予想し切れない『キングオブコント2023』決勝、初進出を狙う18組の魅力


ダウ90000(2020年結成、You Go sign所属)

歯磨き好きの道上珠妃、声優学校中退の上原佑太、ギャンブル好きの飯原僚也、ロブ・ルッチ好きの中島百依子、月見バーガー好きの蓮見翔、アイスの実ぶどう好きの吉原怜那、アボカド好きの忽那文香、バグズ・ライフ好きな園田祥太からなる8人組。

日常生活で起きる些細な違和感を、8人という人数のアドバンテージを使って余すことなくふくらませ、毒のある多彩なワードを散りばめながら詳細に描いていくスタイルは、お笑い界に革命を起こした。蓋をしていた黒歴史を無理やり開けるような設定は、まるで臓器を直接触られてるかのような気分になる。近年ではボケ、ツッコミをより鮮明にすることでより「コント」としての強度が増したように感じる。

TCクラクション(2019年結成、グレープカンパニー所属)

カレー好きの坂本No.1と、山田五郎のものまねが得意な古家曇天からなるコンビ。2016年に『ゴッドタン』(テレビ東京)で劇団ひとりを震撼させた古家(当時の芸名は曇天三男坊)が生み出す混沌とした世界観に、おもしろさが声質、声量、ワードすべてに凝縮された天性の才としか言いようがない坂本No.1のツッコミは、準決勝進出者の中でもトップクラスの爆発力がある。

天才ピアニスト(2016年結成、吉本興業所属)

桜井和寿好きの竹内知咲、美酢好きのますみ。上沼恵美子から公認をもらうほど見事なものまね技術を持つますみと、技術の塊のような完璧なツッコミ技術を持つ竹内が作るコントは、抜群の安定感を誇るまさにTHE正統派。

伝書鳩(2021年結成、無所属)

からあげクン好きの原薗岳斗、あばれる君好きの山田陸斗、ラップ好きのダダこだまからなるトリオ。とにかく演技の「間」がうまく、難しい劇中劇に入ってもいっさい空気感が崩れることなくその世界観に没入できる。どのネタを見ても無所属(しかも現役大学生)なのが信じられないほどのクオリティを誇っている。

都トム(2022年結成、ジンセイプロ所属)

餅好きの可児正と、タコス好きの高木払いからなるコンビ。どのネタもフリの撒き方がうまく、前半の少しの違和感から後半にかけて一気に謎が解かれるような抜群の構成力は、鳥肌が立つほどの気持ちよさがある。最後のひと口までうまいタラバガニの身をしゃぶっているようなコントをするコンビ。

ファイヤーサンダー(2014年結成、ワタナベエンターテインメント所属)

ポケモン好きのこてつと、アベンジャーズ好きの﨑山祐からなるコンビ。『第39回ABCお笑いグランプリ』チャンピオン。中二病心をくすぐるようなカッコいい設定、いい意味でバカバカし過ぎるボケは、まるで脳が溶かされるような感覚に陥ってしまう。危険な中毒性を誇るコンビ。

隣人(2013年結成、吉本興業所属)

草野球好きの橋本市民球場、散歩好きの中村遊直からなるコンビ。『第10回ytv漫才新人賞』優勝。むちゃくちゃで変態的な発想を中だるみすることなく最後までやりつづけられる力強さがあり、どのネタも理屈ではなく本能で笑わされてしまう。荒々しいまでの野性味の中に洗練されたしなやかさがある。

レインボー(2016年結成、吉本興業所属)

食べ物好きなジャンボたかおと、美容好きの池田直人からなるコンビ。胃が痛くなるほど心の機微を鮮明に描いた会話劇は「あるある」の域を超えた現実そのもの。そして、それを劇ではなくコントたらしめているのはジャンボたかおの「そこにいるだけで笑える」存在感と、池田直人の「性別すら超える」憑依力。男女コントが主だと思われがちだが、男と男、女と女、どんな人間でも色を変えて演じ分けられる、その名のとおり虹のようなコンビ。

連合稽古(2023年結成)

相撲好きのあかつと、相撲好きのキンボシと、相撲好きのめっちゃと、相撲好きのゆんぼだんぷ・カシューナッツからなるユニット。「相撲」それのみに特化した恐ろしいユニット。誰も体験したことのない、まったく新しい笑いがそこにはある。

決勝への進出経験がないのは、以上の18組。これに加えファイナリスト経験者もいると思うと、そのレベルの高さに、楽しみと同時にもはや恐怖にも近い感情を覚えてしまう。『キングオブコント2023』決勝の日を震えて待ちたい。

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かんそう

1989年生まれ。ブログ「kansou」でお笑い、音楽、ドラマなど様々な「感想」を書いている。

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