全員が「最強」の芸人版魔界統一トーナメント『THE SECOND』ファイナリスト8組の魅力
結成16年を超えたコンビが1対1の漫才バトルを繰り広げ、王者を決める大会『THE SECOND ~漫才トーナメント~』の決勝戦が5月20日(土)にフジテレビで放送される。激戦を勝ち抜き、決勝へとコマを進めた漫才師はこの8組。
スピードワゴン、三四郎、超新塾、ギャロップ、金属バット、囲碁将棋、マシンガンズ、テンダラー
あまりにも渋過ぎる。いったいいつの『爆笑オンエアバトル』(NHK)かと錯覚する激渋メンバーに、名前を眺めているだけでも震えと脳汁が止まらない。今さら説明不要ではあるが、各組の魅力を僭越ながら紹介させていただきたい。
スピードワゴン
若い世代には「SEKAI NO OZAWA」と「ハンバーグ師匠」の印象が強いスピードワゴンだが、『M-1グランプリ』では2002年、2003年と決勝進出を果たしている。れっきとした漫才強者。
小沢一敬のあまりに独特過ぎる、世界を舐め回すような変態的妄想力と、それに振り回されつつも場の流れを巧みにコントロールし、マシーンのように正確なツッコミを入れる井戸田潤の空間認識能力は、もはや芸術の域。もともとの爆発力に加え、成熟味を増したふたりのロマンティック漫才は今が全盛期と言っても過言ではない。
三四郎
ニッポン放送の元気印、この世界の光、三四郎がようやく賞レース決勝の舞台へと降臨した。
たったワンフレーズでその場の空気をすべてひっくり返す言葉の力を持つ天才・小宮浩信と、何が起きようがまったく動じることなく相田で在りつづけるお笑いサイコパス・相田周二。どこまでがネタでどこまでがアドリブなのかわからなくなるカオス漫才は、観る者を迷宮へと誘い、確実に脳を溶かす。
超新塾
『エンタの神様』(日本テレビ)、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)を観ていた世代の人間にとっては大スターと言っても過言ではない5人組お笑い集団。
確実に観客の笑いを誘うタイガー福田、天を突くような鳴き声で場を盛り上げるサンキュー安富、パワフルなボケと時にはイジられ役もこなすブー藤原、そのキャラクターを活かした外国人ボケを繰り出すアイクぬわら、そしてそのすべてのボケを完璧にさばき切るイーグル溝神の達人級のツッコミ。5人の抜群のコンビネーションから繰り出される異常なまでの質量とスピード感の漫才は、たった数分にもかかわらず単独ライブ、ロックンロール劇場を観に来たような錯覚に陥る。
ギャロップ
よしもと随一のチャーハン好き「チャーハン林」としても知られる林健と、「DJ KELLY」として大阪のフロアを沸かしつづける毛利大亮のコンビ。
個々の活動はもちろん『M-1グランプリ2018』では決勝進出も果たした実力派で、派手さはないにもかかわらず、気がつけばふたりの話に耳を支配されてしまう。長い年月、研鑽に研鑽を重ねて培われたそのテクニックは「話術の鬼」。
金属バット
「漫才中は何を言ってもいい」を地で体現する最も危険な漫才師。長身坊主の小林圭輔と猫背長髪の友保隼平という、一度見たら二度と忘れることができないマンガから飛び出したような出で立ち、無軌道に繰り出されるコンプライアンススレスレのワードチョイスは死角から殴られたような衝撃を受ける。
どんな大舞台だろうが一切自分たちのペースを崩すことなく飄々と始まるふたりの漫才は、ただ立っているだけでも異様な覇気を放ち、その場の空気を支配していく。何をしていくのかまったくもって予測不能。金属バットの漫才を体験した人間は確実に中毒になってしまうだろう。
囲碁将棋
「芸人界タイマン最強」と言われるほどの圧倒的戦闘力を持ち、物事を斜めから切り取る視点で革新的なネタを生み出しつづける文田大介と、ドジャース時代の野茂英雄Tシャツを年中無休着こなし、唯一無二のリアクション能力と「なぁ!」「いねぇって!」「やってみろよ!」など魂を削りながら放たれる剛速球ツッコミで観客の心を揺さぶる根建太一からなる、芸人が憧れる芸人ナンバーワンのハイタワーコンビ。
ボケとツッコミがシームレスに入れ替わりながら熱い会話劇を繰り広げるケンカ漫才は、笑いのナイフエッジデスマッチ。同世代をピンポイントに撃ち抜くニッチ過ぎるワードチョイスと、たとえ知らなくても無理やり観客を笑わせるパワーは間違いなく「化物」。ようやくふたりに時代が追いついた。
マシンガンズ
「ゴミ清掃専門家・滝沢秀一」と「発明家・西堀亮」の肩書を持つ、アカデミックな皮を被った太田プロ最強の自爆漫才師。
狂人的とも言えるマイナス精神から繰り出されるキレ味鋭いネタは他人を傷つけ、そして自分をも傷つけるまさに「諸刃の剣」。『お笑い成人式』(BSフジ)初代チャンピオンとの二冠王者に期待がかかる。
テンダラー
気持ちよさすら感じる常軌を逸したハイスピードなテンポ感と、いつ見ても裏切られることのないその安定感を兼ね備えた「西の番長」。
テンダラーの漫才を観たあとは全員の出身地が「大阪」になってしまう。100年後の辞書で「漫才」と引けばそこには確実に「テンダラー」と書かれているに違いない。もはや漫才よりも漫才、その一挙手一投足から一秒たりとも目が離せない。
全員が「最強」の芸人版魔界統一トーナメント『THE SECOND』。どんな結果になるにせよ、全国放送、しかもゴールデンタイムでこのメンバーの漫才が1組あたり最低6分も拝めるという事実だけで、『THE SECOND』を作ってくれた関係者全員に「生まれてきてくれてありがとう……」と言いたい。
そして、この大会が『M-1グランプリ』に匹敵するくらいの大きな賞レースとなり、優勝した芸人だけでなく決勝に行った全員が爆発的に売れてくれることを願って今日から放送日まで1日1万回、感謝の正拳突きをしたいと思う。伝説となる記念すべき初代王者の誕生を絶対に見逃すな……。
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