夢を諦め切れない…かつての自分と重なる役で迫真の演技を見せた白岩瑠姫【JO1初主演ドラマ『ショート・プログラム』レビュー】

2022年3月4日にデビュー2周年を迎えた、11人組のグローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」。あだち充の同名短編集を原作に、彼らがそれぞれ1話ずつドラマ初主演を務めた『ショート・プログラム』が3月1日よりAmazon Prime Videoにて配信されている。
QJWebでは、このドラマの概要と見どころを記したレビューを1話ずつ掲載していく。第8回は、白岩瑠姫が主演を務めた『ショート・プログラム』を紹介する。
ついに掴んだ“JO1”という夢
JO1のメンバーでありながらグループのことを冷静に俯瞰しつつ、結成当初はあまりに個性の強いメンバーたちを前にして「長くつづくとは思わなかった」と話していた白岩瑠姫。しかし、そのメンバーと共にさまざまな苦難を乗り越え、心を交わし、今や「心から家族と言える」と話すほどグループに愛を注いでいる姿は、とても微笑ましい。
10代のころからアイドルとして活動するも夢に届かず、何度も諦めかけてきた彼が、ついに掴んだ夢。今は、その夢を叶えたメンバーと共に、新たな挑戦をしつづけている。その中のひとつが、この主演ドラマ『ショート・プログラム』だ。

夢を諦めた青年が、危機から救ってくれた女性に惹かれていくが……
白岩が演じたのは、ケガで夢だったダンスを諦めてしまった戸田星也。ある日、バイトから帰宅すると家ではストーカー化した元カノが包丁を振り回し、星也を刺そうとしたのだ。そんな危機一髪の瞬間、窓ガラスに大きな衝撃音が。その音に驚き、動きを止めた元カノの隙を突いて危機を脱し、彼女を家から追い出すことに成功。
窓を開けると、星也宅に向かってサンダルを投げた向かいのアパートの住人・森村直美が「大丈夫ですか?」と声をかける。危機を救ってくれた直美に恋をした星也。偶然の再会を果たした直美と星也は距離を縮めていくが、そのころから星也のまわりでは不思議なことが起き始め……。
儚くも大人の色気を持つ女性・直美を演じたのは、柳ゆり菜。美しく、でもどこか影を抱えたヒロインを見事に演じ、物語に深みを与えている。監督を務めたのは、映画『ハローグッバイ』や『体操しようよ』などを手がけた菊地健雄。

緊迫感あふれる物語に、白岩瑠姫の演技力が試される!?
まず、ケガが原因で夢を諦めようとしながらも、うまく諦めることができない姿に、JO1になる前の白岩瑠姫の姿を重ねる人も多いだろう。つづけたい、つづけられない、つづけるのが正解なのか、否か──。星也は、直美との出会いによってもう一度夢を目指そうとするのだが、ここからが今作の真髄。星也が腰を痛めた翌日、自宅アパートのドアに接骨院のチラシが貼られていたり、コンビニ弁当を食べていると今度はサプリメントがドアノブにかけてあったり……。これは果たしてストーカーとなった元カノの仕業なのか、それとも──。
そこで芽生えた“もしかしたら”という恐怖心と、それでも貫きたいと思うほど抱いてしまった“好き”という想い。それが常識を超えていたとしても、たとえ理解されないとしても、好きになってしまったら止められない。そんなどうしようもない想いをベールに包むことなくぶちまける恋愛の道と、並行して走りつづける夢の道。
星也と直美は、果たしてどちらを選ぶのか。狂おしくも切なく、歪んだ愛情と真っすぐな気持ちはいったいどこへ向かうのか──。狂気に満ちたふたりを見事に演じ切った白岩と柳ゆり菜の芝居は、緊張感にあふれ、一気に物語に引き込まれてしまうはずだ。
ほかのメンバーが主演したドラマとはまた一線を画した内容になっている今作は、より白岩の演技力が試される仕上がりとなっている。感情を剥き出しにして、相手を求める白岩の姿は必見だ。そしてラストシーンは、彼らのルーツである『PRODUCE 101 JAPAN』を観た人であれば、ニヤリとする仕上がりに。最後の最後まで、じっくりと物語を楽しんでもらいたい。
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JO1初主演ドラマ『ショート・プログラム』
配信開始日:2022年3月1日(火)よりAmazon Prime Videoにて独占配信中!
作品ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B09PQRYF97
出演:大平祥生、川尻蓮、川西拓実、木全翔也、金城碧海、河野純喜、佐藤景瑚、白岩瑠姫、鶴房汐恩、豆原一成、與那城奨ほか
原作:あだち充
脚本:山浦雅大、守口悠介ほか
監督:渡部亮平、菊地健雄、上村奈帆、土屋哲彦、益山貴司、森谷雄
プロデューサー:北橋悠佑、森谷雄、斎木綾乃
制作:アットムービー
製作:吉本興業
(c)あだち充・小学館/吉本興業
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1話読切の短編集。あだち充ならではの青春感や切なさがふんだんに注ぎ込まれた作品集を、JO1メンバー全員が主演を務め、世代を超えて、現代に生きる視聴者にも共感・共鳴できるドラマに仕上がった。
さらに、メンバー11人全員が出演する最終話「Dreamer」も3月14日(月)よりサプライズ配信がスタートした。
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