『3年B組金八先生』の一挙配信！　放映時からずっと『金八』マニアのライターで漫画家の北村ヂンが興奮している。モノマネやパロディでしか観たことない人、この機会に観たほうがいい。芸能界を登り詰めていく武田鉄矢ヒストリーとしても生々しい。

現実を侵食してしまった特異なドラマ

動画配信サービス『Paravi』で『3年B組金八先生』全8シリーズ＆スペシャルの完全初配信がスタートした（2021年2月までかけて順次配信）。

学園ドラマのド定番ということで、モノマネやパロディとして取り上げられることも多い本作。知らないことはまずないと思うが、ちゃんと観たことがない人は意外と多いのではないだろうか。
ロン毛でゴリラ顔のフォークシンガーがなぜか教師役に抜擢され、なんの弾みかドラマが大ヒットしてしまい、足かけ32年もつづく長期シリーズに。ロン毛の中学校教師なんて現実には存在しないはずなのに、今や理想の教師像という異常事態。しかもそのロン毛が歌う失恋ソング（「贈る言葉」）は卒業式の定番ソングになってしまっているのだ。
これほどまでに現実を侵食してしまった特異なドラマ『3年B組金八先生』を観たことがないなんてもったいない！　この機会にぜひ体験してもらいたい。

『金八先生』に拒否反応を示す人たちは決まって「武田鉄矢はあんなにいい人なわけない、偽善ドラマだ！」みたいなことを言うが、じゃあアンタは星野源が童貞だと思いながら『逃げ恥』を観ていたのかと。米倉涼子が手術メチャクチャうまいと思っているのかと。どうして武田鉄矢にだけ、ドラマ内のパーソナリティを求めるのか!?
ファンだけでなく、『金八』を嫌いな人の脳にまで「武田鉄矢＝金八先生」が刷り込まれてしまうほど、現実を侵食するパワーを持ったドラマだということだ。

「15歳の母」の衝撃