『活字を頂戴!』【Aマッソむらきゃみのグルメ連載「今月のスープ」#11】


「ちょっとよかったあの日」の記憶を唯一無二の筆致で描くAマッソむらきゃみによるファンタスチックな回顧エッセイ。今回で第11回目。とあるきっかけで本の虫になったむらきゃみ。ちいかわから純文学まで、読むわ読むわの読書ハイになったむらきゃみがたどり着いたひとつの結論とは??

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今月のスープは「鮭とほうれん草の黒胡麻チャウダー」

【材料】
・水…200ml
・豆乳…200ml
・コンソメ…大さじ1
・鮭…2尾
・ほうれん草…3株
・玉ねぎ…玉半
・じゃがいも…1じゃが
・にんじん…半にん
・オリーブオイル…露ん
・すりごま(黒)…大さじ1
・塩コショウ…嗜好に合う程度
【作り方】
①鮭、野菜をカット。
②オリーブオイルを鍋に露らして、鮭を両面焼いて一旦取り出す。
③ほうれん草以外の野菜を炒める、玉ねぎが透き通るまで炒める。
④水とコンソメを入れて一煮立ち。
⑤ほうれん草を入れて柔くなったら豆乳、すりごまを入れて塩コショウで味を整えて完成!

黒胡麻の香りと豆乳のまろやかさがベリーマッチ◎

黒胡麻はアントシアニンを多く含む食材で、目にあるような細い血管の流れを良くする効能があり、凝り固まった疲れ目も改善してくれるのです。アントシアニンは、食べる目薬と言われています。鮭はアスタキサンチンという視力回復、疲れ目解消の効果がある成分が含まれている。ほうれん草はβカロテンやルテインが含まれており、目の粘膜を健康に保ちドライアイの症状を軽減したり黄斑変性や白内障予防に効果があるといわれております。現代人は眼を酷使してる人がたくさんいます!なので眼精疲労を予防する食材をたくさん使いました!眼痛の方はぜひ啜ってほしい一品です。

うちは本を読んだ瞬間、眼精疲労になってしまう、本読弱眼の持ち主だった。

ちいかわとAマッソ

本を開くと字ビームが目を攻撃する。すぐさま降参、本を閉じてしまう。うちは字に弱い。

うちは本を読む眼力が無いのだ。すぐに眠たくなってしまうし、分からない漢字がいっぱい出てくる。ケータイで漢字を調べる。漢字の読み方はわかったもののストーリーを忘れる。ちょっと前のページから読み直す。さっき調べた漢字の読みを忘れる。再びケータイで漢字の読みを調べようとするとLINEが来てたので返信する。そのままネットニュースとか見ちゃう。の堂々巡りで一向に本を読み進めれない体質だったが、最近変わった。

きっかけはお酒の失敗からである!

2月の初め頃にMBSラジオのスタッフさんと新年会をした。1次会は居酒屋に行きそこで3人帰り後先考えてない奴ら4人残って2次会へ。スナックに行きたいな〜となっていたが良さげなスナックが見つからず、シーシャバーの兄ちゃんが「今日ヒマなんでお安くしますよ〜」と声をかけてきた。飲み会番長だったD西畑が巧みに交渉してくれてめちゃ安でシーシャバーに入れた。シーシャがドンとやってきてひとり1本吸い笛みたいなのを渡されて吸いたい人が吸い笛を管にさして吸っていく。シーシャにハマってる人イコール胡散臭い人と勝手な偏見で避けていたけどこんな形で入店してしまうなんて。ひと吸い目は普通にちゃんとむせてみんなに笑われるみたいなんもありながら、だんだんスカした顔で煙を燻らせれるようになった。胡散臭いの仲間入りだい!

ピーヒャラドンドンで朝になり、まもなく始発が出る時間になっていた。待てばいいのに眠気に負けてタクシーで帰る。昼前に目が覚める。おしっこに行く。ケータイが見当たらない。

パソコンからD西畑に連絡して「ケータイがないから昨日行ったお店分かれば教えて欲しい」とお願いする。(モノ無く師の玄人なので焦らず淡々と今自分ができることを遂行する。)

すぐに返事がきて、タクシー乗った後にLINEのやり取りをしてるからお店ではなくタクシーに忘れたのではないかと憶測をたててくれて、タクシー会社教えてくれたら連絡してくれると言うので甘える。タクシーの運転手さんが最寄りの警察に届けたそうだ。ケータイの在処は見つかった。すぐにでも向かいたいが美容室を14時から予約していたから、とにかく美容室へ向かう。

カット中やカラー剤を塗ってもらっている時は美容師さんと近況をあーだこーだと楽しくお喋りできるからケータイがないことが苦ではないが、カラーの置き時間は美容師さんはカラーで使った道具を片付けに行くのでお喋りができなくて超ヒマになる。

微動だにしないまま鏡を見つめているうちを見た美容師さんが「よかったら」とちいかわ1〜3巻を持ってきてくれる。「結構、沁みるストーリーもあったりするんでオススメです!」と言ってバックルームに戻って行った。ちいかわなんてただ小さくて可愛いだけなんやろと思いながら見ていくと、1巻はほとんど小動物がでっけぇプリンを食べたり、でっけぇホットケーキやらを食べる描写が多かったから、よだれもんグルメ漫画かよ!と心の中に三村さんを宿した。だがよ〜2巻からストーリーが濃くなり、生きていく楽しさ、厳しさが折り合わさったヒューマンドラマで胸が熱くなり目頭を押さえた。3巻を読み終えた頃にはうちはハチワレになりたいと思っていた。憧れの印に髪の毛が青に染まっていた。

