公開プロポーズからのスピード離婚となった水川かたまり。借金に苦しむクズ芸人から、優しい父親となりつつある鈴木もぐら。空気階段としては『キングオブコント』で第3位。ふたりの人生は激動だ。
16歳のタレント・女優の奥森皐月が、空気階段の魅力と、ふたりから学んだ「生きるための原動力」を書き綴る。
【関連】空気階段・鈴木もぐら『キングオブコント2021』優勝で「借金のない自分を見たい」
目次
共に青春を歩んできた「聴く人生ゲーム」
学校に通っているだけでは学べないことが、世の中にはたくさんあると思っている。人と関わること、趣味を深めること、働くこと、さまざまな行動の先に得られるものがあるのだろう。
私の場合はラジオを聴いているときに新たな世界を学ぶことが多い。他人の失敗談や壁にぶつかったエピソードを聴くことで、ほんの少しは経験値が上がった気分になれる。
好きなラジオ番組の中でも圧倒的に経験値を得ることができた番組、それが『空気階段の踊り場』(TBSラジオ)だ。この番組に関しては、聴いているだけでレベルが爆上がりする。スピードラーニングもびっくり。
今をときめくお笑い第七世代のひと組である空気階段がパーソナリティの『踊り場』は、ただのお笑いラジオではない。番組の説明にある「人生のためになる情報をお送りする教養バラエティ」というフレーズが的確な表現である。
2017年の放送開始当初は、到底売れているとは言い難い状況だった空気階段。当時はもぐらさんが女性とお付き合いしたことが一度もないという話や、借金まみれの生活のこと、ふたりのバイトのエピソードなどを話していた。
しかしながらこの3年半で空気階段というコンビ、鈴木もぐらと水川かたまりというふたりの人間はどんどん進化していった。そしてその様子は、すべてラジオを通して赤裸々に語られる。恋愛・仕事・ギャンブル・結婚・挫折……。
空気階段はこれらを、嘘偽りのないまっすぐな言葉で身をもって教えてくれた。女子中学生だった私に「債権者様」という言葉を教えてくれたのもこの番組だ。ふたりの人生が私の知識になり、成長させてくれたと思っている。『踊り場』リスナーの私は、空気階段と共に青春を歩んできたと言っても過言ではない。
『空気階段の踊り場』は聴く人生ゲームのような番組だ。
仕組まれていない、筋書きのないストーリーの中でもビッグイベントは起きる。そして空気階段のふたりは、常人にはないスペシャルなマスを連続して持ち合わせている。そこで今回は個人的に好きな展開をいくつか振り返りたい。
あまりに衝撃的だった、クズの2箇条
まずは、もぐらさんが幸せを掴むまでの過程がたまらなくよい。誰とも交際したことがなかったところから、素敵な女性と出会い、結婚し、子供が産まれる。金銭的な事情で妻子と別居生活を送る生活がつづくも、お笑いとバイトに励んで資金を集め、晴れて3人暮らしを始める。そして今年3月に第2子も誕生した。
この数行にどれだけのドラマがあっただろうか。
たった3年で展開が大きいし速過ぎる。このペースだと、もぐらさんの人生は単行本5冊くらいで終わってしまうのではないだろかと心配している。クズ芸人として知られるもぐらさんだが、最近は確実にクズから脱出してきていることがラジオから伝わる。
番組に頻繁に登場するクズ芸人の岡野陽一さんは、2018年放送の第77・78回でこんな格言を残していた。
クズの2箇条
1.人を殺めてはいけない
2.遺伝子を残してはいけない
クズは人間ではないため人権はない。お父さんとクズは共存できないため、もぐらは人間にならなくてはならない。私はこの言葉に感銘を受けた。クズにも掟があることは知らなかったし、そもそもクズと人間は別物だということを初めて知った。
あまりに衝撃的だったため、この言葉を聴いてすぐスマホのメモに書き留めた。
今回の文章を書くにあたりメモ内で「クズ」と検索したところ、一発で出てきた。2018年の私に拍手を送りたい。
私も岡野さんスタイルのデートを満喫したい
あれから2年半経った今、岡野さんの言葉のとおりになっているように思える。もぐらさんは人間だ。正真正銘の真人間だ。テレビで活躍するお笑い芸人になり、家族を思いやる優しいパパとなり、ついに借金も返済し始めたという。物語が進んでいる、次の章に突入している。
もぐらさんが幸せになることはリスナーとしても幸せだ。これからも温かい家庭を築いていけますように。
ちなみに、岡野さんにも最近“ジュリエット”が現れた。今まで一度も聴いたことのなかった、岡野陽一の恋愛トーク。これが最高におもしろく、キュンキュンできる。世界一楽しそうなデートをしているので、ラジオクラウドの第205回アフタートークを聴いて確認してほしい。叶うことなら私も岡野さんスタイルのデートを満喫したい。
これを聴いてようやく初めて、岡野さんも人間なのかもしれないと気づかされた。
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