ちゃんみな「良くも悪くもみんなの運命の日になる」候補者たちのパフォーマンスがいよいよスタート!【『No No Girls』レポート#2】

ちゃんみな「よくも悪くもみんなの運命の日になる」候補者たちのパフォーマンスがいよいよスタート!【『No No Girls』レポート#2】

文=奈都樹 編集=森田真規


YouTubeの総再生回数は5億回を超え、若い世代から絶大なる支持を得ているラッパー/シンガーのちゃんみな。そんな彼女が、SKY-HIが主宰するレーベル/マネジメント「BMSG」とタッグを組んで始動したオーディションプロジェクト『No No Girls』。

「今までいろんなNoって言われてきた人たちを救いたい」と、本オーディションのプロデューサーであるちゃんみなは宣言。そして、ここから生まれるガールズグループに所属するアーティストには、以下3つの“No”を求めるという。

No FAKE(本物であれ)
No LAZE(誰よりも一生懸命であれ)
No HATE(自分に中指を立てるな)

2024年10月11日にYouTubeにて配信された『No No Girls』Ep.02では、2次審査を通過した30名のガールズによる3次審査合宿と、3チームが課題曲をパフォーマンスする様子が届けられた。

【No No Girls】Ep.02 / 3rd Round - to be real-

30名の候補生が6チームに分かれてパフォーマンス

合宿本番。2次審査を通過した30名の候補生たちは晴れやかな表情で会場に入っていく。一見みなリラックスしているように見えなくもない。

だが、いざスタジオに集まると彼女たちの表情は少し変わった。部屋には静かな緊張感が漂う。このオーディションに絶対合格したい──そんな各々の思いがぶつかり反発し合うかのようである。これから3次審査をともにする仲間でありライバルでもあるという複雑な心情からか、候補生同士には妙な距離感があった。そんななかしばらくしてちゃんみなが現れると、ようやく彼女たちの表情は少しゆるんだ。

今回は5人ひと組のグループ審査となる。それぞれに課題曲と振り付けが与えられ、2泊3日の合宿+5日間の自主練習のあと、パフォーマンスを発表。チームはちゃんみなが彼女たちの歌やダンスを見て分けたという。

Aチーム:KAI、KAEDE、HIBIKI、YUJU、YURI
Bチーム:KOKO、KOKONA、JISOO、CHIKA、FUKA
Cチーム:AIKA MBINGILA、AKARI、ASHA、NAOKO、MOMOKA
Dチーム:KOKOA、KOHARU、SAYAKA、MAHINA、REI
Eチーム:AYAMI、FUMINO、MOMO、YUKINO、RINGO
Fチーム:AIKO、AMI、SARA、JEWEL、STELLA

その中から、Ep.02ではA、B、Cチームの3次審査合宿に密着。本配信では3チームの課題曲と振り付けが明らかになった。

■Aチーム
課題曲:倖田來未「キューティーハニー」
振り付け担当:ASUPI

■Bチーム
課題曲:DOUBLE&安室奈美恵「BLACK DIAMOND」
振り付け担当:GENTA YAMAGUCHI

■Cチーム
課題曲:(sic)boy,KM「Heaven’s Drive feat.vividboooy」
振り付け担当:MiQael

「歌唱力がとにかく目立つようにした」というAチーム

これらの楽曲は、ちゃんみないわく「ものまねになりがちな曲」だという。候補生たちはこの難題をどう乗り越えて自分のものにしていくのか。彼女はそこに注目しているようだ。

候補生たちはさっそく練習に取りかかっていた。オーディションコンセプトの生命線は“声”ということもあり、やはり彼女たちもまた歌に強いこだわりがある。

特にAチーム。アレンジや声色の使い分けに挑もうとする姿が合宿でも垣間見えた。

歌のパート分けが決まり全員で合わせてみると、さっそくYUJUは即興でアレンジして歌ってみせる。ローキーを活かした翳(かげ)りのある歌唱が特徴的な彼女は、2次審査でSKY-HIから「とんでもないことになりそう」と評されていた逸材だ。歌は未経験だが思いは強い。2次審査後には、「もともと歌でがんばろうと思って今日来た」とも話していた。