美容室を出てケータイを警察署に取りに行き、帰り道に本屋に寄った。ちいかわ4〜6巻を買って帰った。一気読みするのは勿体無いと思いその日は4巻だけを読んだ。次の日の朝、起きて5巻を読み、その次の日の朝に6巻を読む。ハチワレになりたいと思う気持ちは変わらず、でもうちは何か一生懸命やけど、上手に自分の気持ちを表現できないちいかわで、何でも率先してやってくれて賢くて気も遣えて優しいハチワレは相方の加納さんぽいなぁ〜いや、じゃあ、うちはウサギかも?誰にも縛られず、「ィィイィィヤハッッ」と叫びながら走ってきて注目を浴びて、自由奔放に過ごしてるし、不思議ちゃんな感じを装ったりするしな〜なんて考えながら7巻が出るのを待ちどおしく思っとんねん。

読書ハイモードに突入

たったの二日間、朝に読書しただけで読むなら今やぞとうちの眼球から読書欲が湧き始めた。

本棚はないが本置き場があるのでそこを貪る。めっちゃ前にいただいていたチャンス大城さんの自伝的エッセイ『僕の心臓は右にある』を発見!早速読みにかかる。チャンスさんの声で脳内再生される。まず出身地のことが書かれていた。兵庫県の尼崎出身で尼の中でも比較的上品なところと比較的ヤンチャなところがあるそうで、チャンスさんは比較的品のある地域の武庫之荘に住んでいらしたそうなんですが、去年の年末にうちは尼崎でエステ屋さんをやってる友達がいて大阪での仕事終わりにエステをやってもらいにお店に向かった。お店の最寄駅が武庫之荘だった。その日は晴天でところどころに川が流れてる道があって長閑な地域だなと思いながらお店に行った。エステでちゅるちゅるぴかぴかにしてもらって気分も上々↑↑エステティシャンの友達と飲みに行きますかってことで大阪駅に向かうため武庫之荘駅から電車に乗ろうとしたら、電車から降りてきたジジィが「どけ!ゴラァ!」と勢いよく降りてきて、持っていた杖を振り下ろしうちの股の間にドンと差し込んで「二度と俺の前に立ちはだかるな!ゴラァ!クソが!」と言われたことがあり。尼崎怖ッ!まだまだしっかり尼崎らしさが残っていて現役やなぁ〜と感じた。

チャンスさんのエッセイを読んで武庫之荘は品があって良かったと思った。もっとヤンチャな地域やったら杖でイカれてご臨終なんて可能性もあったかもしれないね。ヒィ!

全編「マジか!?ヤバイやん!!えっーーー!!笑」と思わされるようなエピソードばかりで逐一チャンスさんに「これほんまでっか?」と聞きたいほどの最強波瀾万丈大詰めヒストリーでしたとさ。前までは1冊本を読むのに1ヶ月半かかっていたのに6日で読み終えた。

どんどん活字を頂戴!頂戴!といった感じで読書ハイに突入した。

次に、ヒコロヒーの短編恋愛小説集『黙って喋って』を短編?恋愛?小説集??と疑問に思いながらページをめくり読み進めた。間違いなく短編!恋愛!小説集!!がそこにはありました。読み終わった後、ヒコロヒーに会った時に「小説全部素敵すぎた!現代恋愛って感じやった!特に翠さんの靴の奴と大野が好きやった!」と感想を述べたあと「ここからが本題なんやけどな、なんであんな絶対!多分、経験してないことが書けるん?」と聞くと「へへへ」と言うだけで教えてくれなかった。それも含めトキメキの1冊となった。

今村夏子さんにハマり3冊ほど一気に読み、ハズバが「おすすめ」と渡してきた宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』を読む。読み終えた後パタンと背表紙を閉じると加納愛子の文字を発見!うちの知らないところで加納さんは帯にコメントを寄せたりもしてるんだなと感心した。(お手手パチパチもん)

うちの読書は続くよどこまでも〜!ポッポー!


もう字ビームもなんのその

高瀬隼子さんの『水たまりで息をする』を本屋さんで買って高瀬さんの洗練された文章にひれ伏す。本屋さんで湊かなえさんのコーナーが設けられていた、そういや、うちがラジオパーソナリティで湊かなえさんがラジオ作家で最強のラジオをするっていう漫才をしたことがあることを思い出してニヤンニヤンしてしまう。漫才で名前を使わせてもらったことがあるのに小説を読んだことがないってのは不躾なやつかもと思って『リバース』を購入した。後半になるにつれ読むスピードが爆上がりして最高記録の3日で読み切ることができた。最後の一文が「う〜わや」!でした。湊かなえさんを調べると“イヤミスの女王”と呼ばれてると出てきてワロタ!なんちゅう肩書きやねん!イヤミスとは読んだ後に嫌な気持ちになるミステリーの略称。イヤミスってジャンルも知れて読書はなんて楽しいんだか♪今はハズバが「イケメン買ってきたよ〜」と渡してきたすがちゃん最高No.1の『中1、一人暮らし、意外とバレない』を読み始めているぜ!

結論、字ビームって地ビールみたいだな〜と思った人はお酒好き!

てのは、冗談で〜

本当の結論!!!最も効果的な読書の時間帯は朝!なぜかと言うと起きたてだから眠たくならないからである!(うち調べ)

今まで年間3冊以上読んだら多いほうだったうちは、もうすでに8冊も読みましたよ。(ちいかわも入れていいならプラス6冊で14冊だね!ヤハ!)

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むらきゃみ(Aマッソ)

1988年生まれ。大阪府出身。Aマッソのボケ、ツッコミおよびグルメ担当。2024年2月21日に「村上」から「むらきゃみ」に改名。

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