銀シャリ・鰻和弘は燃えている人間。“真面目”と“ヤンキー”ふたつの顔と、漫才論を橋本が爆語り【魅惑の相方 vol.3 ANSWER】



橋本は、漫才中に音が聴こえる

──話のリズムやトーンも、鰻さんがすごく褒められていて。橋本さんが同じことを2回言っても気にならないと。

橋本 ウケたらそれは正解なのかなと思いますけど、自分ではあんまりわからないですね。同じ業界の方に言っていただけるのはありがたいです。

──声のボリューム感がわかる人っていいですよね。

橋本 そうですね。芸人以外の人でもそうですもんね。僕が持ってるかはアレですけど、売れてる人って全員持ってると思います、音の感覚。

『太鼓の達人』とかと一緒やと思います。このゾーンで落とさないかんけど、長いからもうウケへんなとか、音が聴こえます。本来降りるべき駅やったのに、もう過ぎたなとか。音はめっちゃ大事やと思います。音っていうか、落とす音? 声の出し方じゃないですけど、「ここなんや、笑うところ」みたいな。プロの方のラジオを聴いてると、気持ちいい人たくさんいますね。

──ちなみに鰻さんはどうですか?

橋本 鰻さんが終わらせられないところを、こっちでツッコんで終わらすって感じです。ラジオで言うと、ジングルを押してもらうタイミングを鰻さんが落とすんじゃなくて、僕が落とす感じです。これ以上はないと思う、ウケる範囲内に落とし込むというか。

──音量を落とす、ということではないんですね。

橋本 音感のほうですかねえ。漫才でも、「あっ、ズレた」ってすごくわかるんですよね。それは言い方とかだけじゃなくて、間と音もめちゃくちゃ関与するんです。たとえば、勢いをつけるべきツッコミが、喉が悪くてちょっと平坦になったりするとウケないんですよ。それは人よりわかってるのかな?

橋本がセンサービンビンな理由「ツッコミが上手くなったのは、鰻さんのおかげ」

──鰻さんからすると、それは頼もしいですよね。

橋本 自由にやってもらえていいのかもしれないですね。どっちもバンバンしゃべるタイプやったらぶつかると思うんで。ああいう“ほんわか”は鰻さんにしか出せないから、僕もツッコミが成長できたんやと思います。ほかの人よりなんでもないところをツッコまないといけない場面も多かったんで、気づくことが多かったかもしれないです。

──鰻さんも、橋本さんの引っかかるセンサーがすごいと言ってました。

橋本 もっと鈍感やったんですけど、増えました。鰻って、あんまりボケボケしい人じゃないじゃないですか。(天竺鼠)川原やランジャタイとは真逆。「今のボケた?」みたいなことあるじゃないですか。それが雰囲気だったり汁だったりもするんですけど、ボケボケしくボケないんで、ロケとか生放送で尺決まってたりして「ここだ」と落とさないといけないところでも「あれ、どっちや」みたいにふんわりしちゃって。

鰻さんは雰囲気の人やから、そこを言語化してわからせてあげないと。普通にしててもタイムはカウントされていくから、ボケてることにせなあかんくなったときに、それをツッコまないといけなくなっていって、気づくようになっていったんやと思います。「なんや普通のこと言って」でもツッコまないとしゃあない。なんとかして笑いを作らないといけないっていうのが。

TVショーにおいてあんまり器用なほうじゃないっていうのは、ご本人も自覚してるんです。それを鰻さんが自覚してからは、今までは気づけなかったところをボケたことにしていくっていうのが多くなっていって、そしたらこっちも呼応してボケるようになっていったりとか。

──橋本さんの引っかかるセンサーは、鰻さんによって磨かれたものなんですね。

橋本 そうです、ほんとに! 先輩とかにも「そりゃ鰻が相方やったらツッコミ勝手に上手くなるわな」って言われたことあります。毎日、千本ノックしてるようなもんですから。ボケてなくても、こっちから探しに行ってツッコむ。普通はボケが投げられてツッコむけど、そうじゃなくて、ボケの扉を開けてこっちが物色しに行かないと。

──そりゃあ、センサービンビンになりますね!

