SKY-HIが主宰するマネジメント/レーベル「BMSG」に所属する8人組ダンス&ボーカルグループ「MAZZEL(マーゼル)」。2023年5月にデビューし、2024年10月には神奈川と大阪でアリーナ公演を開催するなど順調に活動の幅を広げている彼らが、アリーナ公演に向けて、8月某日、伊豆にて3日間にわたって極秘合宿を実施していた。
QJ取材チームは、その合宿の1日目と2日目に密着。現地で収録したSKY-HIインタビューを交えながら、後編では2日目の様子をレポート!
【夏合宿レポート#1】SKY-HIが導く、MAZZELネクストレベルへの道
【夏合宿レポート#2】MAZZELが会得したSKY-HIからの教え“自由・楽しい・仲がいい”
【夏合宿ソロインタビュー#1】KAIRYU
【夏合宿ソロインタビュー#2】NAOYA
【夏合宿ソロインタビュー#3】RAN
【夏合宿ソロインタビュー#4】SEITO
【夏合宿ソロインタビュー#5】RYUKI
【夏合宿ソロインタビュー#6】TAKUTO
【夏合宿ソロインタビュー#7】HAYATO
【夏合宿ソロインタビュー#8】EIKI
目次
SKY-HI「BMSGを作ってからやっている仕事は“自由・楽しい・仲がいい”を作ること」
QJ取材チームが朝8時過ぎに合宿所に着くと、メンバーは朝食を済ませたあとだった。聞くところによると、なんと深夜までメンバーとスタッフ、さらにSKY-HIは一緒に起きていたとのこと。バーベキューのあとは散歩をしたり、ゲームをしたり、わざと怖い道で怖い動画を流して一斉に走り出す……なんてこともあったとか。取材チームの写真に収められていないのが悔やまれるくらい、青春の1ページを過ごしたようである。
そんな話をスタッフから聞いていると、畳の部屋からは楽しそうな声が聞こえてきた。そこにいたのは、RAN・HAYATO・RYUKI・TAKUTOの4人。どこか眠そうな声と顔つきではあるものの、ワチャワチャとビリヤードを楽しんでいる。
2日目になっても、絶えず笑い声を響かせているMAZZEL。すでにじゅうぶんな絆が育まれているように見える彼らだが、今以上に仲を深めていけるとSKY-HIは語る。
「歌やダンスのうまさ同様に、仲のよさにも上限はないと思うんです。環境さえ整えば、上限のない仲のよさは実現できる。“自由・楽しい・仲がいい”といった要素は、どんどん追求していきたいですね。“ストイックにしなきゃいけない”、“つらくなきゃいけない”と、どうしても勘違いしがちなんですけど、どう考えたって厳しくて苦しいのを我慢して取り組んだ3時間より、楽しく踊った1時間のほうが成長します。これは100%そうです。やらされてる勉強は頭に入らないけど、好きでやってるゲームはどんどんうまくなる、みたいな。BE:FIRSTにしろ各ソロアーティストにしろ、自分がBMSGを作ってからやっている仕事は、“自由・楽しい・仲がいい”を作ること。edhiii boiなら一緒に買い物に行くし、Aile The Shotaならうちに来てもらって一緒にお酒を呑む。アーティストによってやることは違いますけど、MAZZELにとってはそれが今回の合宿だったんです」
追い込みながらチーム全員で楽しんだフィジカルトレーニング
10時になるとスタジオにMAZZELとSKY-HIが集結し、フィジカルトレーニングがスタート。トレーナーを務める後藤圭司氏は、SKY-HIやBE:FIRSTのツアーにも帯同しているBMSGとゆかりある人物である。
まず始まったのは、体をほぐすための全力ラジオ体操。後藤トレーナーに「やりましょう」と呼びかけられたスタッフも参加し、チームMAZZELみんなでトレーニングに取り組んでいく。その後はストレッチを経て、アニマルウォークへ。四つん這いになって膝を浮かせて進むベアウォークやクモのような動きをするスパイダーウォークなど、体幹を必要とする特殊なモーションの連続に、メンバーと社長は必死に食らいついていた。
