ENHYPEN、“通過点”の東京ドーム公演で実現した大歓声の中でのパフォーマンス。NI-KI「ずっと、僕たちがいなくなるまで応援してください」
7人組グローバルグループ「ENHYPEN(エンハイプン)」が、K-POPボーイグループ史上最速初の東京ドーム公演を2023年9月13、14日に行った。
超大型プロジェクト『I-LAND』を経て、デビューから2年10カ月。躍進を続けるENHYPENの偉大なる“通過点”たる同公演の1日目のレポートをお届けする。
目次
スタートから見せつけたK-POP第4世代を牽引するパフォーマンス力
ENHYPENが、ついに東京ドームの舞台に立った。2020年に超大型プロジェクト『I-LAND』を経て結成され、デビューを果たしてから2年10カ月。このスピードで東京ドーム公演を行うのは、K-POPボーイグループ史上最速だという。
ワールドツアー『ENHYPEN WORLD TOUR ‘FATE’』の日本公演として開催されたENHYPEN初のドームツアー『ENHYPEN WORLD TOUR ‘FATE’ IN JAPAN』では、9月2、3日に京セラドーム大阪、9月13、14日に東京ドームで2都市4公演が行われ、計14万人を動員した。この記事では9月13日公演の様子をレポートする。
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メインステージからせり出したステージは棺の形。そしてアリーナ後方には、横に細長く伸びたバックステージが設置されている。開演時間が近づくにつれ、スクリーンに流れるミュージックビデオに合わせて客席のENGENE(ENHYPENのファンネーム)からは自然とコールが起こり、場内の期待感は高まっていく一方だ。
初の東京ドーム公演を前に、メンバーたちがショーケースなどで繰り返し「ドームツアーにふさわしいアーティストになります」と謙虚に語っていたことが頭の片隅に残っていた。ワールドツアーで世界中を回り、音盤のセールスも絶好調。ENHYPENはK-POP第4世代のトップをひた走る印象を受けていたが、彼らの中には実は、自分たちが大きくなっていくスピード感への戸惑いや、背伸びをしているような不安もあるのかもしれない。そんな勝手な想像もしていた。
筆者は『I-LAND』をリアルタイムで視聴し、ENHYPENの活動も折に触れてチェックしていたが、生でパフォーマンスを目撃するのは初めて。期待感に包まれながら開演を待つと、会場が暗転し、貴族の晩餐会のようなシチュエーションのVCRが流れた。ENHYPENらしいゴシックでどこか不穏なムードに浸っていたところに、最初にステージに現れたJAKEが燃えさかる紙片を投げる。そしてメンバーがひとりずつ登場するたび、ENGENEからは歓迎するように大歓声が起こった。
華やかなカーニバルを表現した、最初の「Drunk-Dazed [Japanese Ver.]」「Blockbuster(ENHYPEN ver.)」のブロックでは、メンバーの眼光の鋭さに圧倒された。「今の自分を見てくれ」と叫んでいるような、力強い意志の込められた眼差しと、ゴールドの刺繍が施された純白の高貴な衣装との鮮やかなコントラスト。バックダンサー、そして音と共鳴するレーザー光線、噴き出す花火や炎などのダイナミックな演出も、彼らのパフォーマンスをいっそう強烈に彩る。
JUNGWONはまず「公演のタイトル(「FATE」)の意味のように、ENGENEとの関係が“運命”だと強く感じてもらえる時間になると信じています」と挨拶。そしてENHYPENのキレのいいパフォーマンスを堪能できる時間が続く。スクリーンに投影された凍てつく青い心臓は、ENHYPENのパフォーマンスにエネルギーを与えられたかのように、次第に真っ赤に脈打っていった。
オープニングの世界観を引き継ぎ、ENHYPENが庭園でゆったりと戯れているような映像では、メンバーの見目麗しさに大きな悲鳴が起こる。神聖なムードに包まれていると、突如「Attention!」の声が響いた。耳をつんざくようなエレキギターの音が鳴り、ムードが一変。メンバーは王子から悪童へ変身したかのようにパンキッシュなコーディネートにチェンジし、「Attention, please!」へ。声が潰れたロックスターのようなボーカルもこなす、彼らのコンセプト消化力の高さに驚かされる。「Tamed-Dashed [Japanese Ver.]」の前には、HEESEUNGが爽やかにボールを蹴り上げた。
上品な佇まいが印象的だったENHYPENとENGENE
学生服風の衣装に着替えたユニットコーナーでは、メンバーが楽器演奏を披露。「TFW(That Feeling When)」はSUNGHOON、JAY、JAKE、SUNOOというメンバー構成で、たくさんの花々に囲まれた中でJAYがアコースティックギターを優しく奏でる。
一方、JUNGWON、HEESEUNG、NI-KIによる「Just A Little Bit」では、HEESEUNGがピアノを弾き語り。なめらかにピアノを奏でながら、高音パートも難なく歌い上げる姿に圧倒された。途中からは7人がそろい、観客がかざすスマートフォンのライトが煌めく中、せり上がるステージから歌声を届けた。
中盤ではメンバーが2階建てバスの形をしたトロッコに乗ってアリーナ外周を回り、さらに多くのENGENEの近くへ。そしてサブステージに移動し、ポップで爽やかなナンバーを続けて披露していく。
『ポケットモンスター』の音楽プロジェクト「Pokémon Music Collective」よりリリースされた「One and Only」では、なんと8匹のピカチュウが登場。規則正しく列をなしてアリーナ外周を行進してくる姿はなんともかわいらしく、ENHYPENたちもメロメロだ。メンバーはピカチュウと手をつないで一緒に跳ねたり、ステージを駆け回ってみたり、優しくエスコートしてみたりと、無邪気に触れ合っていた。
アーティストとファンはよく似ると言われるが、ENHYPENもENGENEも、佇まいが上品でひたむきな印象を受けた。メンバーの話を遮るように大きな声を上げる観客の姿はまったくと言っていいほど見られず、逆にメンバーの話にじっと聞き入り、リクエストには全力で応え、コールでも大声で盛り上げる。互いの純粋な愛情がその空気を醸成しているようだった。
最後のブロックでは、ENHYPENの原点であり真骨頂であり、かつ最新形といえる怒涛のパフォーマンスが繰り広げられていく。「Bills」では愛を失った心情を熱の入ったボーカルで表現し、「CRIMINAL LOVE」では複雑なフォーメーションダンスと体をウェーブさせるような振り付けに会場のあちこちから悲鳴が上がった。
NI-KIは、「このセクションにはすごく自信を持っていて。深夜まで練習したり、いろんな努力してできたパフォーマンス」と紹介。「皆さんどうでしたか?」と問いかけるとENGENEが感動を伝えるように大きな声を上げ、NI-KIは感慨深げな表情を浮かべていた。そして本編のフィナーレを飾ったのは「Bite Me」。増していく一方だったメンバーの勢いは最高潮となり、ENGENEもコールで心を合わせた。
ENHYPENが求めていた「Make some noise!」
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