2025年4月5日、東京・渋谷に「渋谷よしもと漫才劇場」がオープンした。こけら落とし公演として『「渋谷よしもと漫才劇場」オープニングプレミアム公演』が行われ、アインシュタイン、カゲヤマ、さや香、ケビンス、エバース、ナイチンゲールダンス、金魚番長がネタを披露。中田カウスによる「中田カウス 漫才のDENDO」も併せて開催され、アインシュタインとの軽妙なトークが繰り広げられた。
上方漫才協会の新たな役員?
公演後にはメディア向け取材会が開かれ、出番を終えたばかりの上記メンバーがずらりと登壇。和やかなムードで本劇場に対する思いが口々に語られていった。
まず中田が開口一番、「クオリティの高い芸人がこの劇場から育ってほしい」と切り出す。そして若手漫才師たちへ向けて「アインシュタインやエバースのような独特の漫才スタイルを目指すべき」と熱弁を振るうなか、ふいに舞台端に立っていた、さや香に目をやって「さや香を忘れてた(笑)。そんなとこにおるから」と苦笑い。彼らも若手の手本になるべき存在であることを示唆すると、さや香・新山がすかさず「(後輩の)エバース目指してがんばります!」とまっすぐな目で宣言した。

そして、アインシュタイン河井ゆずるは「劇場の名前は変わりましたけど、今までどおりお客さんにたくさん来てもらえる劇場になれば」との展望を述べる。相方の稲田直樹は「僕も最初は何もしゃべれない、何もボケれないやつだったんですけど、今はこうやって立派にザコ漫才師として……」と感慨深げに語って周囲の総ツッコミを促したのち、「(若手同士で)切磋琢磨していただけたら素敵だなと思います!」と笑顔を見せた。


エバースのふたりが前身のヨシモト∞ホール時代と変わらぬ独特の劇場構造について「すり鉢状になっている劇場は珍しい」と言及すると、中田が「かつてのうめだ花月は、もっとすり鉢状だった」と述懐。「条件の悪いところほど芸人は力をつけるんですね。『こんなところではやれん』というのは素人なんです。やりにくいところでどれだけやれるかがプロやと僕は思いますね」と力説して、壇上の芸人たちをうならせる。もちろん本劇場の構造が悪条件という意味ではなく、「ここは素晴らしい劇場です」とも言い添えた。

「コントも漫才!」
取材会に先駆けて行われたプレミアム公演にて唯一漫才ではなくコントを披露したカゲヤマ益田康平は、「“漫才劇場”という名前がついているのにコントをやっちゃって……」と恐縮しきりの様子で語り出す。すると中田が「コントも漫才やがな! 吉本新喜劇は集団漫才や」と大胆な見解を示し、全面的にカゲヤマを擁護。これを受けて益田は「ありがとうございます! 漫才師としての誇りを持って、漫才の道を突き進みたいと思います!」と曇りのないまなざしで言い放った。

最後に「この劇場からスターを輩出していきたいか?」と問われた中田は、「(スターが育つ場所は)劇場しかないじゃないですか」と断言。「劇場がないと、漫才師としてはちょっと難しい。コンビ間の“間”だけじゃなく、客との“間”というものがありますから、いくらネタ合わせをしてもうまくはならない」と穏やかな口調ながらも揺るぎない信念を語り、終始リラックスムードだった取材会をビシッと引きしめてみせた。


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