2nd Album『REAL POP 2』を2月にリリースし、自身最大規模となる11都市を巡る全国ツアー『Aile The Shota Oneman Tour 2026 “キセキセツ”』の最終公演を2026年5月28日に東京・Zepp DiverCityで行ったAile The Shota(アイルザショウタ)。
Aile The Shota公式YouTubeチャンネルでも生配信され、最後には『Aile The Shota Oneman Live 2027 in 日本武道館』の開催決定も発表された、同公演の模様をレポートする。
「生きていくのは簡単じゃない」という世の中で、Aile The Shotaが音楽を届け続ける理由とは──。
春夏秋冬を巡る『キセキセツ』の終着点
未来に胸を躍らせ楽しく過ごす春、ロマンチックな夏、自身のまっすぐな歌声でリスナーの胸を打つ秋、「また明日」と言葉を交わすことの尊さを歌う冬──。春夏秋冬、それぞれを描いた楽曲を季節ごとに発表してきた2025年のAile The Shota。それらを含む2ndアルバム『REAL POP 2』を2026年2月にリリースし、3月からライブツアー『Aile The Shota Oneman Tour 2026 “キセキセツ”』をスタートさせた。
まさに桜の季節から始まった本ツアー。最終日となった5月28日は、夏のような蒸し暑さだった。そして暑さから逃げ込むように、Aile The Shotaとファンがライブハウスに集まった。
この日のステージには、Aile The Shotaのほか、彼の作る音楽を豊潤に浮かび上がらせるバンドメンバー(HIRORON[DJ]、Sota Morimitsu(dawgss)[Ba]、Hiromu[Key]、YUMA HARA[Gt]、Takashi Mochizuki[Dr])、さらにAile The Shotaプロデュースのダンスクルー・ODORI、「開花宣言」のミュージックビデオに出演しているダンスチーム・RHT.が登場。さらにはGANMIのSotaが飛び入り参加した。
そして主役のAile The Shotaは、彼らの前に立つというよりは、彼らとともに、時には自身のステージでありながら彼らのダンスやサウンドを、ただただ楽しそうに見ているだけの時間すらあった。仲間と音楽へのリスペクトを欠かさないAile The Shotaらしい立ち居振る舞いだ。

“あなた”をエスコートするためのステージ
場内が暗転すると、まずはステージを含めて真っ暗になり、続いて場内を照らすミラーボールが点滅。わぁっと客席から感嘆の声が上がる。よくあるライブの始まりとは異なるオープニング演出で観客の心を一気につかんだ。そしてゆっくりと幕が開く。
明るい光を放つステージには、Aile The Shotaと全出演者(飛び入りしたSotaを除く)がずらり。Aile The Shotaの「始めようか」の言葉を合図に、ニュージャックスイング「開花宣言」でAile The Shotaらしいポップスをさっそく提示した。

ODORIとともに届けた「ShyなBaby」ではAile The Shotaもフォーメーションに加わり、踊りながらパフォーマンス。かと思えば、バンドサウンドに身を委ねてうれしそうに声を上げる。シームレスになだれ込んだ「Yumeiro」ではHIRORONのプレイに「ヤバっ!」と大興奮。
自身のステージを誰よりも楽しんでいるのもまたAile The Shotaなのである。昔から「楽しんでる人のほうが強い」といわれるが、まさにAile The Shotaはそれだ。そんな彼に負けじと、バンドメンバーも、ODORIメンバーも、そしてフロアのファンも歌って踊って楽しんでいる。
そんな光景を見て、Aile The Shotaは「バカしかいなさそうだ!(笑)」と笑っていたが、それはけっして観客をバカにしているわけではなく「こうやって普段考えすぎたり、気を遣いすぎたりして生きづらいから、今日みたいにこうやってあなたと一緒にバカやれることが音楽をやっている理由のひとつ」なのだという。
リスナーの“あなた”をエスコートするためのステージで、“あなた”はデート相手だと、ファンへ向けて言いきるAile The Shota。そう思うと、予想外の演出で驚かせたオープニングも納得。“あなた”を驚かせたい、喜ばせたい、その思いで用意されたサプライズだったのだ。

ライブに救われ、あなたに救われている
次に彼が連れて行ってくれたのは夏の海。波の音に誘われるように「ENOSHIMA ORANGE BLUE」でシーサイドへと連れて行くと、さらにHIRORONの自在のDJプレイにより「DAWN」「AGE」「M.L.N.D」とAile The Shotaがフィーチャリングで参加したナンバーが続けられ、ODORIが踊りまくり、Sotaが飛び入り。Aile The Shotaは、ステージをODORIに任せて、ステージ後方に置かれたベンチに立って歌ったり、Sotaにマイクを託したりと、仲間とのステージを堪能していた。

