7ORDER真田佑馬、心をバグらせた1年「軌跡を守るためならひとりでも歌い続ける」

2024.8.4
真田佑馬

文=真貝 聡 撮影=浅田政志 編集=梅山織愛


『Quick Japan』vol.173(8月6日発売)の表紙と90ページにわたる総力特集「証明する冒険へ」に登場したアーティスト・7ORDER

歩みを止めざるを得ない出来事を超えて、彼らはなぜ再び立ち上がれたのか?

特集では、数々の選択肢の先で“自分たちらしいかたち”を模索し、新しいスタートを切った6人に密着し、その真意を紐解いた。ここでは『Quick Japan』vol.173掲載の真田佑馬のソロインタビューの一部をお届けする。

7ORDER特集『Quick Japan』vol.173 表紙
7ORDER特集『Quick Japan』vol.173 表紙
7ORDERソロ表紙ポストカード付き『Quick Japan』vol.173 7ORDER特製しおり付き『Quick Japan』vol.173

これまでを否定したくなかった

真田佑馬(以下、真田) なんていうんですかね? どちらかというと、悲観的になってしまうエピソードがたくさんあって、その間はずっと心をバグらせていたというか。

真田 少しでも止まったら、立ち直れなくなってしまうのがわかっていたんです。だから「この先も7ORDERの道が続けばいいな」という想いであきらめずに活動してきましたね。

真田 いい言い方をするなら、人らしい1年だった。厳しい言い方をするなら、身勝手な1年だったと思います。俺ら、まだ結成して5年なんですよ、5年でこれだけいろいろあるグループってあまりいないというか。「それぞれの人生だから」って、俺はすごく優しい言葉だと思うんです。人には“責務”というのがあるわけで。本来は人の心を救う職業だから、剣じゃないほうを俺はうまく使いたいし、7ORDERという家が長く続くことがみんなの幸せにつながるって本気で信じたい。そこに対してあきらめたくない気持ちがずっとあります。とある出会いもあって……。

真田 (森田)美勇人が脱退を発表した次の日、たまたま街中でファンの人と遭遇したんです。そしたら泣いちゃって、その人が。俺もグループがどうなるかわからないから、言葉が出てこなくて。ただただ「こういうことをしたかったんじゃない」ってファンの泣いている顔を見て思いました。俺らはみんなを喜ばせたくて活動を始めたのに、「なんで悲しませてんだ」って。あのとき、苛立ちとかそういう負の感情が芽生えましたね。

真田 ぐちゃぐちゃになって、本当にやばかったんですよ。今はこうして走り出せたからよかったけど、この1年はみんなも気持ちや士気が落ちている状態で、何かやることが決まっていないと前へ進めなかった。俺は「何言ってんの? やろうよ!」とみんなに声をかけて説得もいっぱいしたし、ただやるしかなかった。

真田 「きれい事だ」って言われるかもしれないですけど、完全にファンのためです。もうひとつ言葉を足すとしたら、過去を否定したくないんですよ。この5年で俺は作詞作曲を始めて、いろんな曲を世の中に出してきた。それでヘイトをくらったこともあるし、犠牲にした時間やモノもあった。だからこそ、7ORDERという家がなくなってしまうと、その軌跡がなくなってしまう気がして。それが一番阻止したかったことかもしれないです。だから俺は7ORDERを守るためなら、仲間を攻撃することもできる。普通は逆じゃないですか?

真田 今はいろんなグループの脱退・解散というニュースがあって、そのたびに思うことがあるんですね。辞めた人の感情もわかるし、離れてしまうファンの心理もわかるけど、なにより「曲がなくならないでくれ!」って。それはその人たちの大切な軌跡だから、歌えなくなって、いわくつきにするのは「それこそ責務の放棄じゃない?」って思う。「グループに残る側の人たちって、依存してるだけじゃないの?」と言われたこともある。でもそうじゃなくて、絶対に守りたいものがそれぞれにあったからこその選択であって。俺が守りたいのは7ORDERの名前と、これまでの生きた証だったんですよね。それを否定したくなかったから、美勇人が抜けたときにも「俺はひとりでも歌い続ける」と言って。それだけの覚悟だったんです。だって、そうじゃないと自分のことも否定しちゃうから。

