2022年12月3日に公開され、公開9日で早くも興行収入30億円を突破したことでも話題の映画『THE FIRST SLAM DUNK』。その原作『スラムダンク』を愛するアーティスト、アイドル、俳優、芸人らが『スラムダンク』やバスケットボールにまつわる思い出を紹介する連載「わたしと『スラムダンク』」。
第4回目は、連載当初から『スラムダンク』を読み、毎週、欠かさず『週刊少年ジャンプ』を買っていたと語るフリーアナウンサー・青木源太が登場。
野球少年も『スラムダンク』きっかけにバスケ部へ
『スラムダンク』は、連載がスタートした当初から読んでいる大好きな作品です。もともと、アニメ版の『ドラゴンボール』が好きで、アニメを観ているうちに「どうやらマンガの単行本というものがあるらしい」ということを知りました。それで、単行本を買い出すと、今度は、「これは『週刊少年ジャンプ』に掲載された話が集められているらしい」ということを聞き……。ジャンプを買えば、好きなマンガを一番早く読めるということに気がついて以降、小学校に入ったくらいから毎週、欠かさずにジャンプを買っていました。
毎週、買いつづけている中で始まったのが『スラムダンク』。当時、スポーツマンガといえば野球やサッカーを扱った作品がほとんどで、プレイヤー人口の少なかったバスケのマンガはヒットしないといわれていました。でも、『スラムダンク』はそれを覆し、大人気漫画になっていったのです。
もともとは野球少年だった僕も、『スラムダンク』が好き過ぎて、中学からはバスケ部に入りました。考えることはみんな同じだったようで、僕の学年は男子が100人いたのですが、そのうちの30人がバスケ部に入るという、本当に凄まじい影響力でした(笑)。マイケル・ジョーダンの人気も相まって、当時は全国的に、そういう現象が起こっていたようです。
三井のような武器が欲しくて練習した日々
僕のいたバスケ部には、作中のシーンをマネする恒例のノリがありました。海南大附属高校戦の後半で、赤木剛憲が「逆転のチャンスはここしかない 三井!!」と言いながら三井寿にパスを出すシーンがあって。ボールを受け取った三井は完璧なスリーポイントシュートを放つのですが、なぜか外れてしまう。試合が終わってから、三井が海南の清田信長に「さわってたのか…」と聞くと、清田が爪から血を流しながら、「ツメだけな」と答える。このシーンはスリーポイントの練習のときにいつも再現していましたね。なんの意味もないのですが(笑)。
また、作中のキャラクターたちは、桜木花道だったらリバウンド、三井だったらスリーポイント、宮城リョータだったらスピードといったように、それぞれが強みを持っていて、それに憧れて「自分も何か武器が欲しい」と考えていた時期もありました。当時の僕は身長が低かったこともあって、とにかくシュートを決めようと、スリーポイントの練習に励みました。みんなが帰ったあとも残って練習したり、自分の中ではかなりやっていたつもりだったのですが、海南の神宗一郎の毎日500本のシュートという練習量などと比べると「全然ダメじゃないか」と思っていましたね。
赤木の回想に出てくる「チエコスポーツ」の店長
僕が一番好きなシーンは、インターハイ予選の決勝リーグ初戦、海南との戦いで、足を痛めていた赤木がリバウンドを取るところです。1年生のときは無名の選手だった赤木が、まわりにバカにされながらも努力を重ね、強敵・海南の牧紳一と対等に渡り合っている。そんな赤木から出る「負けてない!! 牧にだってオレは負けてないぞ!! オレは間違ってはいなかった」という言葉。やっぱり、生きていると、壁にぶつかることもあるじゃないですか。そんなときでも信念を貫き通すことが大切だと教えてくれている気がして、大人になった今でも、思い出すと思わず胸が熱くなります。
