オードリー若林の「痺れる3年間」と、ノブコブ吉村の「45歳までに決着をつける」(あちこちオードリー)

オードリー

トップ画像=『クイック・ジャパン』vol.99より

文=てれびのスキマ 編集=高橋千里


テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『あちこちオードリー』

ゲストは「同期だけど芸風真逆のふたり」のノブコブ吉村とピース又吉。オードリーも同期のため、4人全員同期(2000年デビュー)。

実は、NSC時代は「暗いやつの1番・2番」というほど、吉村も暗いキャラだったと聞き、「受け止め切れない」と驚く若林。

だから仲がよかったというが、1年目のときに恵比寿のクラブ「みるく」で行われたオールナイトライブに出演した際、「破天荒・吉村崇」が誕生した瞬間を又吉は目撃したという。突如、踊り出し「その日、吉村崇になった」と。

やはり吉村がいると「天下獲り」の話になり、「ここにきてパンサー向井やシソンヌ長谷川などの若手の勢いがスゴい」と吉村。さらには「佐久間さん参加しましたね、(天下獲り)レースに」と鋭く指摘する。

オードリーより3歳年下の吉村は「45歳までに決着をつけなきゃいけない」と焦燥感をにじませる。それまでにゴールデンの番組を持ちたいと。対して、まもなく45歳になる若林は「もう結論じゃん」と思ったそう。

若林が「それは悲しくなかった。ここまでで比較的できること・できないことがわかった」「最後までロケがわからなかった」「ここまででわかってることだけをやろうって」と心境の変化を丁寧に話すと、「それ、成長」「できないことをいかに誰にやらせるか」と返す吉村。

「天下獲りはチーム戦」だと。すると若林は「同期だとぶっちゃけちゃうな」と、これまで明かしていなかった一歩踏み込んだ話を語り出す。

「痺れる3年間だった」と、45歳までの3年を振り返る。その間、オードリーの冠特番などがあり奮闘したが、その企画に協力してもらう芸人が、悪い意味ではなく「同じ釜の飯を食ってないと、オードリーのためにひと肌脱ぐ理由がないっていう目をしてた」と。

だから、企画が「ドライブ」し切れなかった。本来であれば、それまでにチームを作らなければならなかったのだと。

けれど、チームを作らなかったオードリーだからこそ、今独特な立ち位置に到達したともいえて、これは本当に痺れる話。

「仕えてみないか、吉村に」と言う吉村に「そうなったら死ぬ気でいくよ」と応える若林は「その前に城持ってくれよ!」とツッコむ。吉村「なんか土地高いんだって!(笑)」。

『アメトーーク!』

11年前に川島がプレゼンして採用された企画「先輩に可愛がってもらえない芸人」を、パンサー菅、チョコプラ長田、マヂラブ野田、和牛・水田、霜降り・粗品、四千頭身・後藤、すゑひろがりず南條、ZAZYで再び。

川島はMC横に。「11年前、俺もあんな感じの灰色の目をしてた」と当時を回想し「結局、先輩に可愛がられないまま走り切りました」と振り返る。MC横には「可愛がってもらえる側」として、せいやも参加。

まずメンバーは「なぜ可愛がってもらえないのか」を自己分析。パンサー菅は「圧倒的に可愛げがない」。野田は「芸歴の前半がトガり過ぎてた」「賞レースで勝ち過ぎた」。長田は「芸歴のわりに年齢がいっている」「先輩を可愛がっている」。

水田は「負けず嫌い」「誤解されている」。粗品は「若くして成功し過ぎた」。南條は「イジりシロがない」「リピートされない」。ZAZYは「先輩との接し方がわからない」。後藤は「盛り上がりたいときに必要のない人材」と思い思いの理由を語っていく。

長田が「ネタを書いてる先輩に誘われたい」と漏らしたように、大半のメンバーが先輩を「選び」、自分たちから壁を作っている感じ。

それに対し、リーダーの位置に座る菅が「みんなは自分の時間を大切にしたかったりするじゃないですか。(自分は)単純に、行きてぇのに誘われてない」と嘆いていたのがおもしろかった。

偶然会った先輩に対してどう接するかを検証したVTRでは、野田のフジモンに対する態度がまるで“ケンカ”のよう。「お笑いは俺の息抜きです。飲み会は仕事」ときっぱり言い放つ野田。「芸歴の前半がトガリ過ぎてた」というよりは、今もちゃんとその部分が残っている。

そんな態度を見て、なぜか泣き顔になるZAZY「野田さん、もっと社交的になったらいいのに……」。

いや、でもそんな野田だからこそ、先輩には可愛がられなくても、視聴者からすると放っておけない魅力がある。

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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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