アルコ&ピース(平子祐希・酒井健太)がMCを務めるテレビ東京のゲームバラエティ番組『勇者ああああ』。この連載では同番組の演出・プロデューサーを務める板川侑右が、主に過去に呼んだお笑い芸人についてエピソードを語る。
基本的にはゲームとお笑いの両立を目指しているこの番組だが、たまに様子のおかしいお笑い素人が混ざっているときがある。『モヤモヤさまぁ〜ず2』のディレクターでもあった板川は、ある程度素人の扱いを心得ている自負があった。しかしそんな板川でも、手に負えない人物がいる。
今回は、視聴者どころか共演者やスタッフたちも青ざめるほど、もはや誰の手にも負えないお料理モンスターについて振り返る。
『モヤモヤさまぁ〜ず2』で学んだこと
最近テレビ東京で人事異動があり、僕は制作局のクリエイティブビジネス制作チームという新設された部署に配属された。同じチームには『緊急SOS!池の水全部抜く大作戦』の伊藤隆行Pや『ゴッドタン』の佐久間宣行P、そして『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の上出遼平Pなんかも在籍。依頼さえあれば外来種の駆除も、オールナイトニッポンのパーソナリティーも、ロシアのカルト教団への潜入も、酒井軍団の飲み会のセッティングも請け負う、松戸市役所もびっくりの「エンタメすぐやる課」。それがテレビ東京のクリエイティブビジネス制作チームである。業界関係者の皆様、何かあったらお仕事ください。
ところで僕はこの人事異動に伴い、約4年間ディレクターを務めていた番組『モヤモヤさまぁ〜ず2』を卒業することになった。ディレクター人生のほとんどを過ごしたこの番組で学んだことは『勇者ああああ』でもかなり役に立っている。
※『モヤモヤさまぁ〜ず2』2007年にテレビ東京で放送を開始したさまぁ〜ずがMCの街ブラバラエティ番組
その中でも「街の素人さん」を魅力的に編集する技術を学べたのは僕にとって貴重な財産だ。というのも基本的にこの番組には台本がない。街で出会った一般の方にセリフをしゃべってもらうのは不可能なので、進行のほとんどはさまぁ〜ずのふたりに丸投げ。街の人々との会話の中で生まれた偶発的な笑いをディレクターは編集でつなぐことになる。予定調和ではない自然なコミュニケーションから生まれる笑いには、台本では出せない味がある。
実際、芸人バラエティとして認知されている『勇者ああああ』においても、「街の素人さん」が活躍したコーナーはけっこう多い。ゾンビシューティングの傑作『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド2』をマタギがプレイする「その道のプロゲーマー」や、現役の浦安市長が日本ボクシング連盟の山根明元会長とボクシングゲームで対決した「長VS長スペシャルマッチ」といった企画は、普段バラエティ番組とは無縁の人たちが出演したギャップもあり好評を博した。豪華な芸能人を呼べないテレビ東京が昔から培ってきた「一般人をおもしろく活かす」というお家芸はその形を変えながら今でも多くの番組に健在というわけである。
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