写真を撮ることにこだわりを持つアーティストやお笑い芸人による連載「QJWebカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
不意に出会った映えスポット
第37回。
不意に出会う映えゾーン。
というのも昨今の流行となっている“映え写真”というものは、意図した派手なデザインや空間を演出した場所で撮られることが多く天邪大鬼(強めのあまのじゃく)である僕はそんな映えスポットと呼ばれる場所には出向きません。
自分のまわりに広がるあらゆる景色にフォーカスし、時には蟻の巣をのぞくかのような観察血眼(強めのかんさつがん)でさまざまな小宇宙を見つけては喜んでいる奇妙な人間です。
そんな僕が不意に出会った独自の映えスポットが北海道にありました。それがこちら。
とてもいい。
これはサウナ屋さんのロッカーで、色はけっして派手ではない昭和を感じさせるレトロな緑。そんな歴史ある深みの色合いをたくさんの数で連ね、それによって生まれた存在感。
けっして狙ったような意図は感じず、あくまで自然な流れででき上がった異質な空間に興奮してシャッターを切りました。
これぞ“映え”。いや、映えというよりもはや“華”を感じる。
そこにあるモノを映えさせることに夢中な世の中ですが、華というものはそのモノ自体から滲み出てくるものなんだなぁとサウナ屋のロッカーにて思いふけりました。
今の自分の映えよりも、最後に人生を振り返ったときの道程が、オンリーワンに映えている人間でありたいと思いました。
加賀翔(かが屋)、中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ(BiSH)、長野凌大(原因は自分にある。)、林田洋平(ザ・マミィ)、森田美勇人が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。
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