橋本 それがダメってことじゃなくて、結果コンビのバランスがそうなったというか。だから相性がいいんやと思います。僕がそういうツッコミのほうが好きやし、向いてるから。重箱の隅をつつくようなツッコミが好きなんで。

銀シャリ橋本
最近ではそのツッコミ力がさらに買われ、ツッコミを試されるドッキリへの出演も多くなった

過小評価は、めっちゃありがたい

──「橋本さんが過小評価されている」という話を鰻さんに聞いてみたら、すごく強く否定されていて、なんだかそこに愛情を感じました。

橋本 こんなに褒められることがないから、逆に否定のほうに走ってしまいますね、「そんなことないですよ」って(笑)。

過小評価って話になるってことは、僕のことをもっと能力高いって思ってくれてる人が多いってことでもあるので、めっちゃありがたいです。イラっとはまったくしない、むしろニヤニヤするなあって感じです。

──鰻さんへの取材で話題に上がったのですが、ひな壇のうしろはお好きですか?

橋本 うしろも全然好きですよ。前は前の難しさがあるし、ケースバイケースですね。うしろも嫌いじゃないです。

芸人と世間一般の評価にズレがあることは、(お笑い界に)入る前からわかってることなんでね。あんまそこは気にせず、楽しいかどうかのほうが大事。

鰻の“ヤンキー”と“真面目”な部分

──橋本さんはパーフェクトという話で盛り上がりました。

橋本 いやいや、ホンマありがたいですしうれしいですけど、パーフェクトじゃないのも知ってると思います。

──気にし過ぎて大変だろうなと言っていました。

橋本 相方のほうが、心がヤンキーなんですよね。ああ見えてめちゃくちゃゴリッとしてるんで。ナメられたくないとか、おもろいを見せつけたい気持ちは、実は僕よりもある。一番ピュアなんで。

──そこが序盤に言ってた「真面目」な部分でもある?

橋本 そうです。真面目っていうのは、お笑いが好きでお笑いで負けたくないって気持ちがめちゃくちゃあるからヤンキーでもあるんだと思います。本人が「まだスランプ」って言ってるのと一緒で、自分の見積もりよりもまだ低いところにいるって歯がゆさが、全員あとでなぎ倒すぞっていうヤンキー気質になるんで。

──それは鰻さんの魅力ですね。ビジュアルからは全然気づけないというか、正反対。

橋本 ですよね、燃えてはりますよね。銀シャリ自体も実は正反対で、青ジャケ着てるけど「正統派」っていう意識はあんまりないんですよね。しゃべくりやってて青ジャケっていう見た目に持ってかれて、たまにめちゃくちゃ変なネタもやっても、変と思われない。それはありがたいです。

──鰻さんから最後に「またふたりで飲みに行きたいね」と。

橋本 そうですね。まだ『M-1』の話もしてないのでね。自分たちのラジオとか、山里さんのラジオ(『山里亮太の不毛な議論』/TBSラジオ)ではしてますけど、まだふたりで『M-1』の話はしてない。

──自身のラジオでは「ももさんのネタの続きを考えたから、あとで聞いて」って橋本さんが鰻さんに言っていて、ラジオとは別に、あとでふたりきりで話すのか!と思っていました。

橋本 モグライダーさんのネタの続きも。

──それはふたりだけの会話ですか?

橋本 はい、どこでもやらないですからね。

──では最後に、橋本さんから鰻さんへひと言お願いします。

橋本 僕の、気にし過ぎるというか繊細寄りの性格も、相性はいいと思います。僕が繊細なところは鰻さんはヤンキーやし、鰻さんが繊細なところは僕はゴリっといけよってなるから。ホンマに真逆の人間やと思いますけど、凸と凹で相性がすごくいいと思いますね。お互い似てないからおもしろい。

これからもたぶん、銀シャリの漫才はもっともっとよくなるんじゃないですかね。僕は銀シャリのことがめっちゃ好き、ファンなんですよ。ちょっとサブいですけど(笑)。銀シャリの新ネタが一番楽しみなファンのひとりなんです。単独で何するんやろうって客観視する自分がいて。ネタ作ってて言うのもあれですけど(笑)。あ、ネタは両方で作ってますけどね。

──素敵な言葉が聞けてうれしいです。変態ですね。

橋本 ファンです、めっちゃ好きですね。

──ありがとうございます!

銀シャリ橋本
聞きたい話が止まらず取材時間が大幅オーバーし、イチョウカットが多めになってしまった。写真は④

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佐々木 笑

(ささき・えみ)1996年生まれ。宝島社ムック局編集部のち、フリーランスの編集者・ライター。笑と書いてエミ読みます。本名通りお笑い大好き人間に育ちました。『フワちゃん完全攻略本』『#麒麟川島のタグ大喜利』『KOUGU維新 公式本で、イザ参ラン!』(すべて宝島社)など。アイコンは川島さんに描いていただ..

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