上沼恵美子をリスペクトする北川景子の信条「1回ぐらいはウケて帰りたい」(まつもtoなかい)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『まつもtoなかい』(5月7日放送)

今回のゲストは上沼恵美子と北川景子。まず上沼が登場し、さっそくマシンガントークが止まらない。「私はダウンタウンさんのホントにファン」と、まだほとんど無名だったダウンタウンに会えるからという理由で、専業主婦時代にサンテレビの番組の司会を引き受けたことを明かしたりして、松本から「『北川景子さん出してくれ』って言われてから12分」とツッコまれる。

今回、上沼を指名したのは北川。彼女が登場する前は「私を言うとちょうど感じいいんだと思います」と、自分が本当に北川から好かれていることを信じていなかった上沼。だが、神戸出身の彼女が「関西人全員のスターです」「テレビつけて、いてない日ない」「家族との時間の思い出に上沼さんの番組を観て笑ったっていうのが組み込まれている」などと終始関西弁で言うと、喜びが隠せない。実際に上沼のトークで思いっきり爆笑をしている姿を見ると、本当に好きなんだなと感じさせた。

ちなみに『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』の後番組が夫・DAIGOによる『DAIGOも台所』。DAIGOはおこがましいと断ろうとしていたが、北川が「こんな機会はない。上沼さんが27年間やりつづけてきたからまた料理番組で、となっているんだから“絶対やったほうがいい”」とあと押しをしたそう。

本当に上沼へのリスペクトが感じられるが、なによりそれを感じたのは、バラエティ番組に出るときの心構えを語った「1回ぐらいはウケて帰りたい」というひと言。「女優やしな」と我に返ることもあるというが、「ギリギリを攻めながらこの20年ぐらいキワキワでやってきました」と笑って語る北川に、関西人魂、上沼イズムが垣間見えた。

上沼が「生きててよかった」と歓喜するようにふたりがとにかくうれしそうなのが、この番組の醍醐味でもあってよかった。

『アナザースカイ』(5月5日放送)

ヒコロヒーがアメリカの国道「ルート66」に。その場所のチョイスもヒコロヒーらしい。かつて先輩コンビ・太陽の小町がグランドキャニオンで“単独ライブ”(すごい企画!)をしたときに、カメラマンとして同行したという。「退屈だけど退屈しない」と表現する広大な大地と一本道がヒコロヒーに似合い過ぎる。『オン・ザ・ロード』のようなビートニク的な世界。

道中、以前の貧乏旅で5ドルしか残っておらず、「5ドルで食えるもんください」と駆け込んだマクドナルドで「僕からのギフトだよ」とたくさんのハンバーガーとアップルパイを持ってきてくれた店に。が、そこは工事中。「バク潰れやんけ!」とヒコロヒーは天を仰ぐ(実際は改装中)。そこで「ここが私のアナザースカイ」とやるのも可笑しかった。

「芸人って売れてないっていうだけでツラいと思われがちなんですけど、私は売れてなかっても楽しかったし、お金がないのはしんどかったけど、好きなことをやってるのが楽しかったから。わかりやすい評価を得られないっていうのを、やりたいことを辞める理由にするっていうことのほうが情けない気がして」と語るヒコロヒー。

グランドキャニオンの圧倒的風景を見て、「どうせ死ぬって思いますよね。いい意味で、めっちゃいい意味で」と話す彼女は色気があふれていてカッコよかった。

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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2023年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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