ONE N’ ONLY、全国ツアーファイナルで感じた武道館への手応え。NAOYA「この一体感があれば今度の春ツアーもヤバいものになる」

2025.1.26
『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より

文=清水素子 写真=笹森健一/小坂茂雄

編集=森田真規


南米やアジアを始めとする海外でMVやダンス動画がバズり、TikTokフォロワー数は国内男性アーティスト第1位の580万人。ブラジルでのワンマンツアーを成功させ、昨年末にはタイでの年越しライブに参加するなど、世界を股にかけて活躍する6人組ダンス&ボーカルグループのONE N’ ONLY(ワンエンオンリー、通称・ワンエン)が、全国ツアー『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』のツアーファイナルを1月18日に東京ガーデンシアターで開催した。

4月からスタートする春ツアーのファイナルでは日本武道館での公演も決まっている彼らのライブのオフィシャルレポートをお届けする。

HAYATO「最高のお祭り味わっていこうぜ!」

昨年9月より東名阪で行ってきた全6公演のホールツアーは、グループ史上最大規模のものにもかかわらず全公演が完売。中でも最終日の東京ガーデンシアターはキャリア史上最大の会場にもかかわらず、追加販売した機材席開放・見切れ席まで含めて完全ソールドアウトを果たした。超満員のSWAG(ONE N’ ONLY ファンの呼称)は、スペイン語で“祝祭”を表すツアータイトルにふさわしく、ラテン色濃厚な“フィエスタ感”満載のステージで沸騰。4月から開催される日本武道館公演を含むツアーを前に、文字どおりのお祭り騒ぎを繰り広げ、白いペンライトで染まった客席に愛と感謝を届けてみせた。

ジャングルを彷彿とさせる照明と舞台セットの中央に浮かぶのは巨大な仮面。開演を告げるサイレンが鳴り、場内にレーザー光線が飛び交って仮面の目が赤く光ると、英語アナウンスが“Party Now!”と号令をかけて、スライドアップした仮面の向こうから6人が現れる。

『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より
『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より

そして昨年10月にリリースした3rd EP『Fiesta』のタイトル曲「Fiesta」でライブが開幕すると、いきなりスパークラーの火花が噴き上がり、カーニバルを思わせるフリルつき衣装を着た6人がラテンチューンで躍動。歌い出しからポルトガル語、英語、日本語の3カ国語で“大丈夫できるよ”と勇気づけられたSWAGたちは、敬礼スタイルで“yessir!”とペンライトを振り、“Oh-e-o”とコール&レスポンスを繰り広げていく。グループカラーである白い光が4階建ての客席いっぱいで振られる光景は、まさに“美しい”のひと言しかない。

さらにリーダーのHAYATOが「お前ら今日は最高のお祭り味わっていこうぜ!」と呼びかけてブラジリアンファンク曲「DOMINO」を投下し、豪快なステップと繊細なダンスフォーメーションでSWAGを釘づけに。トドメとばかりに彼らのラテン志向を決定づけたレゲトン曲「EVOL」で“Hey!”の声と拳を大音量でSWAGにアゲさせれば、KENSHINは「SWAG愛してるぜ!」と吠えて、ホール内を灼熱のフィエスタ会場へと変えていく。

2023年リリースの「EVOL」、2024年春に発表した「DOMINO」、そして最新曲「Fiesta」と、ワンエンの代表的ラテン曲の3連投に、SWAGは幕開けから狂喜乱舞。J-POPとLatin Musicを融合した“Jatin Pop(ジャティンポップ)”という彼ら独自の音楽性と進化を、キャリア史上最大の会場で、6人は堂々と見せつけていく。

『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より
『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より
『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より

KENSHIN「この空間、一緒に楽しんでいこうね」

「こっからさらにギア上げていこうぜ!」(HAYATO)と始まった「YOUNG BLOOD」も、ラテンアレンジが施されたことで楽曲本来のヘヴィネスがより色鮮やかとなり、“UNO, DOS, TRES, QUATRO!”というスペイン語でのカウントアップも勢い満点。パワフルなステップを繰り出し続け、ロックチューン「OPEN」でも噛みつくように荒々しいボーカルが、唸るギターと共に場内のアグレッションを高めていく。

それでも「俺たちの知ってるSWAG、まだ声出るぜ、イケるっしょ!」(REI)と激しく求め、なんと「Set a Fire」ではステージを降りてアリーナ客席へ。通路を練り歩き、お立ち台からSWAGを煽り立てるという、序盤から容赦のないギア全開の爆走っぷりは、実に爽快かつ痛快だ。

『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より
『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より

ここでジャングルの奥地へと誘っていくような映像をバックに、プリミティブなトラックで野性的なダンスブレイクを展開。スモークに巻かれて見せる巧みで力強いステップと、自由自在なボディコントロールで放つ舞いは、まるで火の神へと捧げる厳粛な儀式のようにさえ見える。

そしてKENSHINとNAOYAのダイナミックなフラッグパフォーマンスに、ひとりステージに現れたREIが仮面をかぶれば、瞬時に前後の幕が引かれて仮面をつけたHAYATOとEIKUに入れ替わり。“Welcome to the jungle”というリリックから、『¿Fiesta?』の世界観に合わせて作ったという新規のラップ曲「Dropped」をふたりで放ち、HAYATOが羽織るガイコツ柄のレザーも相まって、とにかく危険な空気を撒き散らしていく。

