少女写真家・飯田エリカと、QJ編集部・高橋の音声番組『夕方5時の会議室』。メディア業界で働く同世代ふたりが、日常で感じているモヤモヤを、ゆる〜くカジュアルにお話しします。
第19回も、『ミスiD2022』でグランプリを獲得し、執筆やPodcastなど多岐にわたって活動、20代から熱烈な支持を集める金井球さんがゲストで登場。中央線沿いの某エリアで銭湯バイトを始めた金井さんは、友人にとあることを言われるようになって……?
※音声収録は2025年11月5日に行いました
この記事では、音声の前半部分だけをテキストで公開。後半はYouTubeまたはPodcastよりお聴きください。
「中央線沿いの銭湯でバイトする金井球」はサブカルすぎる?
飯田 前回に引き続き、金井球さんがゲストでいらっしゃってます。
金井 ほうれん草が大好きです、金井球です。
高橋 ほうれん草、好きなんだ!(笑) 今回も金井さんが最近モヤモヤしていることを聞いてみたいと思います。

金井 私は今、中央線沿いの某エリアの銭湯でバイトしてるんですが、「金井球がそのエリアの銭湯でバイトしているのは、ちょっとやりすぎている(サブカルすぎる)んじゃないか?」と友達から意見をいただくことがあって……。
ただ、私は“金井球”を始める以前から、(銭湯が)ちっちゃいときから身近にあって、好きなものであっただけなのに、「やりに行っている」みたいなことを言われるのが、不服。モヤモヤします(笑)。
飯田 そのエリアと銭湯と“金井球”をかけ算したときに、サブカルすぎる!みたいなことなのかな。でも、銭湯がサブカル化したのって最近ですよね。
金井 銭湯は、家でお風呂に入らなくていいのと、開放感が好き。しかも、誰も私の裸に興味がないのがめちゃくちゃ気持ちよくて。なのに「それはサブカルチャーだろ」というふうに言われるのが、“金井球”がコンテンツにされてる感覚があって、やだーって……。
高橋 なるほど。
金井 銭湯バイトの面接のとき「“金井球”ということをやってます」と一応言ったんです。それまでのバイト先では言ったことなくて、「世を忍ぶ仮の姿」みたいなスタンスで働くことが多かったんですけど、全部を開示することで、“金井球”と本名の自分を一緒にしてみた。でも、それも「“金井球”すぎる」とか言われて(笑)。
飯田 面接で開示したら、今までのバイトとは違う感覚になりました?
金井 けっこう違います。冗談とかも一切言わないタイプだったし、自分のことを明かさず、忍者みたいな気持ちで働いてたので。(私という姿が)2個あるから、こっちで無理なことがあっても“金井球”が輝いていればよくて。
でも、「こっちの私は面倒臭いな〜と思いながら働いてるのに、そっちの私はキラキラしてていいですね」みたいな、本来ひとつであったものが離れていく感覚もあって。本名の私のことなんか誰も知らないのに、“金井球”ってエゴサしたら新しいツイートが出てきたりすると、自分がふたつになっちゃったみたいな気持ちになって、怖かったんです。
飯田 すごい、『サブスタンス』(映画)みたい。
金井 どっちも自分でやってることなんだけど、本来の自分が、影の自分に食われていきそうで。みんなが見てる“金井球”にならなきゃいけないのも、なんか……。
飯田 そっか。だんだん“金井球”がコンテンツ化されると、それを演じなきゃいけない感覚になるんですね。
高橋 今の銭湯バイトではそこから解放されたとのことですが、業務内容は受付ですか?
