オーストラリアで孤独から救ってくれた東京03のコント

2022.1.18
『クイック・ジャパン』vol.158表紙(東京03)

文=髙木美佑


きっともっと、彼らに夢中になる素質はあったと思う。家族みんなTVっ子だったし、映画やマンガなら、人と人の些細なやりとりや、人間の単純ではない感情が描かれている作品が好きだった。

だから、東京03のコント動画との出会いはもはや必然だったのかもしれない。


孤独な留学生活に光をくれた救世主

東京03のコントを初めて観たのは3年前、そのとき私はオーストラリアに住んでいた。目的は語学力の向上だったため、日本語と関わらないように必死だった。外国人だけのシェアハウスに住み、語学学校へ通い、アルバイト先の日本食レストランでもできるだけ英語を使うように心がけていた。

そんな生活も半年が過ぎると、日本語が恋しくなってくる。英語で話さなければならないことが憂鬱で、シェアメイトがいるリビングにも顔を出さず、部屋に籠るようになっていた。語学力はまだまだ未熟だし、情けなくて日本へは帰れない。でも、日本語で書かれた小説やマンガが読みたい。日本のラジオが聴きたい。日本のTVが観たい。

我慢の限界を迎えようとしていたそんなある日、YouTubeを開いて目に留まったのが東京03のコント動画だった。

ちょっとした好奇心で1本のコント動画を観た。ラジコンを壊してしまい、それを同僚が修理しようと試みる「救世主」というネタだった。「修理できる」と言う飯塚へ一方的に期待し、期待通りの結果が得られなかった途端に豹変する角田と豊本。見事だった。本当に面白かった。3人みんながキラキラ輝いていて目が離せなかった。

水を得た魚とはまさに今の私のことか、と心の底から思った。小説や音楽の歌詞に感じるような日本語の美しさを。東京03のコントから感じた。ありふれた日常のように思えるけれど、辞書をいくら探しても見つからないような名前の感情を持った人間ドラマだった。

そして、気がつくと私は、東京03のコント動画すべてを観ていた。

それから毎日、東京03の公式チャンネルが更新されていないかチェックした。彼らのコントよりも私の感情は思いのほか単純で、楽しみがひとつでもあると気持ちが前向きになる。少しずつ、留学をはじめたころのような明るい気持ちを取り戻すことができた。

日本へ帰国してからはファンクラブに入り、単独公演にも行くようになった。

私の「留学時代」というショートコントに光を与えてくれたのは紛れもなく東京03だった。これから先、私にはどんなコントが待ち受けているのだろう? いつか誰かとユニットコントをする日も来るのだろうか? そのときはオリジナルグッズも作りたい。

※この記事は『クイック・ジャパン』vol.158に掲載のコラムを転載したものです。


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髙木美佑

1991年生まれ、東京都在住。セルフポートレートや自己の体験を中心に作品制作を行う。2020年12月に初の作品集『きっと誰も好きじゃない。』を刊行。 MIYU TAKAKI