EBiDANのバラエティ豊かな個性が爆発した『エビライ』。佐野勇斗はブルーハーツ「TRAIN-TRAIN」で魂の叫び【本編セットリスト全曲の写真掲載】
超特急、M!LK(ミルク)、さくらしめじ、SUPER★DRAGON(スーパードラゴン)、ONE N’ ONLY(ワンエンオンリー)、原因は自分にある。、BUDDiiS(バディーズ)、ICEx(アイス)、Lienel(リエネル)からなるアーティスト集団「EBiDAN(恵比寿学園男子部)」。
そのメンバーが年に1回集結するライブイベント『EBiDAN THE LIVE CRUISE 2024』が、2024年8月17、18日(18日は2回公演)に国立代々木競技場第一体育館にて開催された。
ここでは、8月17日に行われた公演の本編セットリストの全曲の写真とともに、ライブの模様を振り返りつつ、EBiDANの魅力に迫ったレポートをお届けする。
目次
楽曲から感じられた9グループのアイデンティティ
数々のボーイズグループが誕生し、互いに切磋琢磨し合う昨今の音楽シーン。スターダストプロモーションが仕掛けるEBiDANは、その立役者のうちのひとつと言っても過言ではないだろう。現在は、超特急、M!LK、さくらしめじ、SUPER★DRAGON、ONE N’ ONLY、原因は自分にある。、BUDDiiS、ICEx、Lienelの9グループが活動し、所属人数は計62名。
近年では、着々とライブ会場のキャパシティを広げてきているだけではなく、音楽番組やバラエティ番組への露出も増加。リーダー格として後輩たちを牽引していたDISH//が、2022年8月にEBiDANを卒業したものの、勢いは加速し続ける一方だ。
そんなEBiDANの全グループが年に1回集結する一大イベントが、通称『エビライ』と呼ばれる『EBiDAN THE LIVE』だ。今年は8月17、18日に、“豪華客船”をコンセプトとした『EBiDAN THE LIVE CRUISE 2024』というタイトルで、国立代々木競技場第一体育館にて開催。
明るくハッピーな「YELLOW ISLAND」、クールに魅せる「BLUE ISLAND」、情熱がほとばしる「RED ISLAND」というテーマを各公演に設け、異なる系統の選曲でオーディエンスを魅了した。
本稿では、17日の「YELLOW ISLAND」公演を振り返りながら、『EBiDAN THE LIVE』のおもしろさやEBiDANの魅力を紐解いていきたい。
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『EBiDAN THE LIVE CRUISE 2024』は、大きく分けて5つのセクションで構成されている。ひとつ目は、各グループがテーマに沿った自分たちの楽曲を披露するゾーンだ。オープニングでは、今年の『エビライ』のために作られた「What’s up, Voyagers!」を投下。全員のパフォーマンスで華々しく幕開けを飾るとともに、今のEBiDANの全貌を見せた。
船長服をモチーフとした衣装には、色や素材、アレンジなどに個性が表れ、パッと見ただけでそれぞれがどんなグループなのかを物語っていた。1曲目の時点で、いかにEBiDANがカラフルな集団なのかを見せつけたのだ。
MCでひと呼吸を置き、各グループが1曲ずつパフォーマンスしていった。トップバッターのLienelを皮切りに、フロントステージとセンターステージを交互に使いながら、間髪入れずにライブを展開していく。それぞれのライブを続けて観ると、EBiDANはイメージの作り込みだけでなく、楽曲にもしっかりとアイデンティティを持たせていることがより鮮明に伝わってくる。
レトロトイポップを掲げるICEx、ボーカロイドの文脈を彷彿とさせる原因は自分にある。、ギターをかき鳴らし歌うさくらしめじ。EBiDANという集団では華やかな一体感がありながら、各グループになると音からも豊かな個性が光っている。だからこそ、グループが次々にライブを繰り広げていくごとに、新しいワクワクに巻き込まれるような感覚になるのだろう。
シャッフルユニットで新たな魅力を発見
ふたつ目のセクションでオーディエンスを待ち構えていたのは、毎年恒例となっているシャッフルユニットだ。オリジナルメンバーとは違う面々で披露される楽曲は、普段とは違った魅力を発見できておもしろい。
そんななか、一段と観客の度肝を抜いたのは、佐野勇斗(M!LK)がボーカルを務めたEBiDAN SPECIAL BANDによるTHE BLUE HEARTS「TRAIN-TRAIN」のバンドカバーだろう。「お前らが生きている今日はどんなに意味があるだろう!」と魂の叫びをぶちまけ、トップスを脱ぎ捨てて上裸になり、客席に降りて全力ダッシュ。
