韓国人旦那と結婚して知ったお祝い文化の違い。卒業はジャージャー麺、誕生日はわかめスープ

本日は晴天なり

ピン芸人・本日は晴天なりによる連載「バツイチアラフォーの幸せだけじゃない日常」

2022年に韓国人のパートナーと結婚した本日は晴天なり。パートナーは韓国出身といっても、日本がとても好きで、すでに10年以上日本で暮らしているそうだが、さまざまな場面で文化の違いを感じるという。そんな中から、今回は「祝い事」での文化の違いを紹介する。

卒業式のあとに食べるジャージャー麺

今、日本では卒業シーズンだが、韓国の卒業式は日本より1カ月早く、2月に行われる。旦那に卒業式のあとは「ジャージャー麺を食べるのが定番だ」と言われ、さすがにそれは家ルールだろ!と思ったが、あのBTSのメンバーも卒業式のあとにジャージャー麵を食べていたので、信じざるを得なかった。

旦那にその理由を聞くと、昔はジャージャー麺がちょっとしたごちそうとされていたため、家庭になじんだ今でも卒業式にはジャージャー麺を食べるのでは?と言っていた。

ジャージャー麺は韓国料理のイメージがあったが、韓国では中華料理に分類されるらしい。しかし、独自の進化を遂げていて、日本でいうところのラーメン的な存在だという。ラーメンなのかわからないが、韓国ではかなりメジャーで愛されている料理だ。

日本では3月になると桜が咲き始め、ピンク色に染まる景色が容易に想像できるが、韓国ではこの時期、「개나리(ケナリ)」という黄色い花が一面を埋め尽くす。日本語では「レンギョウ」という名前で、日本にも生息しているようだが、私は見たことも聞いたこともなかった。

去年、ちょうど3月に韓国を訪問した際、川沿いにずっと黄色の景色が広がっており、旦那も春といえばピンクではなく黄色のイメージだったという。

私は100均の季節コーナーに桜をモチーフにした春の商品が並ぶだけでうれしくなるほど桜が好きなので、卒業式や入学式のとき、あの桜をバックに写真を撮れないのは少し寂しいと感じた。とはいえ、韓国でも桜を見られるスポットもある。ただ、どちらにせよ卒業式が行われる2月では桜もケナリもお目にかかれない。

誕生日にはわかめスープ

韓国では出産後にわかめスープ(韓国語ではミヨックク)を飲む習慣がある。自分を産んでくれた母親に感謝するという意味を込めて誕生日にも飲むらしい。

旦那の誕生日に私は“ほんとにこれでいいのか?”と思いつつ、わかめスープを作った。すると、仕事から帰ってきた旦那は「うれしくて泣きそう~」と言いながら目頭をぬぐい、親、友達にまで自慢していた。ちなみに、一般的なわかめスープとはちょっと違い、ミヨッククには牛肉も入っている(うちは豚肉を入れた)。

だとしても、私からすると“ケーキとかハンバーグじゃなくていいの?!”といった感覚だ。もし子供のころ、誕生日にわかめスープが出てきたら泣いて暴れていた自信がある。

本日は晴天なり
筆者が作ったわかめスープ

また、韓国のわかめは日本のオーソドックスなわかめより長い。そのまま使うと、鍋の中で折り紙くらいのサイズになってしまうので注意が必要だ。知らずに使って鍋の中が沼みたいな状態になったことがある。

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左が韓国で売られている乾燥わかめ

以前、韓国人のアイドルが日本の番組で「箱の中身はなんじゃろな」に挑戦し、中身がわかめだった際、「生まれたときに食べるやつ!」と言った。その場にいた日本人にはまったく伝わらず、きょとんとされていたが、本人はちゃんとわかめだと認識していて、誕生日を“生まれたとき”と表現していただけだった。

誕生日でほかにも不思議なのが、お義母さんの誕生日について。世代的な問題なのかは謎だが、うちのお義母さんは自分の誕生日を旧暦で把握しているらしく、「誕生日にお祝いの連絡をくれない!」と拗ねるのだ。さすがに毎年変わる旧暦で誕生日を把握してお祝いするのは難しい。

