ドラマ『スカーレット』から思い出す、違和感を持つことにすら蓋をした過去

2020.1.27

文=西森路代 編集=鈴木 梢


ドラマには、まったく日常とかけ離れた世界を描くことで別世界にいざなってくれるものもあれば、世の中を映す鏡のように現実とつながっていることもある。さらに言うと、日常とかけ離れた世界を描いていても、世の中を反映していることもある。

そして人間の深層心理や、時代性と社会の複雑さを、繊細に描き出しているテレビドラマが、思っているよりもたくさん存在する。

ライター西森路代の連載「ドラマの奥底」では、そんなテレビドラマの世界が描き出す奥深さについて紐解いていく。今回はNHKの連続テレビ小説『スカーレット』の主人公が置かれている立場と振る舞いから、現代に残る生きづらさの種について考える。

女子が「女子」としてしか認められない時代

現在放送中のNHKの連続ドラマ小説『スカーレット』。戦後まもなく家族で信楽(しがらき)にやってきた絵の得意なひとりの女性の人生を描いたものながら、現実社会のことを思わせる作りになっている。

ヒロインの喜美子は、中学校を卒業したあと、大阪で女中として働くも3年後に信楽に戻り、男性ばかりの信楽焼の世界に飛び込む。そして、まずは絵付けの仕事から始め、やがてそこで出会った八郎と恋に落ち、彼に倣いながら陶芸の才能を発揮していく。

しかし、戦後の日本で女性が男性と同じように仕事をすることも、作品を認められることも容易ではなかった。

喜美子が絵付けの仕事を始めたときは、信楽初の女性絵付師として新聞に取り上げられ、その仕事の内容よりも、彼女が勤めている会社の「マスコットガール」として扱われ、「好きな食べ物はホットケーキ」という「女子」に求められがちなコメントだけが拾われて新聞に書かれてしまう。

喜美子が絵付けの仕事から陶芸の仕事に変わったあとも、周囲から「一人前」として扱われることは難しい。

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西森路代

(にしもり・みちよ)1972年、愛媛県生まれ。ライター。大学卒業後、地元テレビ局に勤務の後、30歳で上京。派遣社員、編集プロダクション勤務、ラジオディレクターを経てフリーランスに。香港、台湾、韓国と日本のエンターテイメントについて、女性の消費活動について主に執筆している。

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