しかし仲間たちとわいわい楽しく華やかに盛り上がるだけが彼のステージでは、もちろんない。「向日葵花火」ではアコースティック・ギターのアルペジオとAile The Shotaの歌声だけでドラマチックな世界観へと誘い、夏を描き出して感情を揺さぶる。
弱さをのぞかせるような「レイドバック」では、アウトロでハミングから「時に息苦しいよ。背負いきれない夜に、あなたに寄りかかれたら、どれだけ楽かと僕も迷ってる。君と同じです」と、しぼり出すように本音をこぼした。いつも明るく見えるAile The Shotaの吐露に、驚きながらも、少し安堵もする。
歌い終えたAile The Shotaは、「なんかすごく安心してステージに立てることがうれしくて、思わず『レイドバック』のアウトロではあんな言葉が出てしまいました」と笑った。
さらに「生きていくのは簡単じゃないなと思います」「いろいろあるんですよね。人間って。得体も知れぬ、失うことに対する恐怖とか、言っても捧げても愛しても、届かなかったり」と苦悩をにじませるも、「このツアーを通して、そして今日あなたの顔を見て、改めて自分がいかにライブに救われているかと、そこに来てくれるあなたに救われているかというのを確認しながら、噛みしめながら過ごしていました」とこの空間を愛おしんだ。

“あなた”と楽しく歌って踊りたい
中でもこの日、異彩を放っていたのは終盤の「月見想」。「ちょっと悲しい歌を歌いますが、今、俺はすごく元気で幸せに過ごしているので、この曲を書いたときの僕のような気持ちのあなたに、そして、これからもしかしてそういうことになっちゃうかもしれないときのあなたに」と添えてから、<あなたを失うくらいなら/自分を殺してもいいよ>と歌い始める。
彼は、募る悲しみや寂しさ、やりきれない思いを静かなバラードに込め、ファンは彼の歌にじっと聴き入っていた。コンセプトのとおり、季節とともに、さまざまな感情を見せ、そしてリスナー一人ひとりの記憶や感情も連れ出していく。
ODORI女性メンバーとの絡みと、ファルセットを多用したボーカルで色気を見せた「Fantasize」のあとには「ちょっとエッチなことしてごめんなさい」と笑って見せるなど、確かな表現力と飾らない姿の両方を持ち合わせているからこそ、楽曲すべてに説得力が伴い、そしてAile The Shotaいわく「イケてるファンダム」ができ上がるのだろう。
そんなファンダムを作り上げる“あなた”一人ひとりへ、急遽「gomenne」の一節をアカペラで届けるひと幕も。伝えたい思いはすべて歌とダンスで届けないと気が済まない。Aile The Shotaらしさが表れたシーンだった。
「ハナユキ」を歌い終えたあと、彼は音楽をやっているもうひとつの理由を教えてくれた。「この曲みたいに、俺が言うことで、“あなた”にちょっとでも『あのとき、愛してるって、ありがとうって言っときゃよかったな』みたいな後悔をしてほしくないから」。さらにもうひとつ「あなたと楽しく歌って踊りたいから」。ということで、この日の出演者が勢ぞろいした「キセキセツ」で、ライブは大団円を迎えた。

伝えたい思いはすべて音楽の上で
アンコールでは、2027年3月13日にワンマンライブ『Aile The Shota Oneman Live 2027 in 日本武道館』の開催を明かした。これも「いつもどおり、音楽の上で」とのことで、この日2度目となる「開花宣言」曲中、<忘れないでと 願う代わりに/枯れてもなお残るような 蕾を抱いては/その時を>と歌ったところで音を止めて発表した。
伝えたい思いはすべて音楽の上で。

ステージの真ん中には大きな一本の木が、どーんと立っていた。照明や楽曲のムードによって、それは桜に見えたり、鮮やかな新緑に見えたり、色づく紅葉に見えたり、積雪に見えたりした。感情に寄り添い、表情を変えながら、常に見守ってくれる。まるでAile The Shotaのようだった。
この日、彼は何度も自身が音楽をやっている理由を説明していた。そして、それを証明するような歌を歌い、それを証明するようなステージングを見せていった。彼が生み出す音楽は間違いなく“REAL POP”であり、それを伝えるためのステージング、そして表現力の進化はまだまだ止まりそうにない。






