QuizKnockライター志賀が“謎解きの最難関工程”に潜入!『2つの世界と不思議な扉』リリース前夜
「謎解き」っていったいどうやって作られているんだろう? 現在発売中の『Quick Japan SPECIAL:QuizKnock「僕たちの現在地」』では、謎解きイベント『2つの世界と不思議な扉』の制作の裏側に密着したQuizKnockライター・志賀玲太のレポートを掲載。そのページの一部を特別に公開する。
目次
QuizKnock運営会社の謎解き制作チーム「NazoLock」とは?
最近、なんだかオフィスが狭くなったような気がする。QuizKnockの運営会社・batonのオフィスは2度の移転の末、マンションの一室から会社らしいビルのワンフロアへとたどり着いた。なのにそのオフィスが狭く感じるのは……理由は明らかで、人が増えたからだった。これはいいこと!
ただ、人が増えると、いったい誰がどんな仕事をしているのかわからなくもなる。制作企画、EC、広報……今では業務は細かな部署ごとに行われている。その中でも私が全貌をまったく把握できていないのが、謎解き制作チーム「NazoLock」の活動だ。
2024年の秋、東京ドームシティではNazoLockが制作した謎解きイベント『2つの世界と不思議な扉』(以下『扉謎』)が開催中。東京ドームシティを歩きながらヒントを探す、いわゆる“周遊型”の謎解きイベントだ。今回の謎解きは「双子」がテーマで、参加者は双子の兄か弟として参加することで、兄弟である相棒のNPCと2人で協力しながら謎解きをすることになるらしい。
ただ、「謎」ってどうやって作るものなんだろう? パンがパン屋で作られているのは見たことあるが、謎が謎屋さんで焼きたてになっているのを私は見たことがない。というわけで、今回は『扉謎』にとって大事な制作工程である“デバッグ”に参加させてもらうことになった。
謎解きの制作現場はイレギュラーだらけ!
デバッグとはもともとコンピュータープログラミングなどにおいて、動作の欠陥となるようなバグを発見し、それを取り除く作業のことだ。
謎解きにおけるデバッグでは、リリース前にスタッフや協力者がユーザーとして謎解きに参加し、「その謎が解けるのか」「想定していない解き方が発生していないか」など、体験において妨げとなるようなことが発生していないかを探すことになる。
自分も渡されたキットを手に『扉謎』のデバッグに潜入したところ、初めて知ることや見えたものがたくさんあった。
まず、外を歩くタイプの謎解きではさまざまなイレギュラーが起こり得るのだということ。謎が難しすぎてみんな同じ場所から動けなくなってしまう、看板をヒントに謎解きをしようとしたら肝心の看板がなくなっている……。こうした問題は実際に現地を歩いてみないとわからない。本当に楽しんでもらう謎解きを作るには、謎以外の部分に目を光らせ続けなくてはいけないのだ。
私と同じくデバッグに参加していたのが、クイズチーム/謎制作チームの広井隆。銀髪で鋭い目つきにサングラス、特技はポーカー。マンガか? 広井は今回の『扉謎』には初めて触れるようだったが、私を置いていくように次々に謎を解いていく。
謎制作チームの話を聞くに、デバッグでの謎解きは剥き出しの骨組みを登るようなものだから一番難しい工程とのこと。それをすいすいと解き進んでいく広井の背に、普段から謎解きやクイズに携わる制作者としての姿を思う。
テストして、作り替えて…。謎解き制作は“長い旅”
謎やパズルを作っている人というと、なんだかとても難しいことをしている人たちというか「アイデアと頭脳で勝負」のようなイメージを抱いてしまう。
そうした側面もきっとあるにはあるのだろうけど、実際に謎を制作している「現場」に足を運んでみると、そこで行われていることは想像していたこととはまた違う。いったん作った謎を地道にテストし、時には壊して作り替えながら万全の状態でお客さんのもとに届けようとする道のりは長い旅のようだ。
今回体験した驚きや感動をここに書いておけないのはもどかしい。でも、謎解きはネタバレ厳禁。そして、ひと足先に謎解きに挑戦させておいてもらいながらも、私はこれから体験するみんなのことを少しうらやましく思う。これの完成形を味わえるのは、きっとなによりの贅沢だ。
そうして謎に向き合うこと数時間。すべての謎を解いたら今回の作業は終わり……ではない。次にどこを修正するか、どこから手をつけるか。制作スタッフ全員で振り返りの時間だ。近くのカフェで行われたその時間は、議論の末にまたあっという間に過ぎていく。まだまだ先は長そうだ。
デバッグのその日は日差しが照りつける猛暑ではあったけれど、カフェで飲んだ冷たいドリンクはなによりおいしかった。制作の側には制作の側でしか味わえないものもある。
【大好評発売中!】本誌のどこかに東問&言からのメッセージも?
現在発売中の『Quick Japan SPECIAL:QuizKnock「僕たちの現在地」』では、『扉謎』制作プロデューサー・湯川英のコメントも掲載。「『双子』というテーマはQuizKnockの東問と東言から着想を得ています」など、制作秘話を明かす。また、本誌のどこかに東問&言から『扉謎』挑戦者に向けたメッセージが3つ隠されている。
会場限定版は『トーキョーディスカバリーシティ!2024』で大好評発売中。限定特典として、QuizKnockメンバーの撮り下ろしポストカードもついてくる。
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