また、「歌をやってきたところもあるから、アレンジはしっかりメリハリつけたいなと思っています」と意気込むのはKAEDEだ。「最後のところ展開作りたくて」とちゃんみなに積極的に相談する彼女。そしてちゃんみながアドバイスして試しに歌ってみせれば、キラキラと顔を輝かせる。歌に対するピュアな愛情が、そうした一瞬の表情からふいにこぼれる。

Aチームの編成についてちゃんみなは「全体的にスキルが全員あるので、歌唱力がとにかく目立つようにした」という。そんな彼女たちの歌への熱意に刺激されたのか、ちゃんみなはこう発破をかけていく。

「私、絶対口パクさせないから。絶対に。デビューしても絶対口パクだけは許さない」

「口パクなんてあり得ないというマインドでいてほしい」。その強い訴えかけは候補生たちの情熱にさらに火をつけていった。

「どんなものを見せてくれるか楽しみ」経験者ぞろいのBチーム

一方、歌やダンスの経験者がそろっているのがBチームだ。

彼女たちの課題曲「BLACK DIAMOND」は超難関。「難しいものを乗り越えられそうな人たちだったっていうのもあるし、どんなものを見せてくれるか楽しみですね」とちゃんみなはスタッフに語る。

合宿初日の歌パート分けでは、まず歌唱の難しさに困惑するメンバーたち。どうやらかなりキーが高いらしい。歌い方も油断すれば原曲どおりになってしまう。ちゃんみなは「~って普通に歌うと、歌っぽくなるんだけど……」とリズムを加えた歌い方を披露し、彼女たちにアドバイスしていく。

そんななか、ゆっくりと話を切り出したのはCHIKAだ。

「私は……もっと高くしたい。私はけっこう高音はどこまでもいける気がします」

CHIKAといえば2次審査で圧倒的な歌唱力を披露し、SKY-HIとちゃんみなを仰天させていたメンバーだ。5歳からボーカルとダンスのスキルを磨き、何度もオーディションを受けてきた。しかしその実力とは裏腹に自分自身を否定してしまうところもあった。彼女は2次審査でこのように語っている。

「パフォーマンスする自分の姿が唯一好きな自分だから、自分の夢を叶えたいし、それをあきらめてしまったら、もう何も自分に残るものはなくて、何も好きになれないんじゃないかって怖くて、ずっと歌を続けてきたので、このプロジェクトには勝手に自分にはここしかないって思って受けに来ました」

ずっと信じて続けてきた──そんな思いが彼女の自信につながっているのかもしれない。しかも、その自信はけっして過剰なものではなく、周囲の期待を超えたものとしてかたちに表れる。中間発表では高いキーをきっちり歌いこなし、ちゃんみなをまたもや驚かせていた。

“仲間を意識した”振り付けで団結力がキーになるCチーム

ちゃんみなと候補生たちは、限られた時間の中で密に関わっていく。歌唱法、呼吸法、マイクの持ち方など、歌とダンスを両立させるためのコツを伝授していくちゃんみな。各チームはそのアドバイスを取り入れながらさらに話し合いと練習を重ね、チームワークを高めていく……。

しかし、必ずしも初めからすぐうまくいくわけではない。初日、Cチームには若干の不和が生じていた。

「今日、何曜日」「金曜日」「え、嘘でしょ!?」という他愛ない会話で盛り上がるみんなの横で、その輪から距離を置こうとするメンバーがいる。

大手事務所で6年間契約生として活動していたASHAだ。金髪ストレートロングに、クールな強めメイクが印象的。低音ラップを得意としてきた。そんな彼女はまるで1分1秒も無駄にできないというように、歌詞カードをひたすら見つめて何かを考えている。

スタッフがあとから本人に話を聞くと「私語が多いなとは思いました」「別にリーダーとかって立場でもないから言い出せなかった自分もあれだけど……」と本音を漏らす。

ある時期から新しく出会う人たちと関わらなくなったという彼女は、この合宿でも殻にこもっている。見た目の印象で、性格が悪そう、機嫌が悪そうだと思われがちだったという。もうそれならそれでいい。いつからかそう考えるようになっていた。