真田 今は、良くも悪くもサナギ期だと思いますよ。個性ってはみ出すのは簡単で、枠に入るのがすごく難しい。それを大手事務所だとマネジメントさんがいて、ブランディングする人がいる。でも、セルフブランディングをする場合は「自分たちがこれをやりたいから」って闇雲にやりがちだけど、時にはあきらめることも必要なんです。でも、達観してやれる人ってなかなかいない。そこがインディペンデントの弱さだと捉えているし、細部までちゃんとやらないと、やっぱりサナギは羽化しない。何を求められているか、何を世の中に発信していくべきかを、世間の需要と当人たちの感情論と、すべてを客観視する必要性がある。それができて初めて自分らのもの作りや、エンタテインメントがムーブメント化すると思うんですね。もちろん若くてフィギュアみたいに顔がカッコよければ、出だしで売れるのは簡単ですよ。でも、30代までこの世界で生きていくのって大変で。紆余曲折と試行錯誤をしながら、もの作りをあきらめないことが大切な気がします。

真田 それこそ5月にリリースした新曲「But(裏)」と「But(表)」では、初めてクリエイティブディレクターさんとプロデューサーさんを迎えたんですよ。というのも俺は7ORDER以外に実績がないから、今回はクリエイティブを外に持っていって、ちょっとずつ世間に揉まれに行こうと。けっして7ORDERで曲を書くのが嫌になったわけじゃなくて、むしろ自分も外部の人といい曲を作って説得力をどんどん高めていくことが、還元することかなと思い始めたんです。

真田 すごくいいタームだと思います。サビを英語詞にしたのも理由があって。日本語よりも英語のほうが、自分たちの物語を聴いた人の中で読解できる幅がある。俺はこの曲を初めて聴いて「道は続いていくんだな」と思ったので、そう解釈してもらえたらうれしいです。

『Quick Japan』vol.173表紙・巻頭特集撮影メイキング
7ORDERソロ表紙ポストカード付き『Quick Japan』vol.173 7ORDER特製しおり付き『Quick Japan』vol.173

【総力特集】
7ORDER 証明する冒険へ

▼Special Photo:CHAPTER 1
A new adventure begins.

▼ソロインタビュー
安井謙太郎:自分たちで始めた責任。信じてくれた人の希望であるために
真田佑馬:7ORDERの軌跡を守るためなら、ひとりになっても歌い続ける
諸星翔希:逆境がなかったことがない、でも、それも楽しむ僕らは強い
萩谷慧悟:自分と向き合うなかでの成長。これからもみんなで物語を作る
阿部顕嵐:今後の人生と向き合った上での決断。時代劇の魅力を世界に発信できる俳優に
長妻怜央:まわりの人がここまで導いてくれた、これからは自分の手で「これといえば長妻」を探す

▼密着取材
1「But(裏)」「But(表)」レコーディング:チームで作る決意表明の一曲
2 MV撮影:この日の記憶を糧に
3『7ORDER NEW SINGLE RELEASE TOUR 2024』リハーサル:トライアンドエラーを経て魅せる
4『7ORDER NEW SINGLE RELEASE TOUR 2024』7月4日@立川ステージガーデン:第2章の始まり

▼VOICE OF 7ORDER CREW
1 音楽:藤本夏樹(Tempalay)自由に、楽器と遊びながら
2 演出:UNO(演出家)カッコよすぎない生き様に巻き込まれて
3 映像:カジ(映像ディレクター)「なんでも撮影OK」の潔さ
4 ライブ:カワセ136(スタイリスト)独立心とパンク精神をまとうスタイル

▼Echoes of Career ~人気者の仕事遍歴~ 安井謙太郎の成長職歴

▼特別企画 7ORDERを支える1日限定スタッフを大募集!

▼Special Photo:CHAPTER 2
I’ve always had crew!

【特別企画】7ORDERを支える1日限定スタッフを大募集!

7ORDERの所属母体である「株式会社L&L’s」と『Quick Japan』&「求人ボックスジャーナル」の特別企画として、7ORDERの1日限定スタッフを募集! 求人ボックスにて応募の受け付け中。

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真貝 聡

(しんかい・さとし)ライター、インタビュアー。記事を執筆するほか、MOROHA『其ノ灯、暮ラシ』(2017年)/BiSH『SHAPE OF LOVE』(2018年)/Mrs. GREEN APPLE『~Review of エデンの園~』(2020年)/PEDRO『SKYFISH GIRL -THE ..

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