いよいよ今回のメイン、サーキットトレーニングに突入。MAZZEL+SKY-HIの9人で行うため、バトルロープ、ニータッチ、ケトルベルスイング、腕立てプランク、反復横跳び、笑顔でキラキラジャンプ、マウンテンクライマー、バーピージャンプ、ベースの9種目。ひとつの種目にかける時間は30秒なのだが、休む間もなく次の種目へ移っていくため、とてつもなくハードである。BGMでMAZZELの「MISSION」が流れていたのもあり、一段とカオティックな空気がスタジオに充満していた。
最初の種目では「意外といけるかも?」という表情を浮かべるメンバーが多かったものの、次第に雄たけびのような声が漏れ始め、3種目に差しかかるころには、明らかにしんどそうな面持ちに。そんなMAZZELとSKY-HIを目にしたスタッフ陣は、絶えず「がんばれ!」とエールを送っていた。
ここでメンバーは5分の休憩。全員で休憩の時間になるのかと思われたが、なんとスタッフがサーキットトレーニングに挑戦することに。そして、スタッフ陣の奮闘にメンバーは大盛り上がり。「ファイト!」といった応援はもちろん、「ちゃんとやって!」という野次まで飛び交う。そんなおちゃらけた発言をスタッフに対してもできる光景は、チームMAZZELの風通しのよさを感じさせた。
そして、MAZZELとSKY-HIは2周目のサーキットにチャレンジ。「昨日のウイスキーを恨んでいます。絶対に、今日のためには必要なかった」と昨夜の自分を悔いるほど、SKY-HIはすでにクタクタな様子。そうはいってもやらないという選択肢はないので、一人ひとりが自身をさらに追い込んでいく。1回目に比べてMAZZELのメンバーたちは余裕が出てきたようで、KAIRYUがカメラに視線を配っていたり、NAOYAが種目をこなしながら振りを踊ったりする場面も見られた。再び9種目を駆け抜け、KAIRYUとEIKIはすぐにその場に倒れ込んでいた。
しかし、まだトレーニングは終わらない。休憩を挟んだあとには、マネージャーも交えてボール取りバトルが行われた。ビーチフラッグの要領で、スタジオの真ん中に配置されたボールを一対一で奪い合う、というトレーニングだ。結果的にRANとSEITOでの頂上決戦となり、抜群の瞬発力を見せたSEITOが勝利。あまりのスピード感に、メンバーですら「はやっ!」と目を丸くしていた。最後はみんなで円を作って手つなぎ、スクワットを3×9セットをやりきり、ようやくトレーニングメニューが終了。ドリンクを飲むメンバーの表情は、やりきった達成感にあふれていた。
バーベキューしかりトレーニングしかり、メンバーとスタッフの風通しのよさが感じられるチームMAZZEL。SKY-HIは「グループが成長していくのには仲のよさが大事」と語っていたが、現在のMAZZELはチーム全体で絆が深まっているように見えた。アーティストとスタッフ、どちらが上というわけでもなく、お互いの本分をまっとうする気持ちのいい関係が築かれていた。
また、スタッフ陣が本気でフィジカルトレーニングに挑んでいたのも印象的だ。サポートやマネージメントが主な業務なのだから、本来であればメンバーと同じメニューに取り組む必要はない。それでも、ハードなトレーニングに前向きな気持ちで臨んでいたのは、彼らの中にも“楽しもう”というマインドが根づいているからなのだろう。「仲がよく、何事も貪欲に楽しもうとするグループを作る」という合宿の目的は、メンバーだけでなく、スタッフを含めた“チームMAZZEL”の中でもしっかりと達成されていた。
りょんりょん先生も懐かしさを感じていたボイストレーニング
昼食を済ませ、午後からはりょんりょん(佐藤涼子)先生によるボイストレーニングがスタート。キーボードやホワイトボードが設置されたスタジオは、先ほどとはガラッと雰囲気が変わっていた。
まずはヨガマットを敷いて、ストレッチからスタート。足首をクルクルと回したあとは、声を出しながら顔を動かしたり、ベロのストレッチをしたり、耳につながるリンパをマッサージしたり。声を出すための身体を丁寧に作り上げていった。
全身でのストレッチを済ませると、次は声を出しながら柔軟。そのあとは、キーボードで音を確認しつつ、音を上げ下げしながらピッチを正確に狙う練習をしていく。手を使って音のイメージを持つことが大事だそうで、顔の横に手を添えながら歌うように促していた。ひととおり音をさらうと、りょんりょん先生は「なんか緊張感ないね。ひとりだけピックアップしよう」とKAIRYUを選出。KAIRYUはとっさの指名に驚きながらも、器用に歌いこなしてみせた。