金井 受付の、いわゆる番台(ばんだい)さんです。銭湯に来るお客さんたちって全員マジで楽しそうなんですよ。友達同士で来る人たちも、相当仲よくないと裸になろうと思わないじゃないですか。だから、みんなお互いのことが好きなんだなーって。
ひとりで来る人も、コインシャワーでもいいはずなのにわざわざ銭湯という場に来るってことは、銭湯が好きで。そういうふうにみんなが楽しそうなのが、私はめちゃくちゃうれしいです。
飯田 確かに、嫌な感じで銭湯来る人いないですもんね。
金井 お客さんとしゃべるのもめっちゃ好きです。「暑いですね」「寒くなってきましたね」「雨降るんですかね」くらいの会話ですけど、それも楽しいですね。
土日だと初めて来た家族連れの方も多いんですけど、その人たちもすごい楽しそうで。親御さんが子供にいろんな経験を積ませてあげたいと思ってるみたいで、そんな家族を見てると泣きそうになって、いいものを見せてくれてありがとう……って泣きそうになっちゃいます。あんまりジロジロ見ないほうがいいんでしょうけど(笑)。
飯田 家族観察をしてるんですね(笑)。
令和にサブカルチャーは存在するのか?
高橋 さっきの「サブカルっぽい」みたいな話に戻りますけど、サブカルチャーって今あるのかな?と思っていて。『Quick Japan』も昔はサブカルチャーの雑誌とされてきましたけど、最近はサブカルに限らずメインカルチャーも取り上げますし、サブカルっていう言葉自体がそもそもちょっと古くなってきてるかも?と思ったりするので、おふたりの考えも聞きたいです。
金井 今はインターネットで楽に(いろんなカルチャーが)探せるから、自分がサブカルチャーを好きだと自覚しづらい気がします。
飯田 私は2010年代にサブカルチャーという言葉が流行ったときに、少女写真家としての活動のはじまりが大かぶりしてて。
(スチールで携わっていた)『ミスiD』ってわりとサブカルチャーな、メインどころではない女の子たちを集める場だったと思うんですけど、自分がその渦中にいたのもあって、『ミスiD』が終わったとき「ひとつの季節が終わったな」と感じました。
でもそれから令和になって、違う質感のサブカルチャーはあるのかも。それこそ「“金井球”というコンテンツ」みたいなのも一種のサブカルチャーなのかもしれないし。
高橋 金井さん自身は、自分がサブカルチャーとして捉えられている自覚はそんなにない?
金井 いや、わりとあるかも(笑)。“金井球”ってエゴサすると「彼氏がフォローしてたら嫌なSNSアカウントランキング」みたいなのが出てくるときがあったんですよ。
飯田 えー!
金井 そのとき私は、一個コンテンツというかサブカルの代名詞みたいになったのだなと、ちょっとうれしいような怖いような気持ちになりましたね。
高橋 複雑ですね……。金井さんはどこまでセルフブランディングをされてるんですか?
金井 本来の自分とそんなに変えてるつもりはないんですけど、言うこと・言わないことや、オファーに対する取捨選択はしてます。
たとえばお仕事の話をいただいたとき、乗るか・乗らないか、もうひとりの自分と「“金井球”としてどうなの?」と対話してます(笑)。もうひとりの自分が首をかしげたり、頷いたり。もともと俯瞰的な、自分の目をずっと気にしてるタイプなので。
高橋 もうひとりの金井さんは、マネージャーみたいな立ち位置なんですね。
飯田 確かに、プロデューサーというか、それが自然とセルフブランディングっぽくなってるのかな。きっといろんなお声がかかるけど、選んでいかないといけないですもんね。
高橋 そう考えると、銭湯バイトをしているときの金井さんは、そんなにセルフブランディングは意識していない?
金井 (セルフブランディング)をやりに行くのは、別に悪くない。“金井球”と本名の自分がそんなにかけ離れてないから、自分がやりたいことをやれば自ずと“金井球っぽいこと”につながる。どっちも好きなことをやればどっちにも作用するので、いい感じです。バイト、楽しめてます♪
【続きはこちら】金井球が寿司屋バイトを辞めた理由は「まかないが…」
金井球が銭湯の前にアルバイトしていたお寿司屋さん。辞めた理由は“まかない”が原因? ほかにも、事務、美容院、学習塾の受付……3人のアルバイト遍歴と苦労話を大公開!
次回の配信は現在準備中! お楽しみに♪
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