写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優・声優による連載「QJWebカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
二輪の百合と一輪の向日葵

第63回。
夏の初め。
焼けたコンクリートが歪む陽射しの中を帽子も被らず無防備に歩いていた。
もはや汗もかけないほどの暑さ。
街を行き交う人は少なく、みんなカフェでくたびれながら蜃気楼のように混ぜたカフェラテを飲んでいる。
私はすでに身体が熱中していたのか、鈍い速度でこれはいけないと判断し逃げるように花屋に入った。
あまりの暑さで店のお姉さんに話を切り出すのには苦労しなかった。
室温は花の状態を考慮した行き過ぎない冷たさでちょうどいい。
干からびるところを助けてもらったお礼に花を買って帰ろうと大きな百合を一輪。
夏の緑くささを吹き飛ばすような香りでうれしかった。
こっちの百合も足が早いからぜひ持ってってください。と、お姉さんがもう一輪プレゼントしてくれた。
助けてもらった上にサービスまでしてくれた優しさに冷まそうと思った身体が温まった。
お姉さんにお礼を告げ、店をあとにした私は夏の暑さにも負けない温かさを手に入れ、元気いっぱいに帰宅した。
ちなみに真ん中の向日葵は前の日に父がくれたもの。
夏、猛温。

中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ、長野凌大(原因は自分にある。)、東啓介、森田美勇人、南條愛乃が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。
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