そのあともコミュニケーションを取りながら、レッスンは続く。ピッチや抑揚、感情の乗せ方など、一人ひとりの個性が活きるように指導は進められていった。最後は新曲「MAZQUERADE」の確認。音源を流しながら、実際の譜割りどおりにマイクの前で歌っていく。長テーブルを前にSKY-HIとふたりで腰をかけたりょんりょん先生は「懐かしいね。『THE FIRST』のときみたい」と、どこかうれしそうだった。
さて、気になる「MAZQUERADE」の出来はというと、当時の時点でじゅうぶんな完成度だった。HAYATOがりょんりょん先生の指摘をすぐに反映させたかと思えば、RANは文句なしの表現を繰り出し、りょんりょん先生とハイタッチ。最後には、マイクの前に一列に並び、曲頭から1番の終わりまでを歌いつないでフィニッシュ。全力で歌って、かなり体力を消耗したのだろう。ボイストレーニング後には、りょんりょん先生が差し入れたパンの前にメンバーが集結し、勢いよく頬張る姿が見られた。
夏合宿の成果が詰まった楽曲「Our Life Is Always Right」
休憩を挟み、続いて「MAZQUERADE」のMVの打ち合わせ。MAZZELのメンバーが直々に、映像制作の担当者から説明を受けていく。フィジカルトレーニング、ボーカルトレーニングとこなし、すでに疲労困憊なはずだが真剣な面持ちで話を聞く8人。リファレンスとなる映像を観たり、衣装やイメージを確認したり、一つひとつの内容を詰めていく。
QJ取材チームによる密着が終わったあとには、YouTubeコンテンツ『まぜべや』の撮影を実施。3日目にはDJ兼マニピュレーターとして活躍するHIRORON氏を招き、メンバー全員とSKY-HIの9人による楽曲制作も行われた。このときに生まれたのが、3rdシングル『MAZQUERADE』に収録された「Our Life Is Always Right」である。
貪欲に楽しむことをミッションとした、チームMAZZELの夏合宿。トレーニングにもレッスンにもアクティビティにも、胸を高鳴らせながら臨んでいた彼らは、どんなことも楽しもうとするパワーをアップさせたに違いない。また、SKY-HIやスタッフと過ごした3日間が、チームMAZZELの絆をさらに深めたことも明白だ。さらなる成長を遂げた彼らが、どのような未来を魅せてくれるのか楽しみでならない。
【11月13日(水)からMAZZEL夏合宿でのメンバーソロインタビューの連日公開を予定しています】
MAZZEL
(マーゼル)2023年5月、シングル『Vivid』でデビューした8人組ダンス&ボーカルグループ。幸福を意味する「Mazel」に迷路「Maze」と情熱「Zeal」をかけ合わせたグループ名には、迷路から抜け出すための出口に向けて情熱を燃やし、幸福をつかみとって人々に渡していくグループになるという意志が込められている。2024年10月16日には、3rdシングル『MAZQUERADE』をリリース、また12月18日には初の映像作品『MAZZEL 1st One Man Tour 2024 “Join us in the PARADE”』のDVD、Blu-rayが発売される。
SKY-HI
(スカイハイ)圧倒的なラップスキルのみならず、卓越したボーカル&ダンス&トラックメイキングスキルでエンタテインメント性あふれるコンテンツをセルフプロデュースで創り上げ、常に世に提示し続けている。2020年には、マネジメント/レーベル「BMSG」を立ち上げ代表取締役CEOに就任。ボーイズグループのBE:FIRSTやMAZZELをプロデュース。アーティスト・プロデューサー・経営者と多岐にわたり才能を発揮している。
『Quick Japan』vol.174
【書誌情報】
書名:『Quick Japan』vol.174
発売日:2024年10月9日(水)
判型:A5判(並製)
ページ数:144ページ
価格:1,650円(税込)