お笑いコンビ・ランジャタイの国崎和也が、徒然なるままにコラムを執筆。本連載での名義は「ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん」です。
息をするだけでも疲れるような暑い夏、国崎さんのコラムを読んで心身共に休暇を取ってくださいね。
この世でいちばんカッコいい人たち
最近暇ができたので、ずーっとボーっとしていた。
最高だった。
やっぱり、人間ぐーたらすごすのが、1番いいのだ。
『人生、マジで本当に楽して暮らしたい。
いや、マジでマジで。』
その考えのもと、
『芸人』という、
めっちゃラッキーな仕事にありつけている。
お天道様は明るく、
ご飯まで食べさせてもらっている。
このあいだ水族館で、イルカに乗る仕事があった。
イルカに乗って、はしゃいで
シェーーー!とポーズした。
最後は出演代として、ギャラまでもらえた。
信じられない仕事だ。
普通は考えられない。
イルカに乗って、はしゃぐ仕事。
給料明細も、もっと明確に書いてくれたら信じられない仕事だというのがわかる。
○月分 給与 国崎和也 様 |
イルカに乗ってシェーーーーした | ○○円 |
ペンギンの群れを見て驚いた | ○○円 |
スタジオで意味不明なことをした | ○○円 |
京都に行き、漫才せずふざけた | ○○円 |
インタビューで嘘しかつかなかった | ○○円 |
湾岸スタジオでお面をつけて踊った | ○○円 |
TBSスタジオでボケまくった | ○○円 |
名古屋に行き、ふざけた | ○○円 |
福岡に行き、ふざけた | ○○円 |
ラジオであることないこと喋った | ○○円 |
合計額 | ○○○円 |
最高だ。
大の大人がやっていいことじゃない。
最高だ。
すべてに感謝したい。
すべてにキッスの毎日だ。
自分の父親はタイル職人をしている。
自分と真逆の人間で、職人気質な、真面目な人間だ。
田舎に帰ると、
仕事をちょいちょい手伝っていたことがあった。
朝早く出かけ、ボーっとする中、
トラックに乗り、現場へ行く途中
パンをかじる自分に、よく父親は話した。
「世の中をよく見ておかんなん、新聞だけは読め。どこでもいい、なんでもいい。この仕事(芸人)に携わっている以上、世の中の流れを頭にいれておかんなん。なあ、和也。新聞だけは読んでおけ。」
朝日が眩しく照らす中、目を細めてタバコをくわえて、それから、今日やる仕事の会話になる。
新築の家で、玄関にタイルを貼る。
現場に着き、他の大工さんらに挨拶をして、
トラックの砂山からセメントと混ぜて、コンクリをねる。
自分の仕事はここまでだ。
あとは父親の仕事で、下地にコンクリを、なんだかんだして、タイルを貼っていく。
夏日。
建つ前の家。
新築。
クーラーなんかない玄関になろうかという場所で汗をかいて
一つ一つ丁寧にタイルを貼っていく。
全体まで貼れたら、勾配を確認して
仕上げをしていく。
仕上がると、何度も何度も繰り返してまた出来を見て、勾配を見映えを確認する。
心からタイル職人だ。
親なのだが、自分とはまったく違う物に見える。
2階からは大工さんたちの、木材を運んだり、
トンカチ音、何かを組み立てる音が聞こえる。
お昼。
休憩になり、まだできていない2階部分に上がる。
まだ壁もない、吹き抜けの骨組みで、
大工さんらとご飯を食べる。
壁も何もないので、丸見えの外の景色が、
山々に、少し向こう側にチラッと見える海の青が、
箸をくわえ、上を見ると青空が見える。
骨組みを吹き抜けて、心地よい風が、
みんなと食べるお昼ご飯が、
最高に素晴らしい。
休憩が、終わり、皆がまた仕事に戻る。
それぞれの職人さんが自分の仕事をして、
それぞれの役割を果たして、
一つの家ができていく。
一軒家が建つ。
この世でいちばんカッコいい人たちだと思う。
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