『NHK紅白歌合戦』に22年連続出場中の“演歌界のプリンス”でありながら、今年1月に2022年いっぱいで歌手活動の休止を発表した氷川きよし。また、近年では「kii」とナチュラル(natural)をかけ合わせた「Kiina」の愛称で親しまれ、“ありのまま”の自分を積極的に発信する姿が幅広い層から支持されている。
そんなKiinaが座長を務める『氷川きよし特別公演』が現在、東京・明治座にて行われている(大阪、福岡、名古屋公演もあり)。昨年12月に初めてKiinaのコンサートを観て一気に魅了されてしまったエンタメライターの原田イチボ氏が本公演を観劇し、その模様をレポート。
ファミマのバイトリーダー役からスタートしたKiinaが、18世紀フランスにタイムスリップ。“1人6役”で年齢や性別を超越する姿は、チャレンジ精神に満ちあふれていたという──。
ファミマのバイトリーダー役のKiinaがキックボードで颯爽と登場
歌手・氷川きよしこと「Kiina」は演技もたしなむ。東京・明治座にて6月3日~7月4日まで上演中の『氷川きよし特別公演』を鑑賞しました。こちらは、芝居と歌の2本立てで行うKiinaの座長公演。第一部の舞台「ケイト・シモンの舞踏会 ~時間旅行でボンジュール~」は、歌手を目指す青年・子門慧音(氷川きよし)がひょんなことから18世紀フランスにタイムスリップするストーリーです。
主人公の子門慧音は、病気の母親に代わって家計を支えるべくアルバイトに明け暮れる日々を過ごしていた。しかし、そんな彼の努力もむなしく、入院中の母親は亡くなってしまう。「時を戻せたらどんなにいいか……」と、母が遺したフランス製の砂時計をひっくり返すと、気づけば18世紀のフランスにいて──。
あらすじから漂うトンチキの予感は、ファミリーマートのバイトリーダー役のKiinaがキックボードで颯爽と登場した時点で確信へと変わる。オスカル風の衣装を凛々しく着こなすKiinaのポスターから宝塚歌劇のような世界観を期待していましたが、次々とギャグが繰り出される味わいは、むしろ吉本新喜劇に近い。舞台に立つなだぎ武を初めて観ましたが、すべての動きが計算し尽くされており、コメディモンスターだ……と打ち震えました(※星田英利とのWキャスト)。
本作の大きな見どころは、Kiinaの“1人6役”にあります。タイムスリップした子門慧音は、「求められる役柄をこなすことが自分の使命」という考えのもと、人々の頼みに応えてジャンヌ・ダルク、アルセーヌ・ルパン、メイドの教育係、衛兵、令嬢に扮し、厄介事を解決していきます。
マリー・アントワネットを彷彿させる華やかなドレスを着たKiinaは、まるで絵画のような美しさ。登場した瞬間、客席が歓声に包まれました。また、ベテランのメイド教育係・ババロアに扮した姿にも驚かされました。見た目はもちろん、声まで老婆らしく変化しており、初めは一瞬Kiinaとわからなかったほど。歌手とは“声”のプロなんだと感心しました。
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