作者・芥見下々の復調を願いながら、連載再開を待ちながら、映画版の公開(今年冬の予定)を待ちながら『ジャンプ』大好きライター・さわだが『呪術廻戦』(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)の既刊を1巻ずつ振り返っていく企画である。今回は8巻、アニメ最終話「共犯」収録巻を考察する(以下考察は、8巻までのネタバレを含みます)。
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アニメ最終話「共犯」を収録
8巻といえば、アニメの最終話「共犯」が収録されている。物語の区切りとなるような話ではないのだが、主人公・虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)にとっては大きな心境の変化が訪れるきっかけとなっている。
7巻で呪霊と人間のハーフ「呪胎九相図」(じゅたいくそうず)の三男・血塗(けちず)を討ち取った虎杖は、8巻の冒頭で次男・壊相(えそう)を追い詰める。意外な兄弟愛に虎杖は戸惑うも、「ごめん」と言葉をかけてトドメを刺した。
過去に人間としての理性を失った改造人間を手にかけたことのある虎杖だが、まともに意思の疎通が取れる人間を殺めたのは初めてのことだった。同じく初めて殺した釘崎野薔薇(くぎさき・のばら)は、覚悟の違いからか「ぶっちゃけなんともない」と動じた様子を見せない。
「アイツ…泣いたんだよ 目の前で弟が死んで」
殺さなければ殺される。仕方のないことではあるが、虎杖は壊相が持っていた人間の温かみを重く受け止めていた。動じていなかった野薔薇は、虎杖の気持ちを慮り「共犯ね 私達」と罪を一緒に背負う。
左ページに虎杖、右ページに野薔薇。漫画の利点を活かしながら向き合って会話をするような淡々としたコマ割りは、どこか映画のようだ。いつもはガサツな野薔薇の繊細な一面が際立って見える。
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