『愛の不時着』『椿の花咲く頃』につづくのは?「第57回百想芸術大賞」の受賞者・作品が決定!

2021.6.1
百想芸術大賞

文=ジニ 編集=高橋千里


2021年5月13日、韓国・京畿道高陽市にて第57回百想(ペクサン)芸術大賞の授賞式が行われた。昨年に引きつづき無観客での開催となった授賞式の様子をお伝えする。

韓国のゴールデン・グローブ賞「百想芸術大賞」

年に一度開催される百想芸術大賞は、「韓国のゴールデン・グローブ賞」とも呼ばれている式典。
・TV部門(ドラマ、芸能、教養)
・映画部門
・演劇部門

と、各部門にてその年の優秀作品と演技者に賞が贈られる。昨年は『愛の不時着』や『梨泰院クラス』を押さえて『椿の花咲く頃』がTVドラマ大賞を受賞したことで話題になった。

ちなみに『梨泰院クラス』出演のキム・ダミは新人演技賞、『愛の不時着』に出演したヒョンビンとソン・イェジンはそろってTikTok人気賞を受賞していた。

すべての放送局に加え、Netflixなどのインターネット動画配信サービスの作品も受賞の対象。話題性や注目度はもちろん、芸術的な視点からも総合的な評価がされる。

話題の「TVドラマ部門」の受賞者・作品は?

今回は、話題の「TV部門」にスポットを当てて受賞作品・受賞者を紹介する。

最優秀作品賞:『怪物』

連続殺人事件の犯人を追うふたりの警官を主人公にしたサスペンスドラマ『怪物』(日本での配信は現在なし)が作品賞を獲得。スリラー、ミステリー要素を巧みに取り入れたストーリー構成で、脚本賞も同時に受賞した。

派手な演出に頼らない、しっかりとした演出とキャスト陣の演技。先の読めない展開で視聴者を最後まで飽きさせず、楽しませた作品として高い評価を得たことが受賞の大きな理由となった。

男性最優秀演技賞:シン・ハギュン/『怪物』

男性最優秀演技賞を受賞したのは『怪物』で主演を務めたシン・ハギュン。作品内では目の充血、震えまでを表現し、圧倒的な演技力を見せつけた。

授賞式では、「『怪物』に参加したすべてのスタッフと俳優たちに、この栄光をお返ししたいです。ここに立つと、とても恵まれている俳優だと思えます。たくさんの関心の中でこのステージに立てたことがうれしく、幸せです」とコメントし、共に作品を作ってきた仲間たちへの感謝の気持ちを伝えた。

シン・ハギュンのこのほかの代表出演作品は、ドラマ『交渉人〜テロ対策特捜班〜』『Mr.Back』、映画『高地戦』など。

女性最優秀演技賞:キム・ソヨン/『ペントハウス』

韓国で高い視聴率を獲得した話題のドラマ『ペントハウス』にて、悪女役を演じたキム・ソヨンが女性最優秀演技賞を受賞。

授賞式では「本当に感謝しています。私がこの賞をいただいていいのかわからないほど。おもしろく、鳥肌が立つような台本を書いてくださった脚本家キム・スノクさんと、実力以上の演技を引き出してくれたプロデューサーのチュ・ドンミンさんに感謝しています。『ペントハウス』の制作陣、俳優の皆さんをとても愛しており、尊敬しています」と涙ながらにコメントした。

現在『ペントハウス』はシーズン3を製作中。次回作への意気込みも語っていた。

キム・ソヨンは過去に、ドラマ『ロマンスが必要3』『イヴのすべて』『アイリス』などにも出演している。

助演男優賞:オ・ジョンセ/『サイコだけど大丈夫』

助演男優賞は『サイコだけど大丈夫』にて自閉スペクトラム症を患う主人公の兄役を演じたオ・ジョンセが受賞。昨年の『椿の花咲く頃』につづき2年連続受賞の快挙となった。

授賞式では「助演は“主演を助ける”と書きます。逆に、助演は主演が助けてくれないと何もできません。多くの支援を受けた作品でした」と謙虚さを感じられる言葉でコメント。主演のキム・スヒョンにも感謝の気持ちを伝えた。

オ・ジョンセの代表出演作品は、ドラマ『サイコだけど大丈夫』『椿の花咲く頃』のほか、ドラマ『ヴァンパイア探偵』、映画『スウィング・キッズ』など。

助演女優賞:ヨム・ヘラン/『悪霊狩猟団:カウンターズ』

ファンタジーとアクションを織り交ぜたドラマ『悪霊狩猟団:カウンターズ』にて、カウンターズのお母さん的存在チュ・メオク役を演じたヨム・ヘランが助演女優賞を受賞。これまでも何度か候補に上がっていたものの、今回が念願の初受賞となった。