これがあらかじめ決められていた演出ではなく、佐野のパッションにより引き起こされたステージングだというのだから、感嘆せずにはいられない。熱くてまっすぐな佐野の人柄をそのまま注ぎ込んだような、エネルギッシュなパフォーマンスとなった。
『DAN! DAN! EBiDAN!』企画ユニットに感じた個性
3つ目のセクションでは、EBiDAN初となる地上波冠番組『DAN! DAN! EBiDAN!』から生まれた企画ユニットが登場。「2024年 最強運男は誰だ!? IKE!IKE!福男ランキング」でブレイク運が上位だった4人と下位だった4人による「IKE!IKE!福男ランキングドリームユニット」、番組内での世代別チームから4人ずつ選抜した「世代別ドリームユニット」、各グループの歌好きが推し歌でカラオケ対決をした「観客の心をつかめ!推し歌カラオケ王!」の出演メンバーで構成された「歌おう!ドリームユニット」の3組がステージを彩る。
こういったグループの垣根を越えた新曲に出会えるのも、EBiDANのおもしろさなのだろう。昨年の『エビライ』では「春だソイヤ!だEBiDANだ」プロジェクトの一環として行われた「EBiDANドリームマッチ」を勝ち抜いたふた組とピタリ賞を獲ったひと組が出演。今年同様に、まったく系統の違う3曲がドロップされ、個々の新たな魅力に出会う機会となっていた。
音楽&ダンスで高いクリエイティビティを発揮
ラストスパートを控えた4つ目のパートは、いうならば才能が煌めく舞台だ。EBiDANはステージ演出や衣装や楽曲の制作などに携わるメンバーが多数存在するクリエイティブ能力が高い集団。また、歌やダンス、アクロバットなどで頭ひとつ抜けたスキルを持つメンバーもいる。『エビライ』では、そういった才能を一度にガッと浴びられるのだ。
そして、音楽に精通したメンバーで結成された「SUPER CREATIVE」が美しい歌声を響かせた「HERO」は、SUPER★DRAGONのジャン海渡とBUDDiiSのKEVINが制作。歌がうまいメンバーを集めておきながら、正統派のバラードではなく晴れ晴れしいポップナンバーを持ってくるのも粋である。
続くDJコーナーでは、原因は自分にある。の長野凌大とLienelの高岡ミロが、ふたりしてDJブースに入り会場を盛り上げていく。高岡がEBiDANの楽曲を次々につなぎ、長野はサンプリングパッドを用いてリズミカルにプレイ。選曲はもちろんだが、サンプリングする音にもセンスのよさがにじみ出ていた。
最高潮の盛り上がりでEBiDAN DANCE部につながれると、まず姿を現したのはICExの筒井俊旭だ。センターステージでスポットライトを一身に浴びながら、特技のタップダンスをする表情は自信にあふれ、普段とは違った一面を感じさせる。
大きな拍手が彼を包み込むと、スモークが焚かれる舞台にEBiDAN DANCE部の面々が姿を現した。荒廃的なサウンドのビートに乗せ、流れるようにフォーメーションを変え、多様な人数編成で魅せていく17人。
それぞれの強みが活きる見せ場が作られていたことも印象的だが、研究生であるEBiDAN NEXTから参加していた4人にも同様のアピールタイムが設けられていたことも特筆すべき点だろう。たとえ研修生であっても、煌めく才能があればフックアップしてもらえるし、国立代々木競技場第一体育館のステージに立つことだってできる。それが、EBiDANなのだ。
センターステージへと移動した17人は、さまざまなビートが飛び交うなかでダンスバトルを熱演。各々のダンスに込める想いを舞台へ刻んだのだった。
触れた者を虜にしてしまうEBiDAN
ラストとなる5つ目のセクションは、コラボレーションがキーワード。歌うさくらしめじのうしろでICExがフラッグを振ったり、ONE N’ ONLYとBUDDiiSがお互いにバックダンサーを務めたり、シャッフルユニットとは違う切り口でグループ同士の交わりを見せていく。最後は、超特急「My Buddy」で全員集合。そのまま「New day! New wave!(2024 ver)」を爽やかにパフォーマンスし、明るくハッピーな旅を結んだ。
まばゆいばかりのアイデンティティとバラエティに富んだ楽曲で、触れた者を虜にしてしまうEBiDAN。各グループに鮮やかな色を持たせることはもちろん、個人の才能や興味にも目を向けて大切に育てていく集団だからこそ、絶え間なく成長を続けているのだと感じた約2時間半のステージだった。
『EBiDAN THE LIVE CRUISE 2024』は終わってしまったが、彼らがさらに大きな海原で活躍する未来は、もう間近に迫っている。EBiDANというトキメク船に乗って、彼らと旅路をともにしてみてはいかがだろう。
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