パチンコ大好きピン芸人・岡野陽一の月刊コラム第6回。亡き祖父への想いを語ります。そして我が身を振り返って……。
【関連】岡野陽一から少年少女達へ「ハンドルを離すな、肩の力は抜いていい」人間みんな糞袋#5
じいちゃんのような人格者になりたい
「小さい事に幸せを感じられる人間になれ」
次男なのに三男(みつお)という名前でお馴染みの、今は亡きじいちゃんがよく言っていた言葉だ。
僕のじいちゃんは本当に神様のような人間だった。
僕はじいちゃんが怒ったのを一度も見た事がない。
岡野商店という駄菓子屋をやってたのだが、いくら万引きされようが、いくら糞みたいな客が来ようが、髪が紫色の僕のばあちゃんに愚痴を言われようが、いつもニコニコ笑っていた。
母ちゃんが砂糖と塩を間違えた糞まずい煮物を食べて、多感な時期の僕が文句言ってる横で
「捨てるなんて勿体無い。うまいうまい。ありがたいありがたい」
と完食した時は、逆に恐怖すら感じたのを未だに覚えている。
普段はそんなに口数が多い方ではないのだが、酒を飲むとじいちゃんはよく喋った。
じいちゃんあるあるで、毎回メニューは同じだ。
しかし、僕はその話が好きだった。
戦争で後ろにいた友達が撃たれて死んだ話、じいちゃんも肩撃たれたけどそんなに痛くなかった話、世話してた馬が可愛かった話、戦後にこの辺でバイクに乗ってたのはじいちゃんしかいなかった話……。
そのじいちゃんフルコースの最後の締めの雑炊みたいに毎回言うのが
「小さい事に幸せを感じられる人間になれ」
なのだ。
戦争でほんとに食べ物食べれなかったりしたから、どんな食べ物でも食べれるのが幸せだし、特に何もない退屈な日も、家族全員無事で暮らせたから幸せだという理論だ。
よく言われる話だが、肩に銃弾の痕があるじいちゃんが言うと説得力があった。
非の打ち所のない素晴らしい教えである。
「僕もじいちゃんのような人格者になりたい」
大人になって僕はそれを思い出して、実践してみた。
スーパーに行ったら丁度目の前で弁当に50%引きのシールが貼られた。とても幸せだ。
今朝、うんこをしたら半年に1回くらいある拭いても何もつかないうんこの日だった。今日は一日幸せだ。
8万負けて下を向いて歩いていたら、道端に凄く綺麗な花を見つけた。負けて良かった。最高に幸せだ。
結論から言う。
無理だ。
ただの嘘だ。
でも、じいちゃんはほんとに幸せそうだった。嘘をついてたとは思えない。
恐らく、僕は産まれた瞬間にじいちゃんの血だけ全部抜かれたのだろう。
こうして、20代のうちに僕の「小さい事に幸せを感じられる人間計画」はあっけなく幕を閉じた。

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