Cチームには、声がかっこよくラップ志望のメンバーも多い。そんなチームの振り付けについて、ちゃんみなは「エモい感じ。細かい難しい動きを多くしてほしい」とオーダーしたという。担当振り付けのMiQaelは「自分たちの生きてる感じっていうか。若者のパワーだったり、仲間を意識して今回作っていて」とチームに説明する。互いに目を見合ったり、近寄って背中を押し合ったりと、チームワークが求められる振り付けが多いようだ。

しかし、ひとりメンバーと距離を置きながら練習するASHA。この団結しきれていない状況に、同じチームのMOMOKAは密かに焦りを感じていた。某オーディション番組の元練習生だった経験もあり、チームワークの重要性をよくわかっているのだろう。「ASHAちゃんが自分の世界の中にいるなっていうのはうすうす感じてて、ちょっとヒヤヒヤするというか」とスタッフに不安をこぼす。

だが合宿最終日、ASHAの様子はガラッと変わっていた。

「ここひと息でいくのめちゃくちゃきついの」とMOMOKAが言えば、「まじ息足りんなと思ったらエッジに落としたほうがいい。息薄くしたら息が持つっていうか……」と実際に歌ってアドバイス。ほかのメンバーとも積極的に話し合うようになっていた。チームの一員になろうとする姿勢が伝わってくる。彼女は変わろうとしていた。

いったい何があったのか、スタッフはASHAに話を聞きに行く。ASHAは少し照れた表情で考えたあと、おそらく合宿初日が終わったあとに母親から言われたことがきっかけだろうと話し始めた。「ここに来れてることにも感謝しないといけないし、自分がパフォーマンスを楽しめてないと何もうまくいかないよ」と言われたのだという。

ASHAの声は少し震え始める。そして「あんまりママはそういうこと自分に言わないから……」と言葉にすると涙がこぼれた。

「ママは……ずっと自分のことを応援してくれてたけど……もう(自分も)20歳だし、たぶん、うまくいかないのかなと思ってた部分もあったから……“違うことを見つけるのも自分のためだよ”っていう話をされたこともあったし……」

かつて所属していた事務所から「低音ラップはウケない」と言われていたASHA。契約生としての6年。自分が得意としてきたものにNoと突きつけられたようだった。個性を大事にすると言いながら、何も大事にしてくれない。夢に喜び、傷つき、苦しみながら、それでも夢を追うASHAの姿を、彼女の母親は誰よりも近くで見守っていたに違いない。

「だから、今回のオーディションになおさら気持ちが入ってる。ここで絶対つかんでいきたいし、ママにも恩返しできたよっていうのを見せたいしっていうのもあるので……」

ASHAはこぼれる涙を拭きながらオーディションへの決意を語った。

2泊3日の合宿はこうして終了。ちゃんみなやメンバーに教えてもらったことを持ち帰り、本番当日まで各自パフォーマンスを磨いていく。

“ステージに立つ覚悟”を問われた3チームのパフォーマンス

そしてついに3次審査の日がやってきた。最終発表の直前。ちゃんみなは“ステージに立つ覚悟”について候補生たちに語った。

「私はステージに立つ前に、目が合った人だったりとか、私を観てくれてる人の人生を変えるつもりで挑んでいます。もう死んでもいいと思って、ステージに立っています。みんなのパフォーマンスを、心から楽しみにしております。今日は良くも悪くもみんなの運命の日にはなると思います。今日は全力で楽しんでください」

いよいよ最終発表が始まる。トップバッターは、Aチームの「キューティーハニー」だ。

イントロが流れると、腰の振りがインパクトのある大胆でセクシーなダンスで魅了していくメンバーたち。観客を誘うようにいくつもの魅惑的な表情を使い分けながら踊る。その上、細かな感情の変化を“歌”で表現しようとしているのがビシビシと伝わってくる。セクシーでキュートな歌声で表現するメンバーもいれば、強気な女性像を体現してみせるようなメンバーもいた。

