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『クイック・ジャパン』がお送りする、極めて私的なタレコミ連載「QJ tip-off」。
2020年に旗揚げされた8人組ユニット・ダウ90000の蓮見翔が、昨年末のプライベート旅行の思い出を振り返る。
※この記事は『クイック・ジャパン』vol.167(2023年6月27日(火)より順次発売)掲載の記事を転載したものです。
プリクラがずっとある
去年の11月、ドラマの脚本や賞レースの決勝、自分たちの演劇公演などのとんでもないスケジュールをギリギリで乗り越えてようやく夏休みを取った。高校の同級生と男3人で大分に旅行に行って、観光地を巡りご飯を食べ終わって適当に散歩していたら、おそらくその街のメインの商店街に迷い込んだ。宝石と時計が一緒に売ってるお店とか、たぶんずっとあるボロボロの閉店セールのポスターがショーウィンドウに大量に貼られてるブティックとかを見ながら歩く。ほとんどが夕方のうちに閉まっていたけど、横から見たらなんのこっちゃまったくわからないネオンが光っているゲームセンターだけが営業中だった。
とくにやることもないのでそのままゲームセンターに入る。地下に降りるとプリクラフロアだった。プリクラコーナーには男性だけの入場禁止と書かれた看板が置いてあったが、あまりにも誰もいなかったので店員に男3人で入っていいか聞いたら「全然いいですよ」って言われた。全然ではないでしょうに、と思ったけどなんとなくそのまま3人でプリクラを撮った。適当に落書きをして出てくるのを待つ。大人になって待つことの耐性がついたのか、技術が進歩したのかわからないけど、昔よりもすぐ出てくるようになった気がした。
高校のころもこの3人でゲームセンターによく行ってたことを思い出した。体育祭の打ち上げの日は3人だけじゃなくて女子も後輩もたくさんいて、高3の男子が全部払ってみんなと何回もプリクラを撮り続けるという結構しんどいイベントがあったのだけど、当時は心の底から楽しんでやっていたのだ。吉祥寺のロフトの地下のゲーセンが、まだメダルゲームコーナーが広かった時代。あのとき撮ったプリクラが今どこにあるかまったく思い出せないけど、クラスLINEを見返したらアルバムに全部残っていた。誰かが月額を払ってくれていたおかげで、卒業アルバムより懐かしい写真が存在してくれている。クラスのみんなで割り勘してもよかったなと思った。
ゲーセンを出ると大分の街だった。吉祥寺なわけがないのに、繊細に高3を思い出せるのはどうしてなんだろうと思いながら宿に帰る。恥ずかしいから友達に見られないように、自分のメモにプリクラって書いて寝た。
2023年5月、僕らは本多劇場に立った。舞台上には2台のプリクラが置いてある。観に来てくれた人たちは誰ひとりあのプリクラに入ったことはない。それでも小屋入りして最初にスタッフさんたちが設営してくれた舞台を見たとき、全員ここに来たことあるだろうなと思った。大分でも吉祥寺でも下北沢の劇場でも一貫してゲーセンがまとっている空気みたいなものがたしかにあって、それをみんなで面白がる空間を作り出せたことがうれしかった。千秋楽が終わると舞台にはなにもなくなって元に戻る。それでもおのおののゲーセンが潰れるまでは、聖地巡礼できると思う。もう少し仕事が落ち着いたら、とりあえず吉祥寺に行きたい。
ダウ90000第5回演劇公演『また点滅に戻るだけ』配信情報
購入期限:6月30日(金)19:00 ※視聴は同日23:59まで
チケット:4,000円
配信チケット詳細はこちら
ダウ90000公式YouTubeチャンネル「ダウ九萬」では、本公演のメイキング映像を公開中。
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