そこにKENSHINとNAOYAが加わり、ペアダンスを経てポジションを入れ替えると、「Black Hole」を色気たっぷりにドロップ。ふたりが交代でソファに座り、シャツをたくし上げて腹チラさせれば、場内は阿鼻叫喚の嵐となる。最後はふたりで顔を寄せ合って醸し出す妖しいムードを、「Bla Bla Bla」を歌うTETTAの透明感あふれるファルセットが一掃。まるでゴスペルのような神聖な響きを備えて、想いのままに旋律を波打たせていけるのは、ソロ歌唱だからこそだろう。

既存の曲をユニットやソロ形態に再構築し、従来とは異なる見せ方にチャレンジしていったのも本公演の大きな見どころで、続く「TALKIN’」はビッグバンドジャズ風のアレンジで披露。煌びやかな照明とドレープ幕でショーアップされた空間で、スパンコールジャケットを着たREI、HAYATO、KENSHINが「この空間、一緒に楽しんでいこうね」と紳士に誘っていく。

そして3人が姿を隠したスリット幕が一気に上がると、白スーツを着た6人が勢ぞろいし、NAOYAが「SWAG、愛してるよ!」とほっぺハートを作って「My Love」へ。彼らの代表曲でもあるピュアでまっすぐなラブソングの曲中、カメラがステージに上がって6人の表情をしっかりと映し出せば、最後にTETTAがピンクのペンで“すき♡”と書いたカメラのレンズにキスをする。その柔らかな顔つきと甘い歌声から、6人のSWAGに対する愛がしっかりと伝わってきた。

『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より
『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より
『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より

TETTA「ガーデンシアターを揺らしてほしい!」

MCでは、何度かイベントで立った会場をワンマンで埋められたことを喜び、HAYATOは「今日すごいね。上までギッシリ!」「この景色、本当にきれいです!」と照明を消して、4階建ての客席を埋め尽くしたSWAGとともに光の海を堪能する。ソロで歌った感想を聞かれたTETTAも「こっからの景色ヤバいのよ! 宇宙で歌ってるみたい」と明かし、「ガーデンシアターって大きな声を出すとガチで揺れるらしいんで、揺らしてほしい!」とSWAGにリクエストしてみせた。

そして、断崖に立つ6人を映した最終日だけのスペシャルなイメージ映像が流れ、最新EPに収録されている新曲のタイトル「Too Much」が画面に浮かぶと、映像と同じ黒衣装の6人がステージへ。南アフリカ発祥のダンスミュージック・アマピアノのトラックと、HAYATOとEIKUが振りつけたステップに乗せ、アンニュイな表情で色っぽく「Too Much」を届けていく。曲中、REIがTETTAに驚くほどのさり気なさで絡む場面もあったが、それも“Too Much”でない距離感を尊重する曲の世界観にはピッタリだ。

続く「R.U.S.H」も最新EPの収録曲である上に、パフォーマンス自体がこの日のツアーファイナルで初披露。飛び交うレーザー光線の下、勢いあるラップとタイトなダンスが牽引するEDMチューンで、相互につながりピタリとそろった6人の動きは見ていて気持ちいい。HAYATOからEIKU、そして全員へと動きをシームレスでつなげていく間奏の展開も実にスキルフルだ。ちなみに「Too Much」と「R.U.S.H」では、HAYATOはラップパートの作詞・曲に参加。そのぶんメンバーのパフォーマンスにもより熱が籠もり、最新作での挑戦と進化を示してみせた。

また、雑踏とカメラのシャッター音から始まった「FOCUS」では、長いテーブルの上に乗り上がり、腰かけ、時に立ち上がるなど、一瞬一瞬が絵画のように映る大胆な動きでSWAGを魅了。サビでは、大きく脚を上げる彼らの周囲でスパークラーの火花が派手に噴き上がって、激しすぎる恋情で追い詰めていく物語をデンジャラスに描写していく。そこに差し込まれるTETTAとEIKUのハイトーンボーカルも、ヒリヒリするような焦燥を表して、観る者を曲世界へと没頭させていくが、続いて「We’ll rise again」になだれ込むと空気は一変。

何度でも立ち上がり、夢へと向かう彼ら自身の姿を重ねた疾走感あるナンバーで、気迫あふれる歌とダンスを繰り出していく6人のパフォーマンスは、目標としていた日本武道館公演を5月に決め、着実に夢を叶えつつある今、目にすると胸に迫るものがある。一曲を通じて流れていたイメージ映像の最後に、何かを握り込む拳が映し出されるのも熱い。

「会場のみんなも一緒に楽しくダンスを踊って、さらに盛り上がっていこう!」とアナウンスが流れ、「Video Chat」、「What’s your Favorite?」、「Call me」と、TikTokでおなじみのナンバーを映像上のメンバーと一緒に踊ったあとはメドレーに突入。

カラフルなスタジャンに着替えた6人は「まだまだ踊り足りないぜ!」(EIKU)と呼びかけ、まずは「Free Hug」で分け隔てなくつながっていこうという懐の大きさを示していく。「Nice Guy」ではSWAGと共に“ASAP”のコール&レスポンスを巻き起こし、「POP! POP!」で大きく左右に手を振れば、「HOLIDAY」ではメンバー名と会場名をコールして会場を完全にひとつに。

さらに「Departure」で昼から夜へと一気に時間帯を移し、赤いライトとスモークの中からダークなオーラを発散したあとは、ヒップホップ曲「Hook Up」でジャンクに弾けていく。心温まるポップチューンから客席との一体感を生むコール曲、そしてハードなヒップホップと、多彩な引き出しを一本につなげて、さまざまなアーティストのステージが楽しめるフェスのような高揚感を生みだしていく彼らに、大きな歓声が上がったのも当然だろう。

『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より
『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より
『ONE N’ SWAG 2024 ¿Fiesta?』より

メンバーがひとりずつツアーを振り返る

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