『それでも芸人やりますか?』25年売れていない芸人のリアル生活|神宮寺しし丸の“生き方説明書” #10


『半額お惣菜界に超新星現る!』

以前このコラムで書きましたが、僕の食生活は98%が半額になったスーパーのお惣菜です。しかし、最近そのゲット率が落ちて来ています。なぜか? 強力なライバルが現れたのです。

スーパーのお惣菜売り場で半額シールが貼られる時間にいくと、徐々にその時間に集まるお客さんの顔を覚えて来ます。その時間になるといつも見る顔。それでも挨拶を交わすことなどありません。これには2点あります。

まず1点目。
それは半額のお惣菜を争うライバルとしての意識です。仲良くなると「あっ、どうぞ」などと言ってお目当てのお惣菜を譲る“おとな気”を出してしまうこともあるでしょう。半額お惣菜ゲッターに“おとな気”は禁物です。僕らは、空腹に耐えながら半額シールが貼られる閉店間際の時間まで待って来店する“おとな気”ない人種なのですから。

もう1点。
それは「半額の時間を狙って来てる訳じゃない。たまたま来たら半額だった」の体を取っているからです。なのでお互いすまし顔。なんなら「最近この辺りに引っ越して来たばかり。今日初めて来たスーパー」くらいの顔をしている半額狙いの常連さんもいます。プロですね。

そんな半額お惣菜ゲッター界に超新星が現れたのです。
超新星と言っても40代であろう中年男性です。しかし、動きが早い。お惣菜係のおばちゃんが半額シールを貼ると同時におばちゃんの手と入れ替わるよう彼の手が伸びて来ます。その動きは実に滑らかで美しく、NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』で特集されてもおかしくないほど。実際やってることはフジテレビの『ザ・ノンフィクション』なのですが。

時には狙いを付けたお惣菜がまだ30%OFFの段階でカゴにキープしておき、おばちゃんが現れたら半額シールを貼って貰うという荒技も。これは厳密には反則で、お惣菜裁判にかけられれば無期懲役レベルなのですが、カゴにお惣菜をキープするタイミングと半額おばちゃんが現れるタイミングがほぼ同時くらいの絶妙なタイミングなのです。最近では彼がキープしだすと「あっ、おばちゃんが現れるな」となるほど。

この超新星が現れてから僕の食生活は変わりました。お目当てのお惣菜にありつけず、時には手ぶらで帰宅することも。この状況を打破する為に僕が編み出した作戦。それは、「食べない」というものでした。まさか「食にありつく」為に考えた結果が「食べない」になるとは……。

皆さんは“オートファジーダイエット”という言葉をご存じでしょうか?
人間には16時間以上の空腹時間を作ることで、古い細胞を新しく生まれ変わらせる機能があるそうです。これによりダイエットだけでなくアンチエイジング効果も期待できるのだとか。

僕はそもそも健康志向です。「半額のお惣菜で何を健康になろうとしとんねん!」と、ヤジや空き瓶が飛んで来そうですが、その議論はまたの機会に。
とにかく、健康に配慮して、お惣菜も唐揚げ等の揚げ物はなるだけ避けるようにしております。そこに来てこのオートファジーです。空腹を我慢することで健康になれるのなら願ったり叶ったり。お惣菜をゲットできず手ぶらで帰宅しても、もう泣くことはない。だって健康が待っているんだもの。

ということで、お惣菜をゲットできなかった日は、そこから16時間の断食に入っております。これが46歳売れない芸人のリアル健康法です。

※マネする時は自己責任でお願い致します。

【教訓】

芸人だろうとなんだろうと、今夢を追っているあなた!
一刻も早く売れましょう!
さもないと、1000円カットにプライドを持ったり、断食することになりますよ!

連載神宮寺しし丸の“生き方説明書”は、毎月1回の更新予定です。

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