ザ・マミィ林田「喫茶店のバタートースト」【QJWebカメラ部】


写真を撮ることにこだわりを持つアーティストやお笑い芸人による連載「QJWebカメラ部」。

金曜日はザ・マミィ林田洋平が担当する。『キングオブコント2021』では、準優勝に輝いたザ・マミィの頭脳、林田。そんな彼は、自身のインスタグラムで発信するエモーショナルな写真も話題となっている。林田が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。

だから、おいしい

撮影=林田洋平(ザ・マミィ)

健康だなんだと騒いだ翌週に言うことではないのだが、喫茶店でバタートーストを食べるのが大好きだ。
ジャムも蜂蜜もいらない。バターがあればなんでもいい。
気分がいいときは、シュガートーストも可だ。

なんでこんなにも喫茶店で食べるバタートーストはうまいのかと、家でバタートーストを食べながら考えているうちに、目の前にはパン粉が散らばり、バターナイフで机は汚れ、バターを包む銀紙がぐしゃぐしゃになって、それをしまおうとしたときに手が汚れた。
ああ、だからか。こういうのがないから、喫茶店のバタートーストはうまいんだと気がついた。

これは外食の真髄なのではないだろうか。
なんの変哲もないシンプルなバタートーストがゆえに辿り着くことができた。
喫茶店のパンがやけにおいしいわけでもなく、バターがものすごいわけでも、焼き方が特別とかでもない。
ただ待ってたら出てきて、食べ終わったら勝手に片づけてくれるから素晴らしいんだ。

焼きたてのパンにバターを塗りたくるとき、特に冬なんかは意外に溶けが甘いなということがあって、強引にガシガシやったらパン粉があたりに飛び散って、「あー!」と思うことも絶対にない。
バターナイフを洗ってもなかなかヌメヌメが取れず、「なんか、めっちゃ油じゃん」と嫌な気持ちになることもない。
トースターを片づけるときに、「え、ここそんなに熱くなる?」って箇所触っちゃって「ぎゃー!」となることも絶対にない。

だから、喫茶店のバタートーストはおいしいんだ。
だから、外食って楽しいんだ。

外食をまだ知らない友達がいたとしたら、すごい勢いで自慢したいが、そんな人はいなくて寂しい。

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【連載】QJWebカメラ部
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加賀翔(かが屋)、中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ(BiSH)、長野凌大(原因は自分にある。)、林田洋平(ザ・マミィ)、森田美勇人が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。

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林田洋平(ザ・マミィ)

(はやしだ・ようへい)1992年生まれ。プロダクション人力舎所属のお笑い芸人。酒井貴士とのコンビ「ザ・マミィ」のメンバー。『キングオブコント2021』ファイナリスト。

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