このシーンを好きな理由がもうひとつあって、赤木の回想の中に、花道が初めてバッシュ(バスケットシューズ)を買った「チエコスポーツ」の店長が出てくることです。海南の試合を見ていた当時1年生の赤木が、近くにいた店長に向かって、「オレの顔をよく覚えとけよ 1年か2年後…必ずあいつらを倒しに上がってくる!!」と宣言するのです。花道がバッシュを100円とかで買うシーンは、それだけでも、じゅうぶんおもしろいんです。でも、ここで登場した脇役のような店長が、実は過去に赤木とも接点を持っていて……。試合を描くうまさだけでなく、そういう何気ない過去のシーンがつながっていくストーリーの巧妙さも、『スラムダンク』の大きな魅力だと思います。
映画で月曜日が待ち遠しかったころのワクワクを感じたい
今でも不思議なのは、普段は少年漫画をまったく読まない僕の母親が、『スラムダンク』だけは、めちゃくちゃハマっていたことです。スポーツもそんなに好きじゃないのに、「おもしろい」と言いながら全巻読破しているのがすごく衝撃的でした。でも、それが、この作品の持つ魅力なのではないかと思っています。もちろん少年漫画なので、メインのターゲットは若い男の子だと思いますが、バスケのシーンはもちろんのこと、登場人物の人間関係や細かいセリフも丁寧に描かれているので、どんな人が読んでもおもしろいんですよね。
『スラムダンク』の連載が終わってしまったこともあって、高校ではバスケ部に入らず、まったく方向性の違う家庭科部に入りました(笑)。それ以降、プレイヤーとしてバスケに関わることはありませんが、今でも若手のバスケ選手は好きで、高校のインターハイやウインターカップ(全国高等学校バスケットボール選手権大会)はチェックしています。これは完全に『スラムダンク』の影響ですね。今、注目しているのは、ネブラスカ大学でプレーしている富永啓生(けいせい)選手。スリーポイントがめちゃくちゃうまくて、すごい成功率を出しています。
映画『THE FIRST SLAM DUNK』は、これから観る予定です。僕は本作の新情報解禁特番の司会を担当したのですが、それを見てくれた日テレ時代のアナウンサーの先輩から連絡が来て、予定を合わせて観に行くことになりました。観るまでは一切の情報を入れたくなくて、SNSでは「スラムダンク」という言葉をミュートしています(笑)。
特番の収録現場では、制作チームや声優さんともお話する機会があり、原作やテレビアニメのファンはもちろん、初めて作品に触れる人でも楽しめる映画になっていると聞きました。いちファンとして、この映画がきっかけで、中学時代のように「スラムダンク熱」が全国に広がればうれしいですね。
マンガが連載されていた当時は、本当に夢中になって読んでいました。大人になったり父親になったりと、自分のバックボーンがどんどん変わっているので、あのころとまったく同じ気持ちではないかもしれませんが、『ジャンプ』が発売される月曜日が待ち遠しかった当時のワクワクを映画にも期待しています!
青木源太(あおき・げんた)
1983年5月7日生まれ。2006年に日本テレビ放送網に入社し、『バゲット』や『火曜サプライズ』をはじめとしたさまざまな番組MCに抜擢された。その他、箱根駅伝中継、プロ野球中継などのスポーツ実況も多数経験。2020年9月末に日本テレビ放送網を退社、現在はフリーアナウンサーとしてイベントMCを中心に活躍中。趣味は米国株投資、筋トレ、男性美容、エンタメ鑑賞。
『THE FIRST SLAM DUNK』
公開日:2022年12月3日(土)
原作/脚本/監督:井上雄彦
声:仲村宗悟、笠間淳、神尾晋一郎、木村昴、三宅健太
オープニング主題歌:The Birthday(UNIVERSAL SIGMA)
エンディング主題歌:10-FEET(EMI Records)
音楽:武部聡志、TAKUMA(10-FEET)
アニメーション制作:東映アニメーション/ダンデライオンアニメーションスタジオ
(c)I.T.PLANNING,INC.
(c)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners
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