どんな区分も関係ない。ありのままに生きればいい
歌手・氷川きよしは、「限界突破×サバイバー」をきっかけに音楽性の幅を広げ、近年はポップスも多数リリースしています。ただ本人の中で「演歌/ポップス」と明確にジャンル分けする意識はあまりないらしく、MCでは「そういうふうに区別する時代じゃない」と語っていました。
歌を通して、「どんな区分も関係ない。ありのままに生きればいい」と繰り返し伝えるkiinaは、力強い歌声も、華やかな舞台衣装も含めて、まるで世界のディーヴァ。一方で、観客の大半がおばあちゃんというギャップがおもしろい。彼女たちは、どんなふうにkiinaのステージを受け止めているのだろう?
……ですが、古参ファンに対して、ドにわかである自分が気を揉むのも失礼な話ですね。ジェンダーでもなんでも現代に比べて規範意識がいっそう強い時代を生き抜いた彼女たちには、私よりもよほど真摯にkiinaのパフォーマンスが突き刺さっているのかもしれません。
逆にkiina側は“きよしくん”を愛するファンに何を感じてきたの?
「現在の氷川きよしを長年のファンはどのように受け止めているのか?」という旨のツイートが定期的にバズりますが、自分がそれ以上に気になるのは、「kiina側はファンにどのような感情を抱いているのか?」ということです。
コンサートは、MCがかなり多め。ラジオ番組のパーソナリティを務めているだけあって、しゃべりも達者です。その中での発言を聞くに、現在のkiinaにとって、「歌手・氷川きよし」はかなり複雑な感情を抱く存在なのかもしれないと感じました。MCではこのように語っていました。
「デビューからいろんな人に『ああしろ、こうしろ』って言われて、そのとおりにしてきて、サイボーグみたい」
「kiiとかkiinaって呼んでほしい。“きよしくん”だと、ちょっとキャラを押しつけられているように感じちゃう」
これは邪推かもしれませんが、“きよしくん”を愛するファンに対して、これまで心を閉ざしたくなった瞬間はなかったのでしょうか? やがてkiinaとしてステージに立つことを决めたとき、そこにあったのは、自身を長年応援してきてくれたファンへの深い信頼だったのか? もしも「これで嫌われるなら仕方ない」だとしたら、それはさっぱり清々しい感情だったのか? それとも悲しみや寂しさも多分に含まれたものだったのか?
氷川きよし、いつかインタビューしたいアーティストです。そのために来年のコンサートツアーも行かねば!
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