「実写化大成功」の3つのポイント
で、ドラマ版『映像研には手を出すな!』がどうだったのかというと、これが想像以上によかった。
なんと言っても主役の3人がいい。アニメが大好きだが極端に人見知りの浅草みどりを演じる齋藤飛鳥は、ちょっと猫背になりながら舌足らずな口調で「~じゃよ」と特徴的なしゃべり方を再現。何よりふにゃふにゃしていてとてもかわいい。人に囲まれた後、「ひゅぅぅぅ」としぼむ音も素晴らしかった。齋藤飛鳥のセリフをヘッドフォンでずっと聞いていたい。
180センチある長身の映像研のプロデューサー、金森さやかを演じるのは、こちらも170センチの長身・梅澤美波。ルックスもさることながら、低いトーンで「浅草氏」と呼びかけるときのイントネーションがアニメ版とまったく同じで驚いた。カリスマ読モでアニメーター志望の水崎ツバメを演じる山下美月も、ちゃんとキラキラしている。水門から水に落ちるシーンでは自分で飛び込んでしっかり身体を張っていた(ビジュアルコメンタリーによると本人は半泣きだったそう)。乃木坂46の人たちはやっぱりみんな能力が高い。
舞台の「公立ダンジョン」こと芝浜高校もツギハギ感はあるが、それなりに再現されていた。音曲浴場の外観として使用されている群馬県前橋市の臨江閣など、コロナが収まったら一度訪れてみたい建物がいくつも登場するのも楽しい。
何より大切なポイントなのが妄想のアニメーションシーンだが、これが見事な再現ぶり。浅草みどりと水崎ツバメが語り合いながら飛行ポッド「カイリー号」の設計をしていくシーンでは線画でぐんぐん完成していく様が描かれ、そのまま「最強の世界」へ飛び立っていった。完成した映像を見た主役の3人は「すごっ!」「天才だわ」「かっこいい!」と驚嘆しまくっていた。
キャラクター、舞台設定、妄想アニメーション、この3つのポイントがことごとくうまくハマっているのだから、これは「実写化大成功」と言っても差し支えないだろう。原作者がそう言っているんだから間違いない。