移住&2拠点生活、実際どう? 長野で暮らして感じた「地方と東京の違い」【夕方5時の会議室 #16】

編集=高橋千里


少女写真家・飯田エリカと、QJ編集部・高橋の音声番組『夕方5時の会議室』。メディア業界で働く同世代ふたりが、日常で感じているモヤモヤを、ゆる〜くカジュアルにお話しします。

第16回も、コラムニスト・月岡ツキさんがゲストで登場。数年前から長野と東京で2拠点生活を送っている月岡さんに、暮らし方を変えたことによる変化や、地方と都会の違いを聞きました。

※音声収録は2025年8月29日に行いました

この記事では、音声の前半部分だけをテキストで公開。後半はYouTubeまたはPodcastよりお聴きください。

会話や格好が違っても、どっちも自分

高橋 今回も月岡ツキさんとお話ししていきます。3週にわたってありがとうございます。前回は「働きすぎ」の話をしました。今日、ずっと労働の話をしてる(笑)。

飯田 働きまくっている3人なのかどうなのかみたいなところを含めて、次は暮らしの話をしたいと思います。

高橋 月岡さんは今、長野にお住まいなんですよね。

月岡 そうなんです、長野でリモートで働いていて。でも(本業の)会社のオフィスは都内にあって、(副業の)物書き系の仕事でもたまに都内に来ることがあるので、月に3日ぐらいは都内にいますね。

高橋 いつごろからそういった2拠点生活をするようになったんですか?

月岡 もともと私は長野県出身で、大学進学で上京して、そのまま都内に就職して。コロナ禍で誰にも会っちゃいけなかった時期に、一人暮らしの家でリモートワークをしてたんですけど、けっこう限界なのでは?みたいな感じになって。

そのとき会社が「(自宅以外だと)実家からならリモートしていいよ」というコロナ禍の特別ルールを設定してくれたんです。それで長野の実家に戻って、意外とこれは(リモートが)できちゃうかも、となって。

しばらくいるうちに、そこで結婚相手を見つけて、結婚して、そのまま夫が住んでいたところに一緒に住むようになって、今に至ります。なし崩しの末に……。

高橋 最近、東京に来られるときは、お仕事のタイミングが多いんですか?

月岡 仕事と遊びをくっつけて、ついでにいろいろ済ませて帰るパターンが多いかもしれない。今も太田出版で収録してるんですけど、昨日は会社の仕事があって、ついでにお友達とも遊んで、ついでに太田出版に収録に来て……いろんな行事をくっつけて出稼ぎに来ています(笑)。

飯田 すごい!

高橋 実際そういった生活をしてみて、どうですか?

月岡 私はめちゃくちゃ性に合ってるなと思って。別にもともと地元がすごく大好きで帰りたかったわけでもなかったんですよね。逆に、田舎が嫌で、東京に出たくて、大学進学で上京したタイプだったので。

でも、東京の大きめの会社で働く期間が長かったんですけど、そういうところに集まってくる人って、23区内に住んでて、ある程度以上の収入があって、大卒で……という人が多くて。私はここでマーケティングという名の会議をしているけど、これは私の地元の友達には理解されるものなんだろうか?という違和感もあったりして。

社会や日本ってひと口に言ってもいろんな人がいるし、いろんな場所があるのに、ひとつのところに留まっていると視野が狭くなってしまうんじゃないか、というのもちょっと思ったりしてたんです。

今は長野と東京を反復横飛びして、どっちにも友達がいて、どっちにもよく行くエリアがあって、すごく性に合ってるなと思いますね。

高橋 長野と東京に住んでみて、何か違いは感じます?

月岡 超具体的なことでいうと、去年の夏から今年にかけて、都内の女の人はみんなアンテプリマのキラキラのビーズのバッグを持ってたんです。でも、長野に帰ると誰ひとり持ってないんですよ(笑)。友達としゃべる内容もちょっと違ったりするし。

そういう細かいことなんですけど、今いるところだけがすべてではないと思えると、自分が楽。いろんな場所でそれぞれ人は暮らしてるから、別にどっちかに染まりきらなくてもいいのかもって。

高橋 ずっと東京にいると、私もアンテプリマのバッグ持たなきゃいけないって思ってしまいそう(笑)。

月岡 そうそう、みんなが持ってるから一個ぐらい買っておこうかなって思うけど、別にそうしなきゃいけないわけじゃない。

自分も都内にいるときと地元にいるときで、格好が全然違うんですよね。都内にいるときはちゃんと化粧して出歩くけど、地元だと眉毛だけ描いてTシャツとスウェットでチャリンコこいでる地元の人みたいな感じになってる(笑)。

地元のお友達が、私が都内で取材を受けた写真を見ると「違う人みたいだね」って言ってくるんです(笑)。でも、どっちも自分だから、いろんな自分がいるんだなって思えて、それもすごく好きだったりします。

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  • 『産む気もないのに生理かよ!』(飛鳥新社)/月岡ツキ

    「母になりたい」とは思えない。
    でも、「母にならない」とファイナルアンサーもできない。

    どうして産みたいと思えないのか、
    どうして産みたくないと言い切れないのか。
    自分の身体、自分を産んだ母、母になった友達、
    生きてきた世界、いま生きている社会。
    さまざまな側面から「産む産まない問題」を綴ったエッセイ集。

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