舞台を中心に活動をスタートし、数々の人気シリーズ作品に出演、現在は映像でも話題作にレギュラー出演するなど多方面で注目を集める俳優・木津つばさ。28歳になった今、「国民的俳優になる」という夢の途中にいる。
広島から上京した日のこと、コロナ禍で舞台に立てなくなった日のこと、“2.5次元俳優”の肩書に悩んだことなど、自身の言葉で赤裸々に綴るエッセイ連載『舞台にさよならを言う前に』。
【第5回】進路 第一希望:俳優
前回までのエッセイをたくさん読んでいただき、本当にありがとうございます。きっとどこかにあなたの心に刺さる部分もあるんじゃないかな?
さて、ここからまた語り明かしたいと思いますね。夢を持った木津少年の、未来への一歩の話は、あのころから今も続いてます。
話は本題に入りますが、中学3年生の秋、担任の先生に渡す進路希望調査票の裏に、大きく太い字で「役者!!」と書きました。
今考えると意味がわかりません。そのときの僕も、あまり意味はわかっていなかったと思います。
ただ筆の走る先にその文字があって、覚悟を決めて提出しましたが、案の定というやつですよ。よくありましたよね、まだある子もいるかな? 三者面談。
すぐに「三者面談や!」と怒鳴り散らかされました。
そんな愛情に満ちあふれた方、今回はU先生と呼ばせていただきますね。鬼の形相もいいところ、ものすごい顔で階段を駆け上がってきて、「教室で待っていろ」と言いました。

三者面談当日。教室の扉を開けて入ってきたU先生は、なぜか笑顔。怖い、逆に怖い。座ろっか。もう座ってました。焦った、すごく焦った。怒られるな、これ絶対怒られるな。怒られました。しかも目をまっすぐ見て、私が座っていた机に身を乗り出して。
「何を言うとるか、わかっとるんか?」
「はい」
「まぁええわ、親御さん来てからしっかり聞くけぇの」
「はい」
沈黙の20分が過ぎ、ガラガラガラと戸が開き、親が入ってきました。
まず、ゆっくりと状況説明から入りました。なぜこんなことを書いたのか、本当に言っているのか。聞かれるたびに、ただまっすぐに伝えました。
私は“俳優”という道を見つけました。どうなるかはわからないけれどやってみたい。挑戦したいと思ってます。でも、どうやったらなれるかはわかりません、これから考えます。
静かに私の話を聞いてくれていた親は、押し問答を繰り返す先生と私を見て
「息子の好きなようにやらせてあげてください」
涙があふれてきてしまった。そんなことを言われたのは初めてでした。
サッカーで挫折をして、そのあといじめられたりもしました。言わなかったけど、言えなかったけど。
そして出会った“俳優”という存在。親の顔を見ると、親も泣いていました。
「俳優になりたいん? 初めて聞いたよぉ~、本当になれるん?」
私は「なる」と答えました。
そのあとも少しだけ話しました。私がこれまでのエッセイに書いたことのように、思いを吐露したんです。
先生は泣きながら笑っていました。お前は本当に親御さんに愛されてるな、絶対に恩返しをしろよ。あと、高校には行け、と。そして、通信制高校の話を聞いた木津少年は、そこへ入学していきます。
秋の風がゆっくりと流れる教室の真ん中で、私の夢が始まった瞬間のお話でした。
俳優を目指すのは簡単なことじゃない
支離滅裂でごめんなさい。あのときの想いはすべて込めました。読んでくれてありがとうございます。
もう少しだけ、思っていることを……。俳優になることに対して、プレッシャーを感じていたのも事実でした。
だって、そこにはたしかに輝かしい俳優の皆様がいて、トライしている自分を鏡で見つめると、とてもじゃないけれどもうまくいくはずがないと。
でも、それでも支え続けてくれて、送り出してくれた親の顔を毎回毎回思い出すんです。あきらめない、絶対になってみせると、強い意志の中で走り続けました。

U先生は言いました、「簡単なことじゃない」と。
たしかに簡単じゃなかったです。それはもうおっしゃるとおりでした、ビックリするほどに。これを読んでるあなたも、大人の言うことには耳を傾けてみようね。
ただ、「やるなら負けるなよ、あきらめるなよ」と、まっすぐ見つめて言ってくれた恩師には、未だに敵わない気がします。
だから、今も真心を込めて役者やってます。悩み、苦しみ、もがきながらも、向き合って、今ここに立っています。これからも真摯に実直に、あなたの誇れる俳優になってみせます。
そして、お待たせしました。家族よ、ありがとう。あなたたちの“息子”でよかったです。
最後に、今この記事に目を向けてくれてるあなた! やれよ! これからも! やれ! 負けるな! がんばれ!
やっぱり木津つばさは、あなたのことをいろんなかたちで応援し続けます。だから、僕のこともずっと応援してね。
家族が、俳優人生において出会ってくださった数々の人が、ファンのみんなが、僕の生きる希望です。
木津つばさエッセイ連載『舞台にさよならを言う前に』過去記事はこちら
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