お笑いコンビに、相方の魅力を語ってもらう連載「魅惑の相方」。
第6弾はトム・ブラウン。『M-1グランプリ2018』で強烈なインパクトを残した唯一無二のネタを武器に、売れてもなお、変わらぬ頻度で劇場に立ち、ライブシーンを盛り上げる彼ら。
恰幅のよいビジュアルと猟奇的なキャラが根強いみちお。そんなみちおに反して、スラッとした布川は一見常識人のようにも見えるが、実は中身は違うようで……。
先手のみちおに話を聞いていくと、布川の内にある“ヤバい部分”が明らかとなった。
部長・布川は高校のスターだった
──おふたりは、高校の部活動の先輩後輩なんですよね。
みちお そうですね。入学してすぐ、教室に布川が来て「君、中学時代に相撲で全国大会行ってるんでしょ? よかったら柔道部来てよ」って部活に誘ってくれたのが最初の出会いです。
布川は一個上の先輩なんですけど、本当に高校のスターでしたね。新入生に向けた部活紹介の発表後、普通に帰るところを、布川が前回り受け身で体育館の端から端まで前転してたんですよ。それを見て新入生も盛り上がってて、僕も「うわっ、おもしろい人だ」って。火の玉小僧じゃないですけど、人前で何かをしでかす人ってイメージでした。
──上下関係は厳しい部活でしたか?
みちお まったく厳しくなかったですね。部活に入って半年くらいのとき、布川が“ズボンのチャックを下ろして、見えるのが指サックかチ○コかを当てるゲーム”を考案してて。めちゃくちゃおもしろかったんですけど、そのときに「この人に敬語を使うのは嫌だな」と思っちゃって(笑)。それで、トレーニングしてる最中に「敬語やめてもいいですか?」って聞きました。1、2秒「おぉ……?」ってなってたけど、「まあいいよ」って言ってくれて。
──だいぶ早い時期からフランクに。布川さんは、ほかの後輩とも仲がいいほうでしたか?
みちお 仲よかったです。でも、バカみたいなノリはいつも僕と布川で一緒にやる感じで。道場から教室まで誰にも見つからずに裸で行けたら勝ちっていう、“全裸メタルギアソリッド”ってノリを一緒にやったりしてました。
──(笑)。
みちお その流れで今もフラットなんですけど、ネタ合わせのときに僕がちょっと言い過ぎたりすると、なんとなく「先輩だぞ?」って顔をするときはあります(笑)。敬語が取れたのは早かったけど、なんだかんだでいまだにちょっと先輩後輩の雰囲気はあります。布川は部長もやっていて、めちゃくちゃふざけるけど締めるとこは締めるような、頼られる存在でしたから。
──リーダー気質なんですね。
みちお 僕はそう思ってますけどね。根がマジメなんで、仕事を与えられたら真剣にやるタイプなんですよ。それに、礼儀的なこともわかる人なので、事務所(ケイダッシュステージ)に入ったときに、先輩との接し方を布川に相談してました。僕は、人間として社会に交わるときにダメっていう自覚があるので(笑)。
──人間として……。
みちお 芸人としてではなくってことです(笑)。僕、親に甘やかされ過ぎたんです。何をしてもかわいいって言われて育ったんで、なんでも許されると思って生きてきたんですよ。