写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優による連載「QJカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
初めてのロンドン旅
第152回。
昨年は友人に誘われて初めてロンドンを訪れた。
円安全開の日本からオイルサーチャージMAX価格で飛び立ち、後悔と不安を燃油にしたJAL国際便は13時間をかけてヒースロー空港へ向かった。

実際現地に着いてみるとすぐにテンションが上がってしまい、イメージよりもブリティッシュはカインドでスマートなムードを醸し、オーバーでないクラッシーさがコンフォタブルだった。


いくつかの美術館とギャラリー、ブリックレーンで古着を巡りながら、街ゆくバスの『千と千尋の神隠し』の舞台広告を目にしては鼻を高くして歩いた。

今回の旅の出費は食に絞り、多民族文化のロンドンで評判の多国籍料理を楽しんでは、それぞれの将来をまぶしく語り明かしたが、それよりも来月のカード使用額という目先の闇が勝った。
定番のフィッシュ&チップスは見過ごし、なぜか帰国後にたまたま訪れた二子玉川で食したが、その判断は絶対に正解だったと思う。
頭の片隅ならぬ両隅に出費の文字がこびりつく初めてのロンドン旅だったが、東京に似た創りの交通網やサイズ感、趣味に合う街並みがとてもちょうどよかった。
いつか仕事で訪れてみたい。

そして突然となりますが、3年間活動をさせていただいたQJカメラ部を、来週をもちまして卒業させていただくことになりました。
右も左もわからないフォト&エッセイなこの世界に足を踏み入れてから、言葉を扱う表現の沼にズブズブとハマっていき、気づけば書籍まで出版させていただく機会に恵まれました。
こんな末端部員にチャンスをくれた太田出版さまには頭が上がりません。
本当の部活のように毎週綴ったQJWebでの日々が終わってしまうと思うと寂しい気持ちになりますが、ここで培った表現を活かして、これから誇れるOBになれればと思います。
それではまた来週、よろしくお願いします。

セントチヒロ・チッチ、工藤遥、RUI・TAIKI・KANON(BMSG TRAINEE)、森田美勇人、蒼井嵐樹が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。
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