18歳・奥森皐月もハマる『飯尾和樹のずん喫茶』。完璧で魔法みたいな、濃度100%の飯尾さん

2022.6.29

文=奥森皐月 編集=田島太陽


お笑いとラジオを偏愛する、18歳のタレント・女優の奥森皐月。自身のインスタグラムでもよく写真を公開しているように、最近は喫茶店にハマっている。そんな彼女が最近見つけた、ずん飯尾による番組『飯尾和樹のずん喫茶』(BSテレ東)の魅力を綴る。

幸せな喫茶店ライフと“ある番組”

喫茶店での奥森皐月
喫茶店での奥森皐月

若い世代で「昭和レトロ」が流行する今、喫茶店ブームも到来。クリームソーダやホットケーキやナポリタンなど、素朴さが写真映えするとSNSでは投稿が多数見受けられる。

Z世代ど真ん中の私もいわゆる純喫茶が大好きで、休日には都内各所の喫茶店を巡っている。私は日夜お笑いを見ているお笑いジャンキーではない。最低でも週に1回は喫茶店に行く。かわいらしい嗜好も持っているのだ。

昔ながらの味を楽しむのはもちろん、古い店の外装や店内の家具や照明、年季の入った壁など視覚的な部分の楽しみが多いのも魅力。それらを写真に撮るのも含めて喫茶店巡りのよさである。人気の店から、地元の人から愛されている隠れた名店まで、開拓していく感覚がたまらない。

奥森皐月が訪れた喫茶店コレクション
奥森皐月が訪れた喫茶店コレクション

若者らしくSNSで情報を集めたり、お店に置いてある喫茶店の紹介本から見つけたり、店主との会話でおすすめの店を聞いたり。特別お金もかからなければ、ペースも自分で好きに決められるよい趣味だと思っている。

幸せな喫茶店ライフを送っている最中、私はとある番組を見つけた。BSテレ東にて毎週金曜深夜0時から放送されている『飯尾和樹のずん喫茶』である。

5秒でわかる、最高の番組

お笑いコンビずんの飯尾和樹さんが、毎週日本全国の気になる喫茶店への入店から退店まですべてを、喫茶店が大好きな“ずん飯尾目線”で楽しむ喫茶店めぐり旅バラエティ。今年4月にレギュラー化したらしく、5月に入ってから番組の存在をツイッターで知った。喫茶店に行ってもなお、芸人ラジオを聴いたりネタ動画を観てしまうほどお笑いと喫茶店を愛している私にうってつけだと思った。それはもうお笑いジャンキー以外の何者でもないだろ、という声がどこからともなく聞こえた。

『飯尾和樹のずん喫茶』番組サイトより
『飯尾和樹のずん喫茶』番組サイトより(C)BSテレ東

本編を再生すれば開始10秒、いや5秒でわかる。最高の番組だと。一度でもバラエティで飯尾さんのロケVTRを観たことがある人ならイメージがつくだろうが、映像が始まったひと言目からとにかくおもしろい。自宅でひとりで視聴していたのにきちんと声を出して笑った。ここから30分まるまる飯尾さんが観られることのうれしさに動画を一時停止して、もう一度ツカミの部分を再生する。全編観終えて、もう一度最初に戻って冒頭を観てしまうこともある。

飯尾さんは日頃からさまざまな番組で活躍されていて、日常的に見ている。もちろん好きな芸人さんのひとりであったが、改めて向き合うとそれどころではなかった。飯尾さんのおもしろさは半端ではない。思い返すと、『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ)での閉店シャッターで笑わなかったことはないと気づいた。

代表的な「裸眼解除」も「忍法メガネ残し」も「平日の昼間からゴロゴロ〜」から始まる現実逃避シリーズも、何度みてもおもしろい。幼いころからたくさん飯尾さんに楽しませてもらっていることに気づいた。

ずっと好きだったと気づいた、ずん飯尾さんの魔法

また、飯尾さんのすごさを痛感したのは4年前の『ロンドンハーツ』(テレビ朝日)でのドッキリ企画でのこと。ニセのPR動画で締めに一発ギャグをするというものを何パターンできるかという検証だった。明らかにおかしな回数と時間で撮影をしているのにもかかわらず、態度が悪くなることもなく最終的に60パターン以上を披露したのだ。

一発ギャグがそこまでできるのも、無理な要求に嫌な顔せず対応するのも、やらせであってほしいとすら思うくらい素晴らしくて衝撃を受けた。この記事を書くにあたり調べたところ4年前だと判明して、また驚いた。あまりにも印象的で最近のことのように鮮明に覚えていたので不思議な感覚だ。

そして飯尾さんはなんといってもロケがおもしろい。『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)での取材先の人や街中の人との会話が余すところなく楽しくて、いつまでも観ていたいと思わされる。特に、有吉さんの思い出の菓子パン「スペースアポロ」を捜索する広島ロケはあまりにもおもしろくて、録画を数回観返した。深く考えていなかっただけで、飯尾さんのことが大好きだった。

私のようなペーペータレントが言うことではないのだが、リポーター技術はお笑い界でもピカイチだと思う。出演協力してくださる人の中にはカメラの前で話すことが苦手という人も多くいるため、取材というものはそう簡単にはいかない。インタビューした人がいざ撮影になると話してくれない、ということを実際に体験したことがある。

しかし、飯尾さんの一般の方との絡みはどうだろうか。楽しい空気にまとわれていて、ぎこちなさがまるでない。優しさと包容力がその場にいるすべての人をリラックスさせているように見える。マイナスイオンが身体から出ているのかもしれない。

真相はわからないが、見る者を落ち着かせる魔法のような魅力を感じる。ちいかわを見ているときと飯尾さんのロケを観ているときの私は同じような表情をしているだろう。同じだけ癒やされる感覚があるのだから。飯尾さんのロケのVTRをノーカットで全部観たいな。王様とかになれば観られるのかな。

おもしろさと優しさのバランスが完璧。飯尾さんの異次元のロケ力

さて、『ずん喫茶』の最大のよさは、出演者が飯尾さんひとりだということ。スタッフさんとの会話などもなく、終始飯尾ワールドが形成されている。ほかの番組と違って、ワイプからのツッコミもない。濃度100%の飯尾さんである。

いつものバラエティでのおもしろさはもちろんのこと、喫茶店に対する愛やお店の人とのコミュニケーションの丁寧さも感じられる。ボケ倒すバラエティというよりは、穏やかなグルメ番組に飯尾さんのエッセンスをふんだんに混ぜているという空気だろうか。情報とおもしろさと優しさのバランスが完璧で、いつまでも観ていたくなる心地よさがある。まるで喫茶店のようだ。全然うまくないたとえだ。たとえなければよかった。

毎回、ひとつの放送で同じエリア内の2軒の喫茶店が紹介される。基本的には古くから営業している昔ながらの喫茶店が多く、1軒ごとにじっくりとお店のよさを感じられる編集になっているので観ていて楽しい。入店するところからメニューを見ているところも放送されており、喫茶店に実際に行ったときと同じ感覚を味わえる。

何気ないこの一幕でさえも微笑ましく、おもしろい上に喫茶店愛も感じる飯尾さんの一挙一動に胸を打たれた。店員さんと気さくに話していて、たまにイジっていても失礼に映らない異次元のロケ力。ロケ“りょく”なのかロケ“ぢから”なのか見当もつかないが、とにかく特別な空間が繰り広げられている。

『ずん喫茶』に来てもらうことを目標にしようか

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