そんな彼女たちのパフォーマンスに、SKY-HIは途中で立ち上がるほどに興奮。発表を終えるとキラキラした表情を彼女たちに向け、「今日これを観られてよかったです」と大絶賛していた。その一方で、顔をクシャクシャにして大号泣していたのはAチームのHIBIKIだ。

どうやら風邪を引いて声が出ずに悔しかったのだという。普段は誰よりも明るい盛り上げ役の彼女だが、その裏では強いプレッシャーを感じていたのかもしれない。

ちゃんみなは「声出ていたと思うけど、私は」とフォローしつつ、ボイストレーニング担当のりょんりょん(佐藤涼子)先生に話を振る。過去10年に『NHK紅白歌合戦』に出場した教え子は60人以上という実力者だ。

「一人ひとりの個性がすごく出てるチームでした。歌とパフォーマンスには今までの生き様と性格、人間性が全部出ます。だからHIBIKIちゃんが一生懸命泣いているけれども、実はあなたはとっても輝いていました。声が出ていなかったって、そこまで? あたしが聴いててもよ」

りょんりょん先生は、涙が止まらないHIBIKIに優しい言葉を投げかけると、さらにこう続ける。

「何がまずいかって、ステージに立って泣いてるあなたの甘えがまずいです。これは自分のことしか考えていない。ステージの上で言い訳をしていいアーティストは誰もいません。一生懸命泣いているけれども、本当はその姿はいい姿ではありません。パフォーマンスせっかくよかったから、言い訳しないでいきましょう」

「死んでもいいと思ってステージに立っている」。りょんりょん先生の話によって、先ほどのちゃんみなの言葉が重く響いてくるようだった。

次はBチームの「BLACK DIAMOND」。

曲が始まると、何かから解き放たれたように自分たちの世界を表現していくメンバーたち。緩急をつけながら身体をうねらせる妖艶なダンス、不敵な笑みを浮かべる表情、ダイナミックな歌唱力……作り上げられた世界観にすっかり没入する観客たち。豊満な歌声を響かせるたび、きゃー!と歓声が沸く。会場の熱気が渦巻いているのがこちらにも伝わってくる。そしてパフォーマンスが終わった瞬間、会場からは歓声と拍手が沸き上がった。

「プロすぎ……」と思わず感嘆するちゃんみな。歌やダンスの経験者も多いBチームだが、実は一番緊張して固まっていたという。だが本番で殻を破ってきたことで、こちらにまでその上手なパフォーマンスが届いてきたのだと、ちゃんみなはひと皮剥けた彼女たちをそう評した。

次はCチームの「Heaven’s Drive feat.vividboooy」。

細かく難しい動きが多い振りの中でも、リラックスしたムードが漂う。歌のかけ合いも会話のようにナチュラルで、この数日で作り上げたとは思えない一体感のあるステージ。その気持ちよさに、ちゃんみなもSKY-HIも思わず歓声とともに手を挙げてリズムを取る。Bチームとはまた違う、心地よい空間が広がっていた。

「初めて私がこのチームを何も知らない状態で見たら“何この子たち!?”って、じゅうぶんなるなって思うパフォーマンスでした」とちゃんみなは絶賛。彼女自身の表情もゆるんでいた。

3次審査の初め、候補生だけではなく、ちゃんみなもまたこわばった表情を浮かべていた。審査する側であることを忘れまいとするかのように。とはいえ、やはりいいパフォーマンスには心をほぐす力があるようで、ちゃんみなも候補生たちのパフォーマンスに刺激されて、表情がみるみる明るくなっていたのが印象的だった。

3次審査はまだまだ続く。次回EP.03では、D、E、Fチームに密着する予定だ。

【『No No Girls』Ep.03配信予定】
■2024年10月18日(金)20時~

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奈都樹

(なつき)1994年生まれ。リアルサウンド編集部に所属後、現在はフリーライターとして活動しながら、クオーターライフクライシスの渦中にいる若者の心情を様々な角度から切り取ったインタビューサイト『小さな生活の声』を運営中。会社員時代の経験や同世代としての視点から、若者たちのリアルな声を取材している。

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