてアフレコの様子を見ても、やっぱり絶対的というか「100点を出してきたな」という印象がありましたね。
ただ、それはたぶんいろんなことに向き合うのが上手だから、一つひとつに対してしっかりと時間をかけて向き合っているからこそ表現できているのだろうなというのは、実際に会ったことで感じました。
幾田 私は、あのちゃんの音楽活動を見させてもらっているなかで、表現力が本当にすごいなって、ずっと思っていました。曲によっては、人間的な部分や弱い部分をさらけ出して全身全霊で歌ったり、まわりの目線を取っ払ってでも自分の生き様をしっかりと見せてくれる強さを感じさせてくれるから。
あとは、今回お会いしたことで、実際に頭で考えているたくさんのことを表現に落とし込む伝達能力がすごい人なんだなっていうのを改めて感じました。
──楽曲をコラボしてみた感想も教えてください。
あの 幾田さんが作った曲は後章のラストに流れるのですが、原作ファンの方の思いに寄り添っていると思いました。僕自身も感じていた「門出とおんたんの日常の続き」みたいなところがブレずに、しっかりと表現されていたので改めてすごいなって。
普段も口ずさんじゃうようなメロディだったり、日常に溶け込むような曲なので、温かい気持ちにもなれましたね。僕がいつもアーティスト活動で歌っている曲とは全然違うので、新しい面も引き出してくれたと思います。
幾田 あのちゃん側で作ってもらった楽曲を聴いたときに、あのちゃんがあのちゃんとして、この作品の主題歌を作るために120%のエネルギーを放出したんだな、これは無敵だなと思いました。
あのちゃんならではの歌詞のつなげ方によって、自分も思いきり歌を乗せることができたというか、どんどん自分を突破して殻を破っていかないと、この楽曲には真摯に向き合えないなって思わせてもらえたので、新境地を味わえましたね。
相手の“声”に思うこと「生まれ変わりたい」
──お互いの声の好きなところを教えてください。
幾田 私はもともと声フェチなんですけど、あのちゃんのしゃべり声も歌声もめっちゃ好きなんです。特に好きなのはバラードで、めちゃくちゃ感情を剥き出しにしているときの歌声。あれは言葉では表せないぐらい、いろんな感情でやられちゃいます。
それからあのちゃんが歌を歌うときって、すごく儚くて、歌に乗せられた感情になれる。自分らしさを肯定してくれる力もあるなと感じています。
あの 幾田さんの声は、僕みたいな変な癖がなく、耳ざわりもめちゃくちゃいいなと思います。
今回、門出を演じているのを聞いて、透き通っていて、ジャマな音色がひとつもなくて、隣にいてずっとしゃべっていてほしいと、より思いました。門出のあどけなさも交えつつ、すごく落ち着いていて、自分じゃ絶対出せないなって。さっき(自分の声を)褒めてくれましたけど、自分だったらこういう声になりたかったなと思わせる理想形ですよ。すごくうらやましいです。
幾田 でも、あのちゃんがあのちゃんとして歌っている曲は、あのちゃんだからこそ素晴らしい楽曲、あのちゃんだからこそ完成しているとも思いますね。だから、あのちゃんの歌を歌うなら、幾田りらのままではなく、あのちゃんになりたいです。生まれ変わるしかないなと思います。
あの それでいうと僕も幾田さんだったら、難しい曲の数々を歌いこなしているので、めちゃくちゃ気持ちいいだろうなって想像します。歌がうまいだけじゃなくて、感情の乗せ方も上手だし、表情をコロコロ変えなきゃいけないパッチワーク的な曲とかも歌いこなしていて、かっこいいなって。
漠然とした不安には「とにかく向き合う」
──映画を拝見して、ディストピア的な世界観の中で、日常の小さな幸せを紡いでいく門出とおんたんの姿が印象的でした。おふたりは、漠然と不安に駆られたり、暗い気持ちになったりしたときに、そういう気持ちとどう向き合っていますか?
あの 漠然とした不安というか、あんまり理由もないけど落ち込むことは、昔からけっこうあって、今も続いています。
それを解消する方法は、僕も持っていなくて、とにかく自分と向き合うこと、自分やまわりの考えを知ろうとしていく中で、ふとしたときにストンと腑に落ちる瞬間があるなと感じています。その時間は正直しんどいんですけど、今のところそれしか方法がないですね。曲にしたいなってときは曲にしますけど。
幾田 私もすごく不安に駆られたり、どこに向かって生きているんだろうと感じる瞬間があります。たとえば大きなステージに立つ前は、プレッシャーとかいろんな感情に襲われて、足がすくんじゃったり、目の前の人とか環境に引っ張られてグラグラしちゃったり……。
でも、そういうときは、一回ちゃんと自分と向き合う時間を作るようにしています。お風呂の中でとにかく自分と対話したり、ライブの前に瞑想をしたりして。自分の時間がないときほど、自分がわからなくなっちゃうので、時間を作ることで「本当の本当は、歌うことが好きだから歌っているんだ」というところに立ち返れるようになれるんです。軸をちゃんと元に戻せたら大丈夫だな、と思うようにしています。
インタビュー後編は、4月12日発売『クイック・ジャパン』Vol.171に掲載!
4月12日発売の『クイック・ジャパン』Vol.171には、映画『デデデデ』幾田りら&あのインタビューの後編を掲載。「自分の声が嫌いだった」と明かすふたりが、今回の声優業でコンプレックスを乗り越えた経緯を語る。
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映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』
前章:3月22日(金)、後章:5月24日(金)公開
(c)浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee関連リンク
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【幾田りら】
スタイリスト=SHOTA FUNAHASHI(DRAGONFRUIT)
ヘアメイク=YOUCA
ジャケット:TAAKK/JOYEUX
ジレ参考商品:77circa
シャツ:MAISON SPECIAL/MAISON SPECIAL AOYAMA
スカート:PRANK PROJECT/PRANK PROJECT AOYAMA
※その他スタイリスト私物【あの】
スタイリスト=MOMOMI KANDA
ヘアメイク=URI
ドレス:MIKIOSAKABE
チョーカー:flake
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