授賞式では「この作品は、アクションファンタジーなので私ひとりでは演じることができない作品です。代わりにアクションを演じてくれた俳優の方々がいなかったら、この賞をもらえることはありませんでした」とコメント。アクション俳優への感謝の気持ちを伝えた。

ヨム・ヘランは、過去にドラマ『賢い医師生活』『ライフ』、映画『ガール・コップス』でも熱演が話題となった。

新人男優賞:イ・ドヒョン/『18アゲイン』

新人男優賞は、ファンタジーラブロマンスドラマ『18アゲイン』で、18歳に戻ってしまった主人公という難しい役柄を演じたイ・ドヒョンが受賞。

授賞式では「受賞するとは思いませんでした。候補者が名だたる方々なので今日はお祝いするつもりで駆けつけました。大きな賞をくださってとても感謝します」と涙ぐみながらコメント。驚きの気持ちを素直に語りながらも、作品のスタッフや家族へ感謝の気持ちを伝えた。

このほかにも、イ・ドヒョンはドラマ『スカウティングレポート』『Sweet Home』、映画『One Summer Night』などに出演していた。

新人女優賞:パク・ジュヒョン/『人間レッスン』

新人女優賞に輝いたのはNetflixオリジナル作品『人間レッスン』にて、存在感のある演技を披露したパク・ジュヒョン。

授賞式では「招待してくださっただけでも光栄なのに、新人賞までくださったことに感謝します。夢にまで見た賞を手にするきっかけを与えてくれた『人間レッスン』、本当にありがとうございます」とコメント。涙を見せながら、共に作品を作ったキム・ドンヒ、チョン・ダビンにも感謝の気持ちを語った。

パク・ジュヒョンの過去の代表出演作品は、ドラマ『半分の半分』『マウス』、映画『僕の中のあいつ』など。

男性TikTok人気賞:キム・ソンホ

TikTokアプリを通し、全世界のユーザーの投票によって選ばれるTikTok人気賞。男性はキム・ソンホが130万票の最多得票を集め受賞した。

舞台俳優出身のキム・ソンホは、ドラマ『スタートアップ:夢の扉』『トゥー・カップス〜ただいま恋が憑依中!?〜』など話題作品に続々出演。今後の活躍が期待されている。

授賞式では「これはファンの皆さんからいただいた賞です。多くの応援に一日一日が幸せです。いい演技と作品で必ず報いるようにします」とコメント。ファンへの感謝の気持ちとこれからの意気込みを伝えた。

女性TikTok人気賞:ソ・イェジ

女性TikTok人気賞はドラマ『サイコだけど大丈夫』『無法弁護士〜最高のパートナー』などに出演したソ・イェジが受賞。78万票を獲得し1位に。

ソ・イェジは、スタッフへのパワハラ、元彼の操縦説、過去の校内暴力などのさまざまな疑惑が浮上。数多くの論議が巻き起こっているなか、今回の授賞式は「個人の事情」で不参加となった。

主婦層だけじゃない。全世代に広がる韓国ドラマコンテンツ

作品の芸術性、演技者の表現力が評価される「百想芸術大賞」。視聴率や話題性はそこまで重視されていないが、視聴者も納得できる受賞作品・受賞者となったのではないだろうか。

動画配信サービスの普及、ステイホームの影響もあり、日本人にとってもますます身近になった韓国ドラマ。以前はDVDの発売を待ってから視聴する人が多く、どうしても韓国とのタイムラグが生じていたが、最近ではほぼリアルタイムで観られる作品も増えている。

また、少し前までは韓国ドラマは主婦層に人気のコンテンツであったが、最近では視聴者層の幅は若年層にまでどんどん広がっている。「百想芸術大賞」も、今後日本でもさらに注目を集めていきそうだ。

そのほかの「第57回百想芸術大賞」受賞者・作品一覧

TV脚本賞:『怪物』
TV演出賞:『悪の花』
TV技術賞:『サイコだけど大丈夫』
TVバラエティー作品賞:『遊んだら何する?』
TV教養作品賞:『アーカイブプロジェクト:モダンコリア2』
TV部門男性バラエティ賞:イ・スンギ
TV部門女性バラエティ賞:チャン・ドヨン
TV部門大賞:ユ・ジェソク
映画部門大賞:イ・ジュンイク/『玆山魚譜』
映画作品賞:『サムジングループ英語TOEICクラス』
映画シナリオ賞:パク・ジワン/『私が死んだ日』
映画芸術賞:『勝利号』
映画部門男性最優秀賞:ユ・アイン『音もなく』
映画部門女性最優秀賞:チョン・ジョンソ/『コール』
映画部門男性助演賞:パク・ジョンミン/『ただ悪から救ってください』
映画部門女性助演賞:キム・ソニョン/『三姉妹』
映画部門男性新人賞:ホン・ギョン/『潔白』
映画部門女性新人賞:チェ・ジョンウン/『姉弟の夏の夜』

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