しかし、旦那の誕生日は西暦の日付でお祝いの電話がかかってくる。というか、お義母さんは自分以外の家族の誕生日は全員西暦で把握している。

なぜ自分だけ旧暦で把握しているのだろう?と疑問に思い、私自身に置き換えて考えてみた。ある日、突然誕生日をズラされたら自分が生きてきた日数が曖昧になり、自分自身の歴史が書き換えられる気がしてすごくモヤモヤするし、自分の両親が与えてくれた誕生日を変えたくないという気持ちも芽生えるかもしれない。

もっと簡単に考えると、私は高校生のころから4月始まりの手帳に軽日記みたいなものを20年以上つけている。それを1月からの手帳に変えてしまうと、空白の3カ月が生じてしまうので、このサイクルを変えるのは絶対に嫌だと思っている。それに近い感覚なのかな?と自分なりに納得した。

そう考えると、旧暦から西暦に移行した明治時代のパニックさたるや、想像するだけで恐ろしすぎる。

韓国でも大切にされている旧正月

韓国は2月中旬に旧正月をお祝いする「설날(ソルラル)」という名節があり、西暦の1月1日よりも重要視されている風習がある。今年は2月10日だった。

旧正月を祝う風習はベトナムやマレーシアなどでもあり、中国に関しては「90億人の大移動!」「爆竹解禁!」なんて日本のメディアでも話題になるが、韓国でもお店が休みだったり、親戚が集まったりするようだ(爆竹はしない模様)。

もちろん日本のお正月と同じように普段どおりに過ごす人や、特に親戚と会ったりしませんという現代っ子も増えているそうで、私の旦那はどちらかというとそっち寄りだ。しかし、去年、お義父さんが「ソルラルなのに、親に電話の一本もよこさないなんて!」と愚痴をこぼしていたので、今年は事前に日にちを調べ、カレンダーにメモをし、韓国の文化を忘れがちな旦那に電話をかけるよう促した。息子からちゃんと電話をもらえたお義父さんは満足そうだった。隣にいた私も、カタコトの「セへボンマニパドゥセヨ~(あけましておめでとうございます)」を伝えた。

100日をお祝いする文化

日本では付き合って何年、何カ月などを記念日にするが、韓国では100日記念、1000日記念などをお祝いする。K-POPアイドルもデビュー100日は必ずといっていいほどお祝いしている。

私は旦那に出会ったころ、離婚したばかりというのもあり、お付き合いするうんぬんを曖昧にしていた。というより、これまでも明確に「付き合ってください!」と言われれたり、言ったりでスタートさせた恋人関係のほうが少ないかもしれない。

今の旦那には花束を渡され、軽くひざまずきながら「付き合ってください」と言われたが、“告白するの早いよ~”と思ったし、どうせそのうちあきらめるだろうと考え、「私はアナタに似合う女じゃないの……」とかなんとか言って、のらりくらりとかわしていた。

だから彼の中で100日記念は出会った日から、という計算らしい。1000日記念はスマホのカレンダーに入力していたが、「日付を間違えていてすでに過ぎちゃってた……」と、申し訳なさそうに報告された。むしろ1000日を気にしたことすらなかった私はフーンだったが、これが韓国人だったら「1000日記念スルーされた! あり得ない!」となるのだろうか?

日本も生まれて100日目に「お食い初め」を行うが、韓国では生後100日はもちろん、生まれて1万日をお祝いすることもあると知り驚いた。1万日とは年齢にすると、27歳と4カ月と数日なのだが、旦那の友達にも尋ねたところ、アイドルなどがお祝いするだけで一般人はそんなに大人になってまでお祝いしてもらうことはないそうだ。

ほかにも、「父の日・母の日」はないけど「両親の日」があったり、お盆のような「추석(チュソク)」という祝日があったり、毎月14日は必ず何かの記念日が設けられていたりと、日本とは違うお祝い事がたくさんあるので、韓国人の旦那との結婚を機に、いろんな韓国文化に触れてみたい。

ただ、旦那は日本にしか興味がないので、まずは旦那に韓国に興味を持ってもらうところから始めたいと思う。

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本日は晴天なり

太田プロダクション所属のピン芸人。キャバクラバイト歴10年、身長173センチの長身女子。推し事が中心の日常も、YouTube『本日は晴天ちゃんねる』にて垂れ流し中。

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