業務スーパーで買った食材なら、我が家の焼鳥が少しでも店の味に近づかないだろうか(パリッコ)

2020.4.17

2日に渡って業務晩酌を堪能

いよいよお楽しみ、買ってきたものでの晩酌タイムだ。最近、なかなか外食ができない中、非常に恋しい味のひとつが「焼鳥」だと気づいた。職人が丁寧に串を打ち、秘伝のタレをつけ、食欲をそそる煙をモクモクさせながら焼く焼鳥屋の味。偽でもいい。我が家でなるべく近いものを楽しめないだろうか。業務スーパーの磁場をまとった食材たちなら、それが可能な気がした。

まずは鶏ムネを、焼鳥屋で出会ったらちょっと感動しちゃいそうなくらいの大ぶりにカットし、家にあった竹串に見よう見まねで刺してゆく。ここまでは特に問題はなかった。次に好物の軟骨を同様に。ここで突然難易度が上がる。軟骨には柔らかい箇所と硬い箇所があり、うまく串が通る道を見つけてやらないといけない。見つけたとしてもかなりグッと力を入れないと串が通らなかったりし、グググ……スッ! と急に勢いよく貫通した串が、肉をつかんでいるほうの手の指に刺さりそうで、おっかなすぎる。2本の串を作るのに10分くらいかかっただろうか。世の店員さんたちは日々、こういう大変な作業をこともなげに、かつ膨大にこなしているんだなと、本当に頭が下がる。

さて、串に刺した鶏肉を、今日はホットサンドメーカーで焼いていこう。これは、Twitterに日々そそられすぎるアウトドア料理の動画をアップし、その影響で僕にホットサンドメーカーを買わせてしまった、リロ氏さんという方のまね。弱火でたまに隙間から余分な脂を切りながら蒸し焼きにし、最後に強火で焼き目をつければ失敗がないが、はみ出た火で竹串を焼かないようにだけ注意が必要。僕は見ての通り焦がしてしまった。途中で一度フタを開け、焼鳥のタレを回しかけ、フタを閉じてカシャカシャと振れば、全体にタレも回る。

焼きあがったらベランダに出、いよいよ業務焼鳥晩酌の開始だ。

見た目はいいぞ

酒はまず、見慣れぬストロング酎ハイ「直球勝負」からいく。氷を入れたグラスに注いでグビグビー。なるほど、ストゼロよりもクセがなくて、まさに直球勝負! っていう味。9%でこの飲みやすさは危険だな。

続いて焼鳥。タレをまとって絶妙に焦げ目のついたムネ肉、軟骨、どちらも普段家で食べるものとは明確に違う味がする! もちろん専門店のクオリティには届いていないのかもしれないが、家で焼鳥欲を満たすにはけっこうじゅうぶん。続けて甲類焼酎を割った「梅サワー」の、居酒屋でしか出会わないっぽい味わいがその気分に拍車をかけた。

翌朝、残っていたボルシチに…

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パリッコ

1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメイカー、ほか。酒好きが高じ、2000年代後半よりお酒と酒場に関する記事の執筆を始める。著書に『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』『酒場っ子』『ほろ酔い!物産館ツアーズ』、スズキナオ氏との共著に『“よむ”お酒』『酒の..

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