3つの「会えてよかった」
『KCON 2023 THAILAND』に参加して一番強く感じたことを言葉に表すなら、「会えてよかった」になるだろうか。JO1がJAMに、JAMがJO1に、そしてJAMがJAMに──。
まずは、JO1が海外のJAMにやっと「会えてよかった」。
夜のライブの前には、隣接する会場でMEET & GREETやSTAR SQUAREというかたちでトークイベントが行われ、何度も「タイに来ることができてうれしい」「やっとタイ料理が食べられました!」「いろいろな場所から足を運んでくれてありがとう」とタイの印象や集まったファンに対して感謝の気持ちを言葉にしていた。
コンベンションを訪れた際には、ファンアート作品をうれしそうに手を取って眺めているメンバーの姿があった。遠く離れた海外にもたくさんのJAMがいることを、初めてリアルに感じられた瞬間だったのではないだろうか。
ライブ中のMCでも日本語を一切使わず、與那城奨・川尻蓮・河野純喜・大平祥生・鶴房汐恩で分担してタイ語・英語・韓国語の3カ国語で挨拶をしていた姿が頼もしかった。特に印象的だったのが、リーダーの與那城奨が7thシングルの告知をした際、観客からすぐに歓声というかたちでレスポンスが返ってきた瞬間の笑顔。日本とは異なる客席との距離感を新鮮に楽しんでいる様子だった。
そして、タイやアジアのJAMがついにJO1に「会えてよかった」。
イベントの合間に海外JAMと話していて感じたのは、「自分の国に大好きなアイドルが足を運んでくれることの特別感」である。タイ以外にも、インドネシアやベトナム、フィリピン、マレーシア、香港から来ていたJAMと出会い、「今までオンラインで観ることしかできなかったけど、やっと直接会えた」という言葉についもらい泣きしてしまった。
新型コロナウイルスによる渡航制限が緩和されたとはいえ、日本まで来ることは難しく、だけどタイになら行けると話してくれたJAMもいた。ビザや経済的な理由で、同じように東南アジア地域でのイベントを心待ちにしていたJAMは少なくないはずだ。
MEET & GREETのゲームコーナーで、佐藤景瑚と木全翔也があっち向いてホイをやった流れで、タイ語でのじゃんけんを司会者から教えてもらいその場で披露した。そのときに客席から響いた悲鳴はおそらく声にならない「かわいい」であり、自分の推しが自分の国の言葉を話してくれることがどれだけ幸せでうれしいことかを実感できた瞬間だった。
最後に、好きという気持ちを分かち合える海外JAMに「会えてよかった」。
あるタイ人JAMの彼女は、推しの白岩瑠姫・河野純喜とヨントン(オンラインお話し会)をしたときの話をしてくれた。JO1は海外向けにヨントンの枠を設けているわけではないので、どこに住んでいようと同じ条件で行われる抽選に応募しなければならない。配送料や必要な手つづきを考えると、海外在住のファンにとってはかなりハードルが高いなか、それでも推しと話したいという熱烈な想いを抱く同志が世界中にいるのだと知った。自分の伝えたいことを母語ではない日本語と英語で準備をして、30秒という短い時間ぎりぎりまで愛を伝える姿を想像しただけで、愛おしくて温かい気持ちになる。
会場内を歩いているだけで、「JAMですか? これもらってください!」とたくさんのJAMが話しかけてくれて、気づいたらカバンの中がJAMからのプレゼントでいっぱいになっていた。出身や年齢といったバックグラウンドよりも「Who is your oshi?(推しは誰ですか?)」から始まる国際交流。
香港から来た日本語がペラペラの祥生JAMは、なんと日本での仕事が決まり、近々東京に引っ越すというので、次は日本で会いましょうと再会の約束をした。JO1に出会って彼女の人生が変わったと言っても過言ではないのだから、推しの持つパワーはすごい。
コンベンション内ではタイJAMが運営するファンクラブブースが設置され、訪れたJAMからの手書きメッセージが数多く寄せられた。会場周辺には、ファン有志が出資した応援広告がたくさん掲出され、会場の外も中もJO1への愛で包まれていた。
言葉や文化の違いがあったとしても、同じ「好き」という気持ちを分かち合える仲間がいると知れたことが、今回の旅での大きな収穫であり、まだ数は多くはないかもしれないけれど、これだけ熱量の高いファンがいてくれるなら、JO1はもっともっと活躍の場を世界に広げていけると確信に近いような感覚を得られた。
今、開かれた世界への扉
ドキュメンタリー映画の主題歌「飛べるから」がリリースされてから1年。「いつだってここからさ いつだって飛べるから」という歌詞が、リリース当初は少し先の未来に希望を託しながら、自分たちに言い聞かせるような祈りの言葉に聞こえていた。タイから日本に帰国する飛行機の中で改めて聴き直すと、「いつだって=今」なんだという力強い出航宣言へと変わった。
映画の中で佐藤景瑚が「コロナは神が与えた試練」「準備してから世界に行けよというメッセージ」と話していたように、準備や環境が整うまで時間はかかってしまったかもしれないけれど、重くて分厚かった世界への扉がやっと開かれた今こそ、いつだってどこにだって飛んでいける。
世界各地で待っているJAMに、そしてまだJO1のことを知らない未来のJAMに、これから会いに行こう。日本から世界へ、「Go to the TOP」への道のりはまだ始まったばかりだ。
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