『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載中のマンガ『呪術廻戦』(作・芥見下々)を『ジャンプ』大好きライター・さわだが、映画公開(今年の冬らしい)を待ちながら、1巻から隔週で読み直していきます。3巻で登場した嫌われ悪党・真人が、一発で物語の中心に食い込んだのはなぜだ。
【関連】『呪術廻戦』映画を待ちながら1巻から読み直す「第1話から傑作」感がないのが逆にすごい
真人は悪者ド真ん中
数多くのキャラクターが登場する『呪術廻戦』の中でも、筆頭の胸糞キャラ・真人(まひと)。人間をモノ扱いし、大した信念も持たず、人をおちょくったような態度ばかり取るエンジョイ系の悪党だ。3巻は、そんな真人の嫌われ伝説の始まりみたいな巻だった。
主人公・虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)ら呪術師が対峙するのは、新しい世界を作ろうと目論む呪詛師(悪い呪術師)夏油傑(げとう・すぐる)と特級呪霊(呪い)たち。こいつら呪いの発生源は、人間の負の感情。たとえば、花御(はなみ)は森、漏瑚(じょうご)は大地を恐れる感情から、といった具合だ。その中で真人が生まれた元は「人」。人が人を恐れる感情から生まれた化け物だ。これだけでも真人が呪いとしてド真ん中である雰囲気がプンプンする。
真人は能力も呪いド真ん中だ。触れた人間を肥大化、縮小化、変形させ、意思を持たない改造人間として戦わせることもできる。悪役にもってこい、これ系の能力を持っているのは、『ONE PIECE』のドフラミンゴ、『幽遊白書』の朱雀など、だいたい印象の強い悪者が多い。
また、この能力説明が秀逸だった。
「肉体に魂が宿るのかな? それとも魂に体が肉付けされているのかな?」
「答えは後者 いつだって魂は肉体の先にある 肉体の形は 魂の形に引っぱられる」
魂のあり方という一般的には答えのないモノについて問いかけ、「魂が先」と作中での答えをキッパリ言い切る。真人は、人の魂の形を変えることでそれにツラれるように肉体の形を変えていたのだ。
魂、人間から生まれた呪い。『呪術廻戦』においていかにも重要そうな要素を一手に引き受けることによって、登場して間もない真人は一発で物語の中心に食い込んだ。
吉野順平とその母親・凪
真人の嫌悪感をブーストしたのは、吉野順平とその母親・凪。ふたりは、作中屈指の読者をやるせない気分にさせたキャラクターだ。
順平は、不良グループからイジメを受ける高校生。自分を他人とは違うと思っているが、それは誰しもが一度はしたことのある拗らせ方であり、ある意味で最も親近感の湧くタイプのキャラクターだ。そんな順平は、自分をイジメる不良たちを殺した得体の知れない化け物・真人と出会う。
真人は順平が抱える他人への絶望を受け止め、すべてを肯定した。真人が魂を操る能力を持っていたことも、順平にはプラスに働いたのだろう。生き方、人の死についての常識が揺らいだ。
闇堕ち寸前、そこで出会ったのが、今作の虎杖だ。虎杖は軽薄そうだが人の気持ちのわかる男で(おまけに映画の趣味も合う)、順平は